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ポンコツ山のタヌキの便り

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2014年09月05日
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カテゴリ:宮部みゆき作品
早川多恵(冨士眞奈美)は、杉村(小泉孝太郎)、手島(ムロツヨシ)、前野(清水富美加)、坂本(細田善彦)たちを彼女が営むコンビニ店の近くの喫茶店に連れていき、彼女が親しげに「みっちゃん」と呼ぶバスジャック犯の暮木老人(長塚京三)の生い立ちを語り始めます。

 「みっちゃん」の本名は「羽田光昭」と言い、早川多恵と同い年生まれの幼馴染みとして畑中村に育ったそうです。彼が10歳のとき、家が火災で喪失し、みっちゃんの家族は彼以外全員焼死してしまいます。噂によると、前年にみっちゃんの祖父が亡くなり、羽田家と祖父の弟との間に遺産相続争いが起こり、その弟(みっちゃんにとっては大叔父に当たります)は羽田家までやって来て暴力事件を引き起こしたために、みっちゃんの父が裁判に訴えたそうです。その直後に羽田家は放火されており、周囲の人々は大叔父に疑いを持ったとのことですが、なんとただ一人生き残ったみっちゃんは遺産争いを起こしたこの大叔父に引き取られることになります。大叔父に育てられたみっちゃんは、高校卒業後に東京で仕事を探すと村を出て行ったそうです。

 少年時代は無口だったみっちゃんですが、東京に出てから訓練を重ねて雄弁な青年となり、32歳のとき早川多恵に「俺、先生になるよ」と報告したそうです。彼は勤務している会社で研修を受けて資格を取り、トレーナーになって人を教える立場になったそうです。そんなみっちゃんがチーフトレーナーとして責任を負ったある会社の研修会で参加した生徒を怪我をさせるという事故を起こしますが、そのとき同じ会社の2年先輩のトレーナーだった御厨尚憲が事をまるく収めてくれたため、みっちゃんにとって御厨と言う人物は恩人となったそうです。

その後、御厨とみっちゃんは自分たちでトレーナーの会社を興し、小羽雅次郎を担いで「日商フロンティア協会」を成功させ、得るものをすべて得てから身を退き、その後は御厨とみっちゃんの関係は切れていたそうです。そんなみっちゃんが旅行先で川で溺れかかり、火事で焼死した両親とお兄さんにあの世に渡る三途の川で再会するという臨死体験をしています。そのとき両親から戻って生き直せと言われたそうで、そんな臨死体験は彼にこれまでの生き方を悔い改めさせ、稼いだお金を児童養護施設や犯罪被害者支援団体に寄付するようになり、さらに日商フロンティア被害者の会に参加するなかで、被害者意識のみを持って加害者としての過ちを少しも持たない人物たちに激しい憤りを感じ、「彼らは自分たちが耕した畑に生えた悪い芽なんだ。なんとかしなくては」と思い、プレミア会員の葛原、高東、中藤の三人を罰するハイジャック事件を計画することにしたそうです。

 早川多恵が語るこのみっちゃんの改心の話に激しく反発したのが坂本君でした。そんなの欺瞞だ、自らの詐欺行為を警察に出頭してあらいざらい自白すべきだ、日商フロンティアに何の関係もない僕たちを一方的に巻き込むようなバスジャック事件を引き起こして非常な迷惑を受けた、と早川多恵を睨み付けて自分の憤りをストレートにぶつけるのでした。

 そのころ、杉村家の菜穂子(国仲涼子)に兄嫁の小夜子(安蘭けい)が訪ねてきて、今多会長(平幹二朗)が無事に北米の旅から帰国したとの橋本(高橋一生)からの連絡を伝え、そのままキッチンでの菜穂子のパイ作りを手伝い始めます。そのとき橋本自身から菜穂子の携帯に電話が掛かって来ました。そのときパイ作りで手が放せない菜穂子に代わり、小夜子が電話に出てしまうが、すぐに菜穂子に代わります。高橋は「いま電話すべきではなかったですね。切った方がいいですね」と言いながらも、「菜穂子さん、菜穂子さん」と思わずつぶやいてしまうのでした。

 そんなある日、森元専務(柴俊夫)本人から回顧録続行の連絡を受けた広報室では、表紙などの見本を間野(長谷川京子)が一人で届けることになりますが、その帰り海風市のバス停で坂本と一緒になり、バスに同乗することになりますが……。





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最終更新日  2014年09月11日 13時43分41秒
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