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怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

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2012/08/01
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カテゴリ:有川浩作品
『空飛ぶ広報室』
有川浩/著[幻冬舎刊]


【送料無料】空飛ぶ広報室 [ 有川浩 ]

本ブログ勝手に推奨作家、有川浩さんの新刊です。
有川作品としては、久しぶりの自衛隊モノ。
・・・・と言ってもこの作品、実は『E★エブリスタ』という携帯小説サイトで、2010年から2011年に連載されていたもの。
だから、ずっと前に読んでいる人は読んでいるはず。
ただし、docomoユーザーオンリーしか読めなかったので、僕は未読でした。
というわけで、まとめて一気読みッス。←結構な分厚さに、ちょっとビビリましたw_(^^;)ゞ

多分、あまり知られていない自衛隊の中でも、さらに知られていない自衛隊の広報を描いた本作。
この着眼点が有川浩だね。(^-^)
面白かったです。
自衛隊の広報に関しては、「ラブコメ今昔」に収録されている「広報官、走る」でも取り上げられているんで、相当インパクトがあったんでしょうね。←キャラ的に。
↑あっちは海自だったけど。
広報には、そういったキャラが集められがちなんでしょうか?w

P免でパイロットから、畑違いの広報に配属された空井が、新たな生きがいを見つける話を柱にしている作品ですが、決して彼一人にスポットが当たっているだけでなく、その脇を固めるキャラにもなんか味があっていいですね。
始め嫌なヤツかと思っていたけど、実は熱い思いを秘めていた片山。
残念な理由には、自衛隊だけでなく日本の男社会特有の問題が隠されていたべらんめぇ美人の柚木3佐。←この人と槙3佐には絶対何かあると、初登場の時から期待してました。(^-^)
まさに縁の下の力持ち――下士官の鑑とも言うべき比嘉1曹。
そして、それらをまとめるミーハー室長・鷺坂1佐。
彼らが、自衛隊という組織の、その特殊な成り立ちと、戦後の歪んだ教育もあって、国民に色眼鏡で見られている現状を理解しつつ、それでも誇りを持って働いている姿が見事に描かれていると思います。

「自衛隊って、なんだかよく判らないし、怖い・・・・」
そんなふうに思っている人にこそ、是非読んで欲しい。

そして、単行本化で加筆された『あの日の松島』と題された短編。
「あの日」とは、2011年3月11日のこと。
あの、悪夢のような東日本大震災の当日。
あの日、津波に襲われた航空自衛隊の松島基地で何が起こったか。
そして、そこにいた隊員たちは、あれからどのように戦ってきたのか。
直接的な描写はないにしろ、ここにこそ「自衛隊」と「自衛官」の本質が示されているように感じました。
正直、泣いた。

以前、自衛隊にたくさんの友人を持っていて本人も自衛隊に近いトコロで働いている人と話をする機会がありました。
お互い、自衛隊に好感を持っていることもあって話が弾んだんですが、僕はその時調子に乗って稚拙な持論を展開したことがあります。
――自衛隊は、自虐的過ぎる。
――不当な扱いを改善すべく、もっと声を大にすべき。
すると、相手の方はそれまでのにこやかな表情を一変させ、静かにこう言いました。
「君は、自衛官のことをよく理解していないようだ。その意見は、きっと彼らには受け入れられない。ただ困らせるだけだ」と。
その時は、彼が何を意図してそんなことを言っているのか、よく理解できませんでした。
でも、「あの日の松島」を読んで、ようやく腑に落ちましたよ。
・・・・・本当に、自衛隊の人たちは・・・・・どこまで・・・・(T^T)

それにしても、自衛隊の広報の仕事って言うのが、こんなにアグレッシブだとは思っていませんでしたよ。
自衛隊モノをたくさん書いている有川さんですから、自衛隊の広報との接触は下手なマスコミよりは多いと思います。
しかも、作品の題材に選ぶくらいだから、自衛隊に対する興味も持っている方のはずです。
だから、この作品に書かれている内容は、ストーリー自体はフィクションにしても、その背景に関しては事実に即したものだと思うんですよね。
つまり、作中で空井たちが従事している広報室の仕事内容は、相当現実に近いものだってこと。
ってことはですよ。
自衛隊の広報室ってのは、マスコミやメディアの取材に対応するだけでなく、自ら企画を立ち上げ、客先に持ち込んだりしてることになります。
ちょっとびっくりしました。
だって、自衛隊がメディアに露出することなんて、その他の職業に比べたら、ものすごく少ない印象です。
しかも、出てくるときは、残念ながらネガティブな話が多い。
だから自衛隊の広報なんて、受け身の組織だとばかり思っていました。
でも、そうじゃなかった。
自ら企画を立ち上げ、客先に売り込み、商品(ここでは自衛隊という組織)を露出させ、その好感度を上げる。
ごくごく普通の企業の広報と変わらない。
ある意味、「専守防衛」が基本の自衛隊の中で広報室広報班は、唯一「攻め」の組織なのかもしれません。
ただ、その戦力は微々たるものなんでしょう。
『少数精鋭』と言えば聞こえは良いけど、数は作中の感じから分隊レベル。
それで、大マスコミ様や百戦錬磨の各種メディア、あまり好意的と言えない世論に立ち向かわなければならないんですから・・・・・・・・なんとも厳しい戦いですよ。

それでも、成果は挙がっている。
なぜなら、我々が目にし、理解した自衛隊の姿――その殆ど全てが、彼ら広報によってもたらされたものなのだから。
あとがきでも書かれていますが、この「空飛ぶ広報室」にしても鷺坂1佐のモデルになったという元広報室長から持ちかけられたものだと言います。
この作品のように、少しずつでも良いから国民に自衛隊の真実を知らしめてくれる作品や媒体が増えることを期待したいと思います。

<追記>
現実の航空自衛隊にも「空飛ぶ広報室」が存在するようです。
↓興味のある方は、是非覗いてみましょうね。(^-^)
空飛ぶ広報室 | [JASDF] 航空自衛隊


<さらに追記>
有川さんには、ぜひこれからも、すこしずつで良いから自衛隊モノを書いて欲しいなぁ。
あとがきで、某室長も言っておりましたが、自衛隊にはいろいろネタになりそうな面白い部署があるらしいですよ。
自衛隊で唯一、その隊員が『見た目(背格好や顔などの容姿)』で選ばれるという噂の部隊とか、どうでしょう?(^.^;

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最終更新日  2012/08/02 12:20:33 AM
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