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カテゴリ:『はみだしっ子』シリーズ
グレアム&アンジー7歳、 サーニン&マックス5歳の冬― 家出中に知り合った4人の子供たちは、ある喫茶店で世話になっている。 マスターと、その妹のローリーは優しく、4人はいつまでもそこで暮したいと願う。 しかし、ローリーたちは彼らのことを警察に連絡していた。 「ボクたちが欲しいのは、親という名を持った人間じゃなく…ホントに愛してくれる人」 4人が出会う2つの出来事― (1)捨て猫 子猫たちが待っているのは、自分たちを愛してくれる人=“恋人” 喫茶店にいられないことを知った4人は、同じ場所に座り恋人を待つ。 (2)雪の中、孫たちが来るのを待っていた、おじいさん 2度目に訪ねた時、おじいさんは肺炎で亡くなった後だった。 「恋人が来なくても、神様が来る」 語られる4人の過去― 初回はマックス。 父親に疎まれ、酒の勢いとはいえ首を絞められ殺されそうになり、逃げてきた。 クリスマス・イブ、雪の中に倒れる4人。 唯一意識のあったサーニンの前に現れたひとりの男性が、恋人だと名乗る。 「メリー・クリスマス」 涙で叫ぶサーニン。 皆が病院で目を覚ました時、その男性は病院の医者で、道義上彼らを助けただけと知る。 病院を抜け出す4人。 「いじけ者!ひねくれ者!ロクデナシ!はみだしっ子!―何とでも言うがいいサ! ボクたちも言ってやろう、きれいな衣をまとった人よ、さようなら! ザマアミロ!!」 最初、読みきりとして発表された作品で、 当時は最後に5年後の4人の姿が描かれていたそうです。 コマ割りはかなり細かく、アップが多く、文章も多く、読み難いっちゃ読み難いです(^^;) 絵柄はクセが強いけれど、とても可愛く、華があります。 表紙、マックスとの出会いの回想、イジケたアンジーを慰めるところ…と3回 ひとりと3人で向かいあいポーズを取る、ミュージカル風のショットが描かれ 全体にリズミカルな雰囲気をもたらしています>小さなコマなんですけど 台詞は詩的な言い回しが多く、4人のルックスの愛らしさもあって ファンタジーのような印象をもたらしていると思います。 まあ、“少女マンガの文法”と言えば、それまでなんですけど(^^;) 内容的には暗く重いです。 社会のしがらみ、色々な制度、慣習…そうしたものを除外視して ただ愛してくれる人を求める…という純粋な願いを掲げる4人。 まだ年齢的には幼い子供であるという設定ゆえに、その純粋さに説得力があると思います。 その純粋さを際立たせるため、もしくは正当化するため(?) 4人を取り巻く状況は過酷です。 ただ愛してほしい…という単純な願いは、遂に誰にも理解されることなく物語は終わります。 切ないシーンが沢山あります。 ギャグも挟まれているし、喧嘩するエピもあるし、 元気で逞しい面もちゃんと描かれているのですけれど それでも、やはり痛々しくて弱々しくて、切なくて泣けます。 「はみだしっ子」という言葉は最初、 社会に適応できず取り残されてしまった子供たち… という意味と受け取りそうになりました。 でも、そんなネガティブな意味合いではありません。 それでは、われらが「はみだしっ子」ではありません。 彼らは行動します。 病院を抜け出すという行為は、彼らが自らの意志によって社会から飛び出したことを 象徴しているように感じます。 そして最後の台詞が、今後の彼らの生き方―自ら選んだ生き方―を表していると思います。 序論“『はみだしっ子』review書くぞ” ◇人気映画・TVBLOG◇ ☆やっくんち☆ はみだしっ子(第1巻) ビリーの森ジョディの樹(第1巻) 少女まんが文庫カタログ(懐かし編) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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