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最近、頻繁に歯科室に来る患者さんがいます。
うちは、スタッフも診療室も小規模なので(小さすぎて院内地図に名前が無い…) もちろん、予約もコミコミ。 患者さん1人あたり、1週間に1回診れればお大尽といった状況なのです。 それにも関わらず、この2週間の間に4~5回、往診も含めて考えると、 お見舞いにノーザンライトボムでもかけて差し上げようかしら なんて衝動に駆られるほど、すっかり顔なじみになってしまった患者さんがいます。 この人と初めて会った日の何とも甘酸っぱい思いは、会う度にその匂いを増して私を責め苛むのです。 私「こんにちは。キリンさん(仮名:部屋の前にキリンの絵があるので)」 キ「あれ、東北の人?」 私(何、いきなり) キ「東北だよね~。東北、北」 私「…え、はい。そうですよ。よくわかりましたねー。やっぱり、訛ってます?しみついちゃってるのかな…」 キ「(ムシ)しかも、山形…仙台あたりでしょ」 私(無視かよ!しかも、当たってるし!) 私「へぇ~~、すごいですね。どんぴしゃですよ。仙台の近くでね、ずっと育ったんです」 キ「(ちょっぴりご満悦)そうでしょ、そうでしょ。俺ね、仙台行ったことあるからわかるんだよ。1回だけね、知人の結婚式でね」 私(1回かよ!) キ「仙台ね~~。いいところだよね~。あ~何だっけ、歌あったよね。んんんんん~~~♪」 切ないほどに音程がない。とりあえず、仙台で検索をかけてヒットした曲を言ってみる。 私「………あ、あ、えー…と、青葉城、恋歌…?」 キ「そうそう!それそれ!いいよね~~、さとうむねのりね~」 私(むねゆきだっつーの!むねのりって、そりゃ、同じむねさんだけど!下の二文字は上に比べりゃ存在価値薄いけど!) キ「んんんがわ~~♪んんれるひしべ~~♪」<適当 私「………(絶句)」 キ「(突然ガバッと振り向いて)でもさ、俺、背筋力250あるんだよ」 私「?!」 キ「握力はさ、前の半分になっちゃって90なんだけど、背筋は250あるの」 私「へ。へぇ~~キリンさん、すごいですね~。250ですか」 キ「病気になるとさ、手使わないでしょ。弱くなるんだけど~背筋はさ、ほら、いろいろ使うから」 私(何、いろいろって) キ「日常動作でもさ~背中は大切~。うつ伏せとかなんないといけないしさ~」 私(うつ伏せになるのに、なぜ250?) キ「あとね~アレも大切ね。バイア○ラ。俺の病気にはね~すごく大切(強調)」 私「へ、へぇ~…」 キ「いやね、やることやんないとね、長生きできないからね~。俺の知り合いで80になっても…(以下延々と男女の生命活動及び自身の身体機能について ~途中省略~ キ「でね~、俺ね、ね、ね、ね」 私(げっそり) これが、私と彼の初邂逅。 それからというもの、病棟で会っては歯科室で会っては廊下で会っては、ぺらぺらしゃべる仲になってしまいました。 先日は、夜中に歯の奥がやたらめったら痛み出したらしく、 病棟で暴れ回ったあげくに、スーパーの痛み止め(訳:一番いい痛み止め。スーパーマーケットに置いてある痛み止め、ではないです。念のため)出せ! と言って、座薬!座薬!と絶叫しまくっていたそうです。 実際、そこは神経までやられてしまっていたので、痛くて当然の場所だったのですが、 日頃のエキセントリックきわまりない言動のため、 医療のプロである看護士さんにもまったく信用されず、 電話口で 「何か言ってるんですよ。一度、診て大人しくさせてやって下さい」 …との趣旨のお言葉をいただくしまつ。 そんなおちゃめなキリン(仮名)さん。 今日も、我が歯科室にて自慢の250の背筋話をリピートしていました。 一日一回背筋話。 すでにもう、先の展開が見えることに、一抹の物足りなさを感じる今日この頃です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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