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矢国 建の日記

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2008.02.05 楽天プロフィール Add to Google XML

見知らぬ世界、その2
[ カテゴリ未分類 ]    

まもなくして沙羅夫人が窓を開け、食事の用意が出来たことを告げた。僕たちは菫さんが犬の食事を持って外へでるのと入れ替わりに部屋に戻ると食卓についた。献立は玄米粥と山菜の漬物だった。朝食とあっていたって質素だが和食で安心した。僕は大のごはん党でパンやコーヒーが苦手なのだ。天城氏は全員が食卓についたところで、今日一日の無事と健康を祈ってから箸に手をつけた。食事の前の礼儀正しい作法にはびっくりしたが、本当はこうするべきなのだろう。天城氏には日本の昔の武士のような雰囲気がある。未来に来たと言われたが、なんだか古い昔の世界にいるような気もする。

「未来食はお口にあいますか?」
「未来食は宇宙食のようなものかと思っていたのに、なんだか昔の食事のような感じがします。」と僕は率直な気持ちを言った。
「素材の持ち味をそのまま素直に出す和食は体にとっても精神にとってもとても良いのです。世界中には、その土地の風土に合ったいろいろな料理がありますが、極めれば和食のような調理法が一番なのが分かってきたのです。」

「菜食主義なのですか?」
「完全な菜食ではありませんが、まあそれに近いでしょうね。」
「でも理想的には菜食主義がいいんでしょう。」
「理想というのでしたら、食べないのが理想です。」
「食べなかったら生きてはいけないでしょう。」

「さらに遠い未来には、人間は食べなくなると予測しています。なにを食べても命を食べているには違いありませんから、食べない方向に向うと思います。現に大気中からの生命エネルギーを取り込んで、なにも食べないで生きている人たちもいるんですよ。毎日摂取するのは水だけです。」
「本当ですか?未来の人類はほとんど食べなくなるのですか、まるで仙人みたいですね。」

「仙人そのものですよ。仙人なんて昔話の中に出てくる架空のものだと思っていたでしょう。今ではそんな人がたくさんいますし、そうなろうと努力している人たちもたくさんいます。」
「雲に乗って飛ぶことも出来るんですか?」
「僅かですが、雲に乗らなくても自分を空間移動させることの出来る人もいます。これは相当な高いレベルにないと出来ませんが。」
「それは持って生まれた才能ということなのですか?それとも訓練すれば身に付く技術的なものですか?」
「その両方が必要ですが、ただ、あなたの時代の波動レベルでは、おそらく誰も到達出来なかったでしょう。」

「私のいる世界と、百年後のこことでは波動が変わったというのですか?」
「そうです。地球の持つ波動が高く変りました。そしてそこで暮らす生き物たちが生命を維持するために摂取する食事の質や量も、昔とは変わってきました。私たちは生命を維持するために酸素を吸入し、水分を補給し、食事を取りますが、実はそれだけで生命を維持しているのではありません。大気からも大きなエネルギーを摂取しているのです。地球全体の波動が高くなると、物質的な食べ物を取ることより、大気中のエネルギーを取る比率が高くなりました。私どもの家庭では、ごらんのように質素な食事を朝晩、二度、僅かに食すれば一日のエネルギーは十分に補充されるのですが、中には水分の補給だけでまったく食べないで生活されている方々もおられるのです。」

「食欲、性欲は二大本能だといわれているのですが、その一つの食べる楽しみがなくなるのは少し寂しいような気もしますが・・・。」

「そうかもしれませんね。人間も生物の一種にすぎませんが、私たちの本質は肉体にあるのではなく、あくまで霊なのです。進化が進めば動物的な本能はどうしても薄くなっていくのです。だからといって、今のあなたに真似しなさいとは言いませんよ。それは無理というものです。おいしいと思ったものをたくさん食べて元気でいてください。一言、申し上げておきたいのは、ただ食べるのではなくて食材もすべて命あるものが食卓に乗っているのですから、感謝の気持ちを忘れないでいただきたいと思います。日本人は食前に「いただきます」と云いますが、あれは命を捧げてくれた食材に対して「命をいただきます」と云っているので食べ物への礼儀として素晴らしい習慣だと思いますよ。」

