焼肉屋『多牛』にいってきました!?
友達から連れられうわさに聞いていた念願の『多牛』に遂に行って来ました。うわさとは、「七輪で煙がモンモン、しかし上カルビは美味しい。」といったうわさである。店に着くと店の回りを取り囲むように車がびっしりと並んでいる。もちろんお客さんの車である。ダクトからはうわさ通り煙がモンモンと吐き出されている。店に入れなかったお客さんがこの寒い中10人以上も並んでいる繁盛店である。とりあえず人ごみを掻き分け、お店の中に入ると名前を書きこんだ。10組待ちである。店の中では人は多いし、煙が目に痛いので外で待つことにした。支払いが終わり、お店から出てくるお客さんは一様に満足な顔を浮かべて出てくる。こんなに煙が充満しているのに、以外と若い女性客が多い。40分ほどしてお店の中に入る事にした。何時名前を呼ばれても、すぐさま入れる準備の為に。お店の作りはいたって単純である。あまり広くはない座敷にテーブルが10個ほど。詰めても50人くらいが限界だろうか。七輪にカルビをのせてたまに火が上がる。側にいた4,5歳の子供が「焼肉はやっぱり多牛やね!」と、まるでテレビのコマーシャルのような事を話している。この子供達にそう言わせるこのお店の秘密はなんだろう。ちょっと薄暗いお店には音楽もない。時々思い出したように音楽がなるが、一時また中断される。薄い座布団にホームセンターでかったような簡易テーブル。その上に燃えないように金具をつけて七輪がドンとのる。1時間が過ぎたところでやっと名前を呼ばれた。席につくとメニューがやってきた。メニューに目を通すと焼き物は、上カルビ、上ロース、上ミノ、上ホルモンにあとはトントロや鶏といったメニューである。上カルビはなんと1人前450円である。2人前注文すると追加注文が出来ないと言われた。結構殿様商売である。上カルビに上ロース、ミノやホルモンをちょっとずつ注文した。やってきた上カルビは予想以上のカルビである。普通450円のカルビといえば輸入物というのが相場である。しかし出てきたカルビは山田ホルモンの小売で620円で売っているカルビと変わりない。素人目に明らかにわかる、つまり和牛である。今日は車の運転もあるので、お互いウーロン茶を一杯ずつ、途中で加わった友人と3人で腹いっぱい食べて支払いは、6,000円である。ひとり2,000円位の予算で焼肉を腹いっぱい食べれるのだ。しかも食べ放題のような安い肉ではなく、れっきとした和牛を。それは出てくるお客さんが嬉しい顔で店から出てくるのが納得いく。この店は決して内装に凝ったり、商品開発に力を入れてはいない。かと言って安さだけを追求しているわけではない。コストと満足度に大きなギャップがあるのが売りなのである。もちろん高い代金を払えばいい肉を食べられる。しかしこの値段でこの質のお肉をいただけるといったギャップが、お客様に受けているのである。決していい立地ではない。むしろ探しても見つけにくい場所にあるだろう。立地が悪いから、お店の内装にかける費用がないから、無煙ロースターがないから、輸入肉が入らないから繁盛しないと嘆く経営者がいる。お客様が求めるものは、もしかしたらこのような『コスト』と『満足度』のギャップかもしれない。