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矢国 建の日記

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2008.02.08 楽天プロフィール Add to Google XML

四 地球の姿、その1
[ カテゴリ未分類 ]    

天城氏が右手をあげて青く澄んだ空の彼方を指差した。今はだいぶ高く昇った陽のひかりが反射して、銀色にきらきらと光ながらこちらに降りてくるのはさきほど奥さんが操縦していったスペースボートだろう。音もなく静かに庭の上空までくると垂直に降り始めた。機体から出てきた夫人となにやら話していたが、僕に会釈して夫人は家に入っていった。

「お待たせしましたね。ではこれから空中ドライブにでかけましょう。」
僕を促すようにそう言うと天城氏はスペースボートのドアを開けてくれた。乗せて欲しいなんて言ってしまったが、僕の心臓は実は不安と興味とが複雑に交錯していて落ち着かないのだった。それに僕は高所恐怖症でもある。ためらっていると、
「何も心配はいりません。さあ、早くお乗りなさい。」
背中を押されるようにして、僕は覚悟を決めた。ここにいるのは僕の意識体なんだ。何かあったら夢から覚めればいいんだ。そう決めて僕は機中の人となった。

天城氏はスペースボートのほぼ中央にある操縦席に掛けた。僕はいったん後部にあるシートに腰を下ろしたがが、どうして操縦するのか気になって腰を浮かせて身を乗り出すようにして、彼の動作に見入っていた。エンジンのようなものはないと言っていたし、計器類のようなものも見当たらない。彼は操縦桿のようなものを持ってじっとしていた。精神集中をしているように見えた。するとどうだろう、いままでただのパネルに見えていた黒いパネルの中で蛍が飛び交うようにグリーンの光が点滅しながら回転し始めたではないか。よく見ていると、それらは何かを中心にして回っている。まるで原子模型のようだ。さらにそのまわりに数字やパターンが映し出されると、彼は僕の方を振り向いて微笑んだ。どうやら準備が整ったようである。

僕は慌てて座り直し、返事もせずに外を見た。すでに僕たちは浮いていた。動力のようなものは何もないのに、振動もせず浮かび上がっているのだ。まわりはぐるっと見舞わせるようになっていて僕は自分が鳥かなんかになったような気分だった。鳥でなければ魔法の絨毯に乗ったらこんなだろう。なんて素晴らしいんだ。高所恐怖症はどこかに忘れてしまった。

「まずはあなたに、とても珍しい風景をお見せしたいのですが、なにぶん始めての体験なので気分が悪くなるといけません。私がお呼びするまで、しばらくの間、目を閉じていていただけませんか。」
そう天城氏に言われるまで、僕はずっと窓の外を見回していた。それはまるで、初めて旅行に連れていってもらう小学生のようだったに違いない。僕は素直に頷いてシートに体を沈めると目を閉じた。

それにしても素晴らしい乗り物だ。音もせず振動さえしない。彼は動力原理として霊子エネルギーを共振、増幅させて推力にしていると言っていた。操縦桿の前のパネルの中にそんな装置が組み込まれているのだろうか。それにして操縦桿以外に操作するスウィッチ類やボタンは見当たらない。みんな意識でコントロールしているのだろうか。見ればみるほど、聞けば聞くほど疑問が膨らんでいくけれど、今の僕の知識では到底理解できないことばかりだ。

そして僅かな時が流れ、静寂は破られた。
「もういいですよ、目を開けてみてください。」
言われるままにゆっくりと目を開けると、天城氏の肩越しに素晴らしい光景が飛び込んできた。言葉をなくすとはこのことか。なんて美しいんだろう。光輝いている。瞬きを繰り返しながら、僕の頬を涙があふれて流れ落ちる。

「お分かりですね。太陽系第三惑星。私たちの住む地球です。」
写真ではなんども見たことがある。NASAが人工衛星を使って撮った地球の写真だ。しかし、今、僕の目の前にある地球は生きて、そして動いていた。暗黒の空間に太陽の光を浴びて輝き、自身の出すオーラがコロナのように揺らめいていた。

「誰でもこうして実際の地球の姿を見ると、それまでの考え方が変わります。この星に住むのは、どこそこの国の人間や民族ではなく、全員が地球人です。人を肌の色や国で分け隔てる愚かさが分かってもらえます。地球とそこに生きる全てのものへの神の恵みは平等です。全ては神の意識の創造物であり恵みです。そしてそれらは誰にも公平に行き渡るべきなのです。」

暗闇に浮かぶ美しい惑星を見つめていると、彼の声がさながら神の声に聞こえて、僕はなんども涙を拭った。
「まだ私はこのあたりまで飛ぶのが精一杯ですが、リーダーの中には惑星間飛行に成功された方もいらっしゃるのですよ。」
「サイエンスフィクションとして読んできたきたことが現実になっているんですね。地球人というより、宇宙人ですね。この宇宙には他の惑星の知的生命体が存在すると言われてきましたが、実際にお会いになられたということですか?」
感動ではちきれそうになりながら、僕はなんとか思いをまとめてそう言った。

「そうです。あなたの時代にも確率的に存在を予測する方はいましたが、それらのことが実証されたのです。そして分かったのは、地球人類というのは他の惑星の人類と比較して進化がずいぶんと遅れていることです。」
「我々より進化した宇宙人がいるのですか?それらの人たちは我々とは全く違った姿をしているのですか?我々も進化を遂げるにしたがって彼らのようになっていくのですか?」
「肉体的に進化しているという意味ではありませんよ。姿、形はその惑星の環境に順応した形ですが、一人一人の霊性の進化が地球人より進んでいるのです。したがって営む社会形態も違いますし、我々の模範となるような生き方、考え方をされているのです。これからはそれらの惑星とも交流が盛んになれば地球人にとっても大いにプラスに働くでしょう。」

「彼らはどうしてもっと早くから地球に交信してくれなかったのでしょうね。そうすれば、地球人だって考え方を改める時期が早くなったかもしれません。」
「極めて限られた人たちとは交信していたのではありませんか。」
「写真を撮ったとか会ったとかいう本は読んだことがりますが、鮮明な写真はなかったし、どうしても信用することが出来ませんでした。」

「ほとんどの人がそうだったのでしょうね。彼らは地球全体の意識が変わるのを辛抱強く待っていたのです。信用出来ないといっている大勢の人たちを驚かせて世の中をパニックにしてまでも、知らしめる必要がないと考えたのでしょう。」
「UFOの見える人と見えない人がいるのはどうしてですか。」
「波動が同調するかどうかです。波動は低いものが高いものを見ることはできません。あの時代はまだ地球全体の波動が低かったので、一部の高い波動が出せる人だけが見られていたのです。また見せたほうが良いと思われる人に対しては彼らのほうが波動を下げて見せたりもしたようです。さて、それでは少し降りていってみます。」(続く)



Last updated  2008.02.08 11:24:38





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