
知人のところでの、打合せが終わった。だいぶん遅くなった。あたりは薄やみに包まれはじめている。
スポーツスターのエンジンに、火を入れた。暖気をするわずかな時間、流れてゆく雲を見て、ぼ~っとしていた。地上はすでに暗くなっているのに、西の空だけがぼんやりと明るい。ときどき車が、道を通り過ぎてゆく。みな、家路を急いでいるのだろう、だいぶんスピードが出ている。遠くの方に、集落の灯りが見えている。
何にも考えていなかった。疲れているのだろうか。頭がはっきりと働かない。まるで水の中にいるような、妙な息苦しさだ。こんな日は、さっさと家に帰ろう。寄り道しないで、安全運転で。
どんなに疲れている時でも、883はわたしを裏切ったことがない。必要な分のパワーしかないので、気負わず走れる。アクセルワークに気を使わないので、安心して走れるのだ。ヒトに優しい、低性能といったところか。
わたしは、ゆっくりと走り出した。
家までは、あともう少しである。
最終更新日
2004年06月18日 23時09分05秒