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「天空に宇宙船が訪れて、多くの地球人類を運びさった後、おとずれた大きな地震はどうやら地殻変動による局地的なものではなく、地軸のずれが引き起こした揺れだったようで、世界各地で次第に電力の供給が止まり、それに伴って通信網が破れ始めて、孤立した地域が増えてゆきました。」
「それにしても、現代科学が産んだ万能とも思えた電気製品は電力の供給がなければ、なんとも無力な粗大ゴミに変わり果ててしまうものなのでした。天が荒れ狂い、地が揺れると輸送手段も途絶えてしまい、人類は大昔に引き戻されたが如く、サバイバル生活を余儀なくされました。」 「私たちのグループは通信手段もほとんど途絶えたなかで、それぞれがテレパシー能力を使って離れた生存者と交信を始めました。最初は一方通行のようにエネルギーの放出をするだけでしたが、次第に反応する人々が現れ始めたのです。車座になって手を繋ぎエネルギーを高めてメッセージを送り続けたのです。」 「テレパシーの素晴らしいのは距離の長さには関係なく反応することと、言葉の壁がないことです。私自身がそうでしたが、あの最後の大地震以来、能力が出現し、日ごとに強くなっていっていたのです。誰しもがそうでした。それは多分、地球自体の波動が高くなり、そこに生きているものたち全てに影響しているようでした。一年以上も交信を続けた結果、世界中からいろいろな情報が集まってきました。生存者は日本だけではなく、世界中にいるということ。分かっただけでも世界に2億5千万人もの人たちと連絡することが出来たのです。」 「私たちは最初の試みとして、コンシャスステーションという情報基地を世界各地においてネットワークを作り、これからの人類の行く末について語り合いました。何よりも食料の安定的な生産、衣類や住居の問題などでしたが、なにしろ輸送手段はなにもありませんでしたから、当初は情報の交換だけでした。しかし、世界各地にはさまざまな分野の専門家もいて、失われた分野の技術の修復なども可能ではないかと思えてきたことが希望を膨らませました。」 「科学技術の再生に必要なのはエネルギーの問題です。過去の教訓から、どんなに不便でも化石燃料や原子力に頼るのは避けようという共通の認識がありましたから、日常での僅かな電力を水力や風力に頼った発電は修復が進みましたが、それではとても足りません。」 「そんな時、素晴らしいニュースが入りました。或る日本人の研究者が霊子エネルギーを取り込んで永久運動する発電機の発明に成功したというのです。霊子エネルギーというのは、大気中に無限に存在するエネルギーですが、三次元エネルギーではないために利用する技術が見つかっていなかったのです。地球の波動がそれまでより高まったために、使えるようになったのです。彼は特許権を主張することもなく、その日のうちに設計図はビジョン化されて世界中に届けられました。」 「いくつかの永久磁石と特殊なコイルの巻き方に工夫があったようでしたが、作るのに特別な技術が必要なわけではなく、操作もいたって簡単で世界中に普及するのに時間はかかりませんでした。さらに、一年後には空気エンジンも考えられました。空気に含まれる水素と酸素だけを燃焼させて動くエンジンです。それまでのガソリンエンジンを少し改良すれば動くようになりましたので、これも人々の移動やモノの輸送に役立ちました。スペースシップヤスペースカーが作られるようになったのは、それよりもずっと後のことで、地球外に避難してした人たちが、次々と戻ってくるようになった2080年以降のことです。」 「私たちは、スペースシップやスペースボート、スペースカーが発明されるのは半ば予期していました。霊子エネルギーを使う技術が発明された時点で、霊子エネルギーの特性が分かってきたからです。大気中から霊子エネルギーを集め、増幅して電波のように発信できるパワーステーションを世界各地に設置し、エンジンの代わりにエネルギーを受信、送信する共鳴装置を載せた乗り物を作ることができれば、それは多分宇宙船の推進装置と同じだろうと考えていたからです。」 「しかし、なにぶんにも、その頃はまだ、資材も人材も足りず、さらにいえば、生活基盤となるありとあらゆるものが整備されていませんでした。