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病理検査の玉手箱

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2006.11.05
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カテゴリ:日誌
これまでは過剰検査は月々の保険請求の返戻の分析から明らかになった.よくありがちなANCA, BNP, CRPなどの過剰検査項目については臨床の理解を得て適正化を申し入れることができた.しかし,入院医療費の包括化の中で検査に関わる費用超過や過剰検査が見えにくくなっている.臨床医はあまり気にならぬかもしれないが,過剰検査は検査医療の疲弊を招き,医療資源の浪費に直結する深刻な問題である.どの国も過剰検査対策に腐心しているようである.ときには検査技師たちの言い分に耳を傾けることも必要である.
 急性心筋梗塞の早期診断のためのgold standardとなり得るトロポニン検査の過剰に注目して,以下の報告を紹介する.

Meng QH, Zhu S, Booth C, Stevens L, Bertsch B, Quereshi M, Kalra J. Impact of the cardiac troponin testing algorithm on excessive and inappropriate troponin test requests. Am J Clin Pathol 2006;126:195-199. 【要 約】
心筋性トロポニン(cTnI)は心筋障害の程度を把握するためのバイオマーカーである.しかしAbbott AxSYMを用いたcTnI迅速検査(15分)の導入で,過剰検査が横行し臨床検査の業務負担と費用超過の原因となっている.過剰検査を抑制するための検査施行のアルゴリズムを設定し実行に移したところ,有意な検査件数の減少をもたらした.具体的には全検査件数は29.9%に減少,外来検査は70.7%に減少,一般病棟検査は42.8%に減少した.cTnI検査のためのアルゴリズムの導入で不要な検査オーダーが減少し費用軽減を達成した.不要不急な検査,24時間に1患者3回以上の過剰検査の削減にもつながった.これにより検査部の業務負担,検査コスト,労務コストが緩和された.救急・CCUでは制限を設けていないため検査件数は維持された.さらにはアルゴリズム導入の前後で心筋梗塞の診断件数には変化はなかった.不要なcTnI検査を減らしても患者ケアの質には影響しないことを物語る.この方法で急性胸痛を訴える患者の迅速で正確な評価を可能にすると同時に,有意なコスト低減策となった.





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Last updated  2006.11.05 07:33:55
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