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カテゴリ:落語
今日(5月24日)に鹿児島市内の黎明館2階講堂で桃月庵白酒独演会が開催されましたので夫婦で楽しんできました。 白酒師匠と言えば、 評論家の広瀬和生が「羊の皮を被った狼のような落語」と評していますが、その魅力の一つが毒気ですね。白酒師匠の自著『白酒ひとり壺中の天 火焔太鼓に夢見酒』(白夜書房、2013年9月)125頁に、同じ早稲田の落研出身の柳家甚語楼と二人会などをやっていた頃、マクラで「ざっくばらんに好き勝手に、愚痴と腹の立った話題をただ羅列していただけ」だったそうですが、甚語楼から「空気が悪くなる」と言われ、「毒のあり過ぎるマクラをちょっと変えてみるか、そんな感じで、愚痴話をちょこっと変化させてみたのです。マイルドなアイロ二ーに変えるというか、言い方を工夫してみました」と書いています。 私も、白酒師匠のずんぐりむっくりした福々しい外観の高座から繰り出される意外な毒気が何とも言えず大好きなのですが、今日の独演会にもその毒気が充分に発揮され、大いに満足させられました。例えば今回の独演会の主催者の方々に感謝の意を表しながら、渡された濡れタオルがキンキンに冷やされており解くのが大変だったとか、借家の相場が場所の人気の有無によって違いがあり、例えば鹿児島ならほぼ同じ場所でありながら「玉里」と「伊敷」とではイメージが違う、と言って後は言葉を濁したり、さらに高崎山の猿の赤ちゃんの愛称を「シャーロット」とするときに英国大使館に問い合わせたが、「きっと大使館から見たら猿と日本人の区別なんかつかないだろう」と毒気が炸裂し、会場は大爆笑でした。 さて私個人のもう一つのお楽しみは、最初のマクラを聞いて本題の演目を予想することなんですが、世間にはいろいろな職業があると言って、医者でも切った貼ったの外科医と相手の話を聞くことが主となる内科医では随分違うと話し出したときは、ははん「代脈」当たりかな、しかし「代脈」は3年前に白酒師匠がすでに演じていたはずだから、「夏の医者」かもしれないなとあれこれ推測していましたら、これが床屋の待ち時間に文字を読むのが不確かな男が手にしていた読み本の『太閤記』を読まされて四苦八苦する「浮世床」だったり、マクラで借家の場所による相場の話にはいささか戸惑っていると本題は「お化け長屋」でした。確かに長屋の空き家を無断利用している長屋の住人たちとその空き家を借りに来た人物たちとが繰り広げる滑稽譚ですからマクラと本題とは繋がっています。 さて、中入り後に高座に上った白酒師匠がまずマクラで語り出したのが先ほど紹介したお猿の愛称「シャーロット」なのでね、これも本題の推測が付きませんでしたが、戦国時代のような戦乱の時ならカリスマ性のあるリーダーが求められるが江戸時代のような平和な時期には「あっ、あそこに蝶々が」といった感じの殿様でも構わないと来たので、もしかしてどこかネジが何本か抜けている赤い御門の守と家老の三太夫が出てくる噺が本題かと推測しますと、これはびったしカンカン、なんともお馬鹿な殿様と家老の両者の間で繰り広げられる滑稽譚「松曳き」でした。最後は見事に当てたので「余は満足じゃ」でございました。 なお、拙サイト「十人十席の噺家の高座」にアップしていました「桃月庵白酒」に今回の独演会のことを加筆しておきました。 ↓ http://yamamomo02.web.fc2.com/rakugo/hakusyunedoko.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんばんわ。
今度はチケット買わなきゃ。 薩南学派で伺いました。 linkいたします。 yorihime3.net歴史探訪リンクの薩南学派でどうぞ。 (2015年05月31日 22時43分37秒)
今井さん、コメントに感謝します。
白酒師匠の独演会を大いに満喫しました。今度機会がありましたら是非チケットを購入されて楽しまれたらいいと思います。 薩南学派の祖といわれるのが桂庵玄樹ですが、伊敷街道(国道3号線)の伊敷仮屋バス停のすぐそばに、「桂庵玄樹の墓入口」の案内板がありますね。 >こんばんわ。 >今度はチケット買わなきゃ。 > >薩南学派で伺いました。 >linkいたします。 >yorihime3.net歴史探訪リンクの薩南学派でどうぞ。 ----- (2015年06月01日 20時31分43秒) |