|
カテゴリ:やまももの創作短編
内川さんが小学校2年生のころであったろうか。彼の母から父に対して、浮気相手やその相手との関係について「バイシュンフ」とか「ニクタイカンケイ」なんて幼い子どもには理解しがたい言葉がつぎつぎと発せられたのは。激しい両親の諍いに内川さんはその幼い心を痛めながらも、「バイシュンフってどんなハエなんやろか?」とか「その女性との関係、おかあちゃんにはきっとニクタラシイ関係なんやろな」なんて考えたものである。
内川さんの母は非常にプライドの高い女性でした。内川さんの父親はそんな母親のプライドを平気で何度も何度も繰り返し踏みにじる人でした。特に彼の家の庭に建てられた離れの小さな一軒家に間借りした女子学生(母の後輩に当たります)と父がニクタラシイ関係(?)になったことを知った母の憤りは激しく、まさに般若の如く怒り狂ったものでした。 そんな母は学校の教師をしていましたが、勤め先の学校の生徒たちが発行している新聞部の企画として恩師訪問というものがあり、生徒たちが内川さんの家に取材にやって来たことがありました。そのころ、内川さんの両親は諍いの真っ最中でしたが、その日ばかりは二人は生徒たちにこやかな笑顔を見せ、幼い彼も同席しました。 さて生徒新聞にはどんな記事が掲載されたのでしょうか。内川さんは全く覚えていませんが、きっと先生のご主人も教師をしておられる仲良しの教師夫婦でしたなんてことが書いてあったに違いありません。そして「仲良し教師夫婦」とその間に幸福そうな笑顔を見せる坊やが撮られた写真が載っていたことでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年12月24日 05時00分48秒
コメント(0) | コメントを書く
[やまももの創作短編] カテゴリの最新記事
|