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ポンコツ山のタヌキの便り

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2005年12月11日
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カテゴリ:宮部みゆき作品
 SIGHT編集部・編『日本一怖い! ブック・オブ・ザ・イヤー 2006』(ロッキング・オン、2005年12月)で、翻訳家・評論家の北上次郎とミステリー評論家の大森望とが対談形式で2005年のエンターテイメント作品について論じ合っていますが、宮部みゆきの『孤宿の人』(新人物往来社、2005年6月)も俎上にのせて論評していました。

 大森望は、『孤宿の人』について、「実はこれ、宮部さんの時代小説長編では最高傑作じゃないかとひそかに思ってるんですよ。といっても、今までの江戸物とはかなり方向性が遣うんですけど。これまでは、ミステリの枠組みがまずあって、背景が時代小説っていう感じ。今回はもっと踏み込んで、個人の因縁を超えた大状況を描いている。しかも、核心になるのは、日本的な自己犠牲のドラマですよね」と述べています。

 そして、「今回は、江戸を離れたことで、従来の得意技をあえて封印しているようなところもある」とするとともに、上述の「個人の因縁を超えた大状況」についてつぎのように指摘しています。

「最初に起きた小さな事件の構造が、やがて藩全体の問題に拡張されて、更に広げると将軍家と丸海藩と加賀様の関係に重なる。不祥事を隠蔽して穏便に決着させるためにあれこれ努力するって意味では、それこそ横山秀夫なんかの警察小説とも重なるような現代性があるし。これまでの時代物で描いてきた人間関係のドラマが組織のドラマに広がった感じですね」


 「横山秀夫なんかの警察小説とも重なるような現代性」というのは、『孤宿の人』において、藩の存続を全てに優先させ、自藩存続のためには手段を選ばず、不祥事は徹底的に隠蔽し、そのために藩内に生きる様々な人々に理不尽な犠牲を強いていく、そんな組織の非情さ、酷薄さがリアルに描かれてことを指摘して言っているのかもしれませんね。

 これまでの宮部みゆきの時代小説の読者の中には、「昔はよかった、現代と違い、心が豊かな時代だった」なんてステレオタイプな感想を述べる人が結構いましたが(なんと、昭和30年代を舞台にした映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のレビューもそんな類の感想で溢れています)、『孤宿の人』を読んだ後に、江戸時代の丸海藩に生まれたいと思う人はあまりいないのではないでしょうか。

 『孤宿の人』によって新境地に挑んだ宮部みゆきは、「毎日新聞」2005年7月14日の東京夕刊に載ったインタビュー記事でつぎのようなことを語っています。

「偉い役人や金持ちの町人より、名もなく毎日懸命に働いてお足を稼ぐ庶民の方が、一番正しく、温かい。これまで私はそう書いてきました。今回のように、善良な庶民がどんどん死んだり、不幸になったりする話を書いたことはなかったのです。でも、封建制度の江戸時代には、どんなに心の温かい庶民も権力に対しては無力であり、割を食ったり、犠牲にならなければならないことが多かった。そこを一度、しっかり書きたいと思い続けていました」




 





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最終更新日  2005年12月12日 18時55分03秒
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