|
カテゴリ:の
怠惰な一日。
日が沈みかけ、辺りがやや暗くなる。 ふと、実家の近所の公園を見たくなったので出かけることに。 懐かしい通学路を通り、公園へと向かった。 実家の周りは、もはや駅に向かう道以外通ることがなくなってしまっていたので、 とても懐かしく、また、変化が寂しくもあった。 向かう公園は『別所沼公園』。 私が幼稚園から大学に入るまで何かとお世話になった公園である。 地元の人々は公園を発音せず「べっしょぬま」と言う。 時折「沼」と呼ばれることもある。 この別所沼公園。 なかなか大きい公園で、井の頭公園の半分くらいのサイズはあるのではないかと思う。 ランニング用の赤い道(なんと呼ぶのでしょう)があったり、フットサルやゲートボールが出来る、屋根つき人工芝の広場があったり、子供たち用の遊具があったりと、レパートリーは豊富だ。 この公園からすぐ近くに私の通っていた中学校もあり、写生大会などで利用されることも。 久しぶりに公園入り口に立つ。 この入り口にも思い出がひとつ。 あれは、中学2年生のとき。 中学校からの帰り道、私と友人達(女子もいましたが、その女子は私ではなく友人を好きでした)はちょっと寄り道をしてコンビニで買い食いをしていた。 そんなときに、不幸にも先生に遭遇してしまう。 うちの中学校はなかなか厳しく、寄り道や買い食いは禁止されていた。 そんなことだから、見つかったのはマジデヤベェ。 先生は「一度全員学校に戻って来い」と一言。 「は?なめんなよ、ばっくれようぜ」 と言い出す人間は1人も居らず、皆テクテクと学校へ向かっていった。 まあ、たかが買い食い程度の事で、大して怒られる筈も無いと思っておいたのだろう。 友人も女子たちも(その女子達はは私ではなく友人を好きでした)平然と着いていく。 しかし、私は焦っていた。 なぜならば、私の鞄の中には長渕剛の「RUN」のシングルCDが入っていたからだ。 たかだか寄り道や買い食い程度の事で怒る教師達である。 長渕剛の「RUN」を不正に所持していることがばれたら、職員会議にかけられるのは間違いない。 悪くすれば停学だ。 私は焦った。 そこで、別所沼公園の入り口に差し掛かったときに、長渕剛の「RUN」を茂みに隠したのだ。 こうして、私たちは「寄り道買い食いの罪」だけで済み、事なきを得たのであった。 その後、しっかりと長渕剛の「RUN」は回収され、そして今はもうどっかにいってしまった。 閑話休題。 公園内へ入