「日本人は魚介類も食べますが、元々肉類を食べる習慣はなかったのですから、菜食になるのは容易いかもしれませんが、西洋の人たち今も肉類を食べているのですか?」

「いいえ、現在では世界中どこでも、ほとんどの地域で食用に動物は飼育されなくなりました。驚かれるかもしれませんが、人間は意識が変われば、それまで当たり前としてきたことも平気で変えられるということが実証されました。肉食は人体にとって有害であるばかりではなく、哺乳類は霊的進化も進んでいて人間に近くなっているのです。それらのことを知りながら食用になど出来ませんよ。」

「意識レベルが上がるということは、自分の家で愛情を注いで飼っているペットに対する気持ちと同様の気持ちを他の動物たち全体にも感じられるようのなるということです。あなたは飼っているペットを食用にできますか?鶏肉や魚も一部の地域ではまだ食されていますが、いずれこれらの習慣もなくなると思われます。」

「地球の波動が高くなって、ずいぶん変化があったようですが、それはどうしてですか?」

「一言でいえば、人々の意識レベルが上昇したからです。意識が存在するすべてに作用し、すべてを作り出しているからです。昔、こんな話があったのを聞いたことがありませんでしたか?」

「幸島という小さな島に住んでいたサルの話です。その島の一匹のサルが与えられた芋を洗って食べることを始めたら、他のサルたちも同じように芋を洗って食べ始めた。それも海辺の海水で洗ったほうが塩分がつくので余計おいしくなるというものです。まあ、それだけならサル真似でよくある話だったのでしょうが、そのようなことを島全体のサルたちが始めると、その島から遠く離れた島に住んでいたサルたちも同じように海水で芋を洗って食べ始めたのです。」

「島と島とは行き来があるわけでもありませんし、ましてサルですから手紙や電話で教えあっているわけでもないのに、同じような現象が起きたのは何故でしょうか?それは意識というものがあるレベルに達すると時空間を越えて伝播する証拠なのです。この幸島の場合も島全体の百匹を越すサルが同じ行動を起こすことにより意識が時空間を越えたので、百匹のサル現象として有名な話なのです。これと同じ現象が地球規模で起きたのです。」


食事を済ませると僕たちはまた庭にでた。天城氏があちこちを案内してくれるというのだ。百年後の世界をドライブ出来ると思うと、新しもの好きの僕は本当に大声を出して叫びたいほど嬉しかったが、まさか子供のように走り回るわけにもいかず胸だけをどきどきさせて、天城氏の後をついていった。

手入れの行き届いた庭の向こうに車は止めてあった。緑色の被いをゆっくりとはずすと中から銀色に輝く車体が目に飛び込んできた。なんて斬新なデザインだろうか。さすが未来カーは違う。真横から見ると、ラグビーボールか卵をすこしつぶしたような感じだが、タイヤは見えなくてタイヤの代わりに半球状のものがくっついている。上部は透明なプラスティックのような屋根で覆われていて、全体の形は五角形、まるでこれではUFOのように見える。

「さすが未来カーですね。こんな変わった車は初めてです。これで空を飛べたらほとんどUFOですね。」
「これはスペースボートというんですよ。空も飛べるんです。昔、UFOといっていた乗り物と同じ機能があります。中を見てください。」といって透明な天板を持ち上げた。

覗き込むと運転席の前にあたる部分には操縦桿のようなものが突き出ているだけで、メカニックなものは何もない。フロントパネルの中で原子模型のようなキラキラと光るものがめまぐるしく回転運動しているのがあるだけだ。僕はあっけにとられた。

「こんなものだけで、空を飛べるんですか?」
「エンジンのような推力装置があるわけじゃあないんです。これはパワーステーションからの霊子エネルギーの受信機のようになっているのです。音叉をご存知でしょう。音叉は音の共鳴に使われるのですが、これは霊子エネルギーの共鳴装置と思ってください。お互いの振動数が同じになると共鳴現象でエネルギーを出すことが出来ます。私はそれをコントロールするだけなのです。」

「今日はこれに乗せてもらえるのですか?」
「そうですよ。わずかなあいだに、あちこち案内するにはスペースボートはもってこいです。家内が菫を学校に送って、戻ってきたら出かけましょう。それまでしばらくの間待ってください。」
                                            第二章 終



Last updated  2008.02.05 14:59:18





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