家庭用マッチメーカー最大手、製造撤退
昨日、兼松日産農林は来年3月をもって家庭用マッチ事業から撤退すると発表しました。
同社は家庭用マッチメーカーとしてはトップで業界全体の4割を占めています。
国内で唯一製造している淡路工場を来年3月で閉鎖。
工場の自動マッチ製造機は設置から50年経っていて、部品がすでになく従業員が自作でまかなってきたのですが昨年末に故障が頻繁に発生して製造能力が極端にダウン。
国内に自動マッチ製造機を所有しているのは4社しかなく、兵庫県には兼松日産農林を含む3社で国内マッチ製造の9割をまかなっています。
工場は神戸を拠点に「マッチ王」と呼ばれた滝川弁三の清燧(せいすい)社が明治38年に設立。
明治大正期の総合商社・鈴木商店のマッチ会社と合併するなどして昭和14年に現在の兼松日産農林が引き継ぎをしました。
同社はかつて国内に1数ヶ所の工場が稼働していましたが、今は淡路工場に1ラインを残すのみに。
今年3月期の事業売上高は1億8500万円で経常損益は赤字とみられるとの事。
「象印」「燕印」「桃印」などの商標は同業の日東社に譲渡しますが譲渡金額は非公開。
工場の18人の従業員は再就職支援などを行います。
業界関係者による1960年代に機械化が進んだのですが、装置を製造した機械メーカーはすでになく修理が出来なくなれば新たな機械を設計する必要があるとの事。
兼松日産農林の淡路工場は1970代に年間1億7千万個を生産していました。
同社は「温暖でマッチの乾燥に適した淡路で長年続けてきた事業だけに閉鎖は残念」とのべています。
来年3月に前身の会社から数えて112年の幕を下ろします。