それにまもなく、地球外に避難していた人々も戻ってくるとなると、これからの社会システムについて、幾度も長い時間をかけて協議していました。基本的には慈愛に満ちた社会を目標として、社会的弱者の人権を基本ベースとしてシステムを構築しようとするものでした。」 「国家制度の撤廃は国境線がなくなることを意味します。人類は全員が地球人となるのです。完全な民主主義を目指すことは一人一人の個の確立が要求されます。組織は構成されますが、ピラミッドタイプの組織ではなく、ネットワーク型の繋がり組織です。兵器、銃器などの製造と所持の禁止、そして軍備は持たない。その代わりにボランティア隊員による災害救助隊の編成と登録制度。」 「今はありませんが、世界共通通貨は当初は導入しましたし、最低賃金制もありました。地球資源、不動産等の所有権と売買の禁止他にもいろいろありましたが、今思い出せるのはこのぐらいでしょうか。今のシステムに進む過渡期的なものでしたが、それでもそれまでのシステムと較べたら画期的なものでした。」 「西暦2070年を過ぎたころから、宇宙船で避難していた人々が戻り始めていました。エネルギー問題も少しずつ回復して新たな文明が始まろうとしていました。組織的な食料生産が行われたり、衣料用繊維の製造、住宅の整備、そして苦しい時代でしたが、教育は常に継続されてきていましたし、診療施設も整備されていました。」 「2090年までにはほとんどの人々が生還しました。帰ってきた人々と話して、面白かったことは、ほとんどの人たちが歳を取ったという認識がなかったということでしょうか。長い間地球を離れていたとは思っていなくて、何十年も経っているのに、ほんの数週間、地球を離れていたのだと思っていたことです。」 「地球と他の天体とに時間の経緯がそれぞれ違うこと、そうとうゆっくり時間が流れていることが分かりました。また地球外生命体についても、地球人とほぼ同じだったという人もいれば、形は似ていたけれど、もっと小柄だったという人、光の球のようで、形が一定ではなかったという人などさまざまだったというのも面白いことでした。地球の危機に、いろいろな生命体が駆けつけてくれたのです。そして、救い出してくれただけではなく、これからの地球人としての生き方、考え方なども学習させてくれていたのです。」 「帰ってきた人々が口々に言ったのは、再び地球に戻ったら、まず自分のことより、社会全体のことを考えよう、自分の力を他人のために役立てようと、心から思ったというのです。残っていた人々の考えていることと全く同じでした。素晴らしいことでした。」 「霊子エネルギーのパワーステーションが作られ、スペースボートが製造されたり、さらに大きなスペースシップが建造されるようになると、人々は好きな時期に好きな場所へ瞬時に移動できるようなり、交流も盛んになって、地球は活気に満ちてきました。」 「人々は争うこともなく、とても穏やかでした。新しい社会システムはうまく機能していました。人々は自立し、真の平和を満喫し、自然と共存することの素晴らしさを心から感じていました。」 「地球に存在するすべてものを共有しているということは、資源コストがかからないことです。コストは人的なものにかかるだけです。その人的なコストも食料、衣料、住居の順に無料になっていき、やがて医療や教育も無料となり人的コストはゼロとなりました。したがって通貨も必要がなくなりました。」 「社会全体にとっての絶対労働力も、復興期は別にして、現在の人口で割ってみれば僅かなものなのです。かつては、利益を稼ぐために必要以上に働いて、必要以上のモノを生産していたのです。今は社会全体にとって必要なものだけが必要なだけ生産され生かされて使われています。利益について考える必要は全くありません。現在の様子は天城さんとご覧になって納得されたはずでしたね。こうなるまでに、約100年近くかかりました。まだまだ完全にはほど遠いが、いずれは理想の社会となることでしょう。そうなるまでは努力を続ける覚悟でいます。必ずそうなります。」アクエリアスの時代へ、終
Last updated
2008.02.19 10:53:25
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