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テーマ:日々自然観察(9828)
カテゴリ:昆虫(アブ、カ、ハエ)
当時は、もう1種汚いアブがいた。コウカアブである。コウカとは後架と書き、雪隠、憚り、御不浄、厠のことである。このアブもゴミ溜めの辺りに何時も飛んでいた。 しかし、コウカアブの方は圖鑑に載ってたが、もう一方の今日掲載しているアブは載っていなかった。何故、こんな普通種が載っていないのか、随分不思議に思ったものである。
その圖鑑に載っていない理由が分かったのは、かなり後になってからのことである。この汚いアブ、アメリカミズアブと呼ばれているそうで、戦後になって進駐軍と共に米国からやって来た新参者の外来種なのであった。私が子供の頃使っていた圖鑑は、叔父が学生の頃に使っていた戦前の圖鑑である。朝鮮や台湾の昆虫は載っていたが、戦後に入って来た外来種が載っている筈がない。
子供の頃、このアメリカミズアブの標本は作らなかった様に思う。汚い虫には触りたくなかったのであろう。御蔭で、つい最近まで、このアブの眼に奇妙な紋様のあることを知らなかった。 最近、世の中が清潔になり過ぎて、この20~30年コウカアブを見たことがない。アメリカミズアブも随分減ったが、この辺りの住宅地でも時々は見かける。昨年の夏、久しぶりに我が家にやって来たので何枚か撮ったのだが、その時、眼に青い紋様のあることを初めて知った。しかし、アブの後ろ姿しか撮れなかった。眼の模様は、やはり前から撮りたい。前から撮れたらこのWeblogに掲載しようと思った。
漸く撮れたのは、昨日である。しかし、非常に敏感なヤツで、真っ正面からは遂に撮れなかった。仕方なく、斜め前からの写真で我慢することにした。 眼の部分拡大を下に示す。アブやハエには眼に紋や斑を持つものがかなり居る。一昨年に紹介したツマグロキンバエやオオハナアブの眼にも模様がある。しかし、これ程派手な色をした模様は他に知らない。 それにしても、眼にこんな模様があったら、見るのに邪魔にならないのだろうか。一体何の為に眼に模様があるのか、人間は大いに訝るが、そう言う風に進化したのには、それなりの理由があるに違いない。但し、その理由は、人間の浅知恵では到底図り知ることの出来ない奥深い世界に属すものと思われる。
このアメリカミズアブが我が家に来たのは、例の虫寄せバナナと関係があるらしい。但し、目当てはバナナの果肉ではない様である。ベランダの片隅に、一寸した庭木の剪定や除草をしたとき等に枝葉を入れておくバケツが置いてあり、其処にバナナの皮を棄てておいた。これが腐敗してアメリカミズアブを呼んだらしい。昔、ゴミ溜めに集っていたのと同じ理屈である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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