スローライフ・健康と愉快なお酒

最新機器によるがんの早期発見とレジャーを組み合わせた「ＰＥＴ検診ツアー」が人気だという。
身体のオーバーホールをしながら、温泉やゴルフで心身ともに癒されると好評だ。忙しい現代人にもってこいの企画だと思う。
ＰＥＴ検査とはなんだろう。
そもそもＰＥＴとは何かというと、陽電子放射断層撮影法のことで、がんの早期発見の手段として注目されている検査方法のひとつである。
がん細胞が増殖する際にブドウ糖を多く消費するという性質に着目し、まずブドウ糖に似た構造の微量の放射線を出す薬剤を注射する。その分布を特殊なカメラで撮影することで、これまで発見できなかった１センチ前後の小さながんも発見できる。がんの種類によっては、万能というわけではないが「従来の検査法より、肺がんは約２０倍、大腸がんや乳がんでは約１０倍の検出能力がある」と評価する放射線医もいる上、苦痛を伴わないため人気が急上昇中だとか。
東京・国立がんセンターをはじめ、首都圏や関西では一部の大学病院、専門病院に装置が設けられているが、都市部の病院では、予約待ちが数カ月というケースもある。当地ではPET装置がある病院はわずか、１病院である。
夫婦参加が４割。
ＰＥＴ設備がある立派な病院は、地方にも点在している。そこに着目して、２００２年４月からＰＥＴ検診ツアーを始めたのがスカイマークツアーズ。鹿児島と福岡２カ所の病院と提携し、１泊２日、２泊３日のコースをセット。これまでに約１３００人が参加。最初は６０～６５歳がほとんどだったが、ＰＥＴの認知度が高まるにつれ４０～５０代も増えつつある。
１人での参加が６割、夫婦参加が４割。検査だけでなく、温泉やオプションのゴルフを楽しみにしている方も増えているというから、狙いどおりというところ。
人気の理由は、都心に比べて検診代が安く、飛行機代やホテル代を含めても首都圏で検査するのと同等の価格で済むことだとか。それに、比較的スムーズに予約が取れる点だ。現地での病院で検査にかかる時間は３～７時間程度で、空いた時間を有効活用して観光が楽しめる。
北海道ひとり旅も
ＪＡＬトラベルツアーでは、北海道・帯広の病院と提携し、検診ツアーをスタートした。
ゴルフに酒造りまで
エイチ・アイ・エスでも、昨年４月からＰＥＴとＣＴの撮影が同時に行えるＰＥＴ―ＣＴ装置をウリにした検診ツアーを実施して人気を集めていると。
宿泊先は、宮崎のシーガイアリゾートや、ダンロップフェニックストーナメントの舞台に近い高級ホテル、酒造りや伝統工芸などが体感できるテーマパーク「酒泉の杜」の温泉旅館など、好みにあわせてレジャーが選択できるのも魅力。自分をケアして、「長く働ける」ことが、何よりの家族サービスかもしれない。ちなみに各コースは12万円～18万円ほどだというから、健康管理のお金とすれば、そう高いものではないと思う。
韓国・ソウルまで行ってＰＥＴ検査を受けるコースまであるのだから、驚きだ。