4240933 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

All The Things You Are

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
November 2, 2007
XML
テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:Standard
【スタンダード・ナンバー】

ラバー、カム・バック・トゥー・ミー
Lover, Come Back To Me!
【邦題:恋人よわれに帰れ】


この曲は、オスカー・ハマースタイン2世の作詞、シグモンド・ロンバーグの作曲で、
1928年のオペレッタ[注記1]『The New Moon(ニュー・ムーン)』に使われました。

舞台ではイーヴリン・ハーバートがこの曲を歌い、あっという間に人気がでました。

この作品はオペレッタ風のミュージカル作品としては最後のほうに属するものでした。
トライアウト[注記2]では、不評で、まったく客が入らなかったため、
すぐに閉められてしまいました。
それはちょうど、ハマースタイン2世が、別のミュージカル『Show Boat(ショー・ボート)』に、
ロンバーグも『The Desert Song(ザ・デザート・ソング)』にかかりっきりで、
あまり力が入れられなかったからだということです。

そこで、この曲や「Softly As In A Morning Sunrise」などを入れ大幅に書き直されました。
その結果、ブロードウェイの公演では公演回数508回という大成功を収めることができました。

その成功によって、この作品はハリウッドで映画化されることになりますが、
その際、当時、それまで最高の映画化権料が支払われたと言います。
そして、このオペレッタは1930年と1940年の2回、
『The New Moon』のタイトルで映画化されました。
1930年版ではローレンス・ティベットとグレイス・ムーアが、
1940年版ではジャネット・マクドナルドとネルソン・エディが、この曲を歌いました。

また、シグムンド・ロンバーグの伝記に基づいた1954年のミュージカル映画『Deep In My Heart』でも使われ、
トニー・マーティンが、この曲を歌いました。

レコードやラジオでヒットしたものはルディ・ヴァレーのもので、
当時27歳のサックス奏者だった彼が、リーダーとして彼のバンドで、
まだマイクのない時代に、メガフォン片手にこの曲を歌って人気を博したと言います。
1938年にレコーディングされたミルドレッド・ベイリーの歌が、古いものとして知られています。

その後、多くの人が歌い、ジャズ・ファンにはよく知られる代表的なスタンダード・ナンバーになりました。
日本では、“美空ひばり”が愛唱していたことでも有名です。

ビリー・ホリデイは1944年の、コモドア・レーベルのセッションでレコーディングし、
コンサートのたびに必ずといっていいほど歌っていた曲だと言います。

あなたが現れてから「空は青く、高く、月は新しく、恋も新鮮だったところに、あなたが現れた。」
と、始めはハッピーな歌かと思わせますが、
やがて、しあわせな日々が過ぎ、あなたは去ります。
「私はあなたのどんなことも、思い出すたびに寂しくなる」
「恋人よ、私のもとに戻ってきてちょうだい!」という恋人への未練の、切ない失恋の歌です。
映画では離れ離れになる恋人どうしが「カム・バック!」と歌うところが定番になっているようです。

ハマースタインの詩は、いつも、時の流れの中で移り変わっていくものに対する感慨を表しているのが特徴で、
地味ですが、格調高く、そういうところが彼の魅力だと言えるでしょう。

この歌を「船は出て行く 煙は残る 残る煙が しゃくの種」という、
7、7、7、5調で歌う甚句(じんく)に例えた人がいます。
ここでの「煙」とは「未練」を意味しています。

「あなたは去ってしまったのに、煙だけが残る、“未練”と“後悔”の歌」
離れていく船に向かって「恋人よ、私のもとへ戻ってきて!」と叫んでも、もう遅いのですね。

こういう内容の曲なので、もともとは浪々と歌うバラード・スタイルであり、
それが自然なものではないかと思えますが、
どういうわけか、32小節の1コーラスを倍の64小節にして、
2倍の速さのリズムをバックに歌う、かなり速いテンポのものが定番になっています。
しかし、ニコニコ笑って楽しそうに調子に乗って歌い飛ばすのは「違うだろう!」と言える曲だということです。

----------

【参考】

[注記1] オペレッタ({イタリア語}operetta)

19世紀中頃にパリで生まれヨーロッパ全般に広まった、せりふと踊りを含む陽気で風刺的なオペラ。
軽歌劇。
喜歌劇。
オッフェンバック・スッペ・レハール・サリバンらの作品が有名。

[注記2] トライアウト(tryout)

トライアウトとは、適性、選考試験、テスト、実験的試み。

演技・スポーツなどにおいて適性を判断するための実技試験のこととして使われ、
特にプロ野球などの入団テストや契約のためのアピールのことを「トライアウト」という。

ミュージカルなどの演劇においては、人気を知るための試験興行のことで、
本公演の前に観客の反応を見るために行う試験公演のことをいう。

ブロードウェイやウエストエンドで行われるアメリカ、イギリスのミュージカルでは、
上演が始まると客足が落ちて収益が見込めなくなるまで興行が続けられる。
そのため、ヒットした作品は何年でも上演を続けられ、数年に及ぶロングランとなる作品も少なくない。

特に、ブロードウェイ・ミュージカルの場合、
まずトライアウトと呼ばれる地方公演で観客の反応を見ながら作品の手直しを行う。
時には曲や演出の大幅な変更、スタッフ、キャストなどの大幅な入替えを行う。
ヒットしそうな作品に仕上がるとブロードウェイでの上演を行う。
これとは別に、オフ・ブロードウェイ、
またはオフ・オフ・ブロードウェイと呼ばれる小規模な劇場で実験的に上演し、
好評であれば次第に大きな劇場に移るやり方もある。

ブロードウェイなどでヒットすると、オリジナルのカンパニーとは別に巡業用のツアーカンパニーというものを組織し、
全米各地で巡業を行う。
また、ワールドツアーカンパニーを組織して世界各地を従業して回ることもある。

*****

●ラバー、カム・バック・トゥー・ミー
Lover, Come Back To Me!
【邦題:恋人よわれに帰れ】


作詞:オスカー・ハマースタイン2世
作曲:シグモンド・ロンバーグ
1928年


《ヴァース》
あなたは去ってしまったのに、私はあなたをひきとめなかった
私たちは二人をつないでいた絆を切ってしまった
そして、あなたのことを忘れたいと思ったわ
過去は過ぎ去ったものとして追いやってしまいたかった
でも、あなたと会った夜の不思議な興奮は
いつまでも僕のこころの中にとどまっているようだわ

《コーラス》
空は青く、高く、
月は新しく、恋も新鮮だった
私の渇いた心は歌っていた
「恋人よ、どこにいるの?」

すると、あなたが現れて、恋がめぐってきた
そしてその日が過ぎ、あなたは去ってしまった
この痛む心は歌っている
「恋人よ、私のもとに戻ってきて!」

私はあなたのどんなことも思い出すたびに
とても寂しく感じてしまう
今、一人で歩く道はみんなあなたと一緒に歩いた道だから
寂しく感じるのは当然よね

空は青く、夜は寒い
月は新しいのに、恋は古くなってしまった
そしてここで待ちながら、私の渇ききった心で歌っている
「恋人よ、私のもとに戻ってきてちょうだい!」

【January 12, 2006】の記事を一部加筆修正

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズ・フュージョンへ

【ジャズ】人気blogランキングへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 5, 2007 07:46:10 PM
コメント(2) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.