テーマ:ニュース(100149)
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──民主党が参院第1党となり、政権交代がかつてなく意識されています。
私は政権交代可能な政治体制を構築しなければ、日本に将来がないぐらいに思っている。中学1年生で終戦を迎え、占領下で自由と民主主義を教わって喜んだ。しかし、明治以来の成功体験に裏打ちされた官僚組織は温存され、ここにきて教育も厚生労働行政も弊害だけが目立つようになった。失敗を認めない官僚による支配を、改革する力のある政治家も出てこない。 結局は政権交代しかない。今の民主党がいい悪いではない。官僚組織べったりの政治家集団だけで政治をやるのは、もういい加減にしてくれと。民主党が天下をとってもいい加減な政治をすれば、次に修正された自民党が政権をとる。何回か繰り返す間に必ずすばらしい人類の英知が生まれ、新しい国に変えてくれると思う。 やっと小沢氏らが結集してがんばろうとしている。親しいから言うのではない。半年、1年の政治の遅滞や混乱は、日本のために払うべき代償だ。新しい国に生まれ変わらなければ、日本の将来は非常に危ない。 ──政党以外に政権交代を求める動きはありますか。 私が言うようなことだけでも、今の政権党や官僚にとって心地良いものではない。心ある人が「稲盛さん、勇気がありますね」と言うが、自然に、誰かが言わなきゃならんと思って言っている。経済界は、官僚との間で許認可などの問題が陰に陽にあり、長いものに巻かれろということで言葉がつい出てこない。自由ではない。本当の民主主義でもないと私は思う。 ──小沢さんとなぜ親しくなったのでしょうか。 波長が合ったんでしょうかね。彼の本を読んで共鳴することが多々あったが、10数年前に亡くなった母の葬式に鹿児島まで来て焼香してとんぼ返りで帰っていった。父がなくなったときも来てくれ、一層のシンパシーを感じた。 ──一長一短があっても、この局面は小沢さんでという空気が党内に強いようです。 小沢さんが何でもかんでもすばらしいとは私も思わない。政治家の息子として若くから自民党のエリートコースを歩いてきた。つきあって特にそうは感じないが、わがままなところがあるやに聞いている。単純なわがままさが「壊し屋」と言われるようなことになり、それが尾を引いて色眼鏡でみられる。彼も自制して欠点を直していくだろうし、直せないようではだめだ。戦後経済を発展させてきた経営者が晩年傲慢(ごうまん)になって失脚していかれるのを数多く見てきた。人間は身を慎み、自分で研鑽(けんさん)しなければまっとうできない気がする。 ──一方、前原誠司副代表は、民主党政策の問題点を指摘して波紋を呼びました。 まさに政権交代になるかもしれない政治情勢で、団結しなければならない時だ。書生みたいなことを言ったのでは話しにならない。本人にもそう言う。京都が地元だから大変かわいいと思っているだけに、「ちょっとだまらんかい。今はそういうときではなかろうが!」と(笑)。 ──9月の民主党代表選も一致結束がいいですか。 手を挙げるのは構わないと思う。政権交代に向けた団結を崩すようなことではなく、「党をこういう方針で引っ張っていきたい」という所信表明だろうから、そういうのはやってよいと思う。 ──小沢さんは次の衆院選を「最後の戦い」だ、と。 そう思う。今度、もし民主党が政権奪取に失敗すれば、おそらく政権交代はだいぶ遠のく。そうすると、今のままで地方分権や道州制を導入しても官僚が自ら壊すことはしないだろうから、明治以来の官僚支配の国家体制がずっと続くと思う。 (聞き手・前田直人) 稲盛和夫 京セラ名誉会長(76) 32年、鹿児島市生まれ。59年に京都セラミック(現京セラ)を設立。社長、会長をへて97年に名誉会長となり、仏門入りした。政界では、民主党の小沢代表や京都選出の前原誠司副代表らと交流。03年衆院選直前に「政権交代が可能な国をつくろう」とした意見広告を全国紙に出し、06年8月には小沢氏とともにテレビの報道番組に出演した。 (7月23日 朝日新聞) 左右両派の寄り合い所帯の民主党は、安全保障をはじめ政策が一致しない。選挙で勝つことを最大の目標とする小沢代表の農・漁業、高齢者向けの政策は財源に問題を抱えている。 小沢代表続投の空気が党内に広がり小沢批判は避けられている。代表選は行うべきというが立候補しにくい。 自民党の中川秀直氏、与謝野馨氏は民主党切り崩しを仕掛ける。前原誠司副代表は引き込まれかかっている。 岡田克也副代表は著書「政権交代 この国を変える」を出版。麻生太郎氏の「とてつもない日本」、中川秀直氏の「官僚国家の崩壊」にくらべ、個人の宣伝色がすくなく、素直で読みやすい本。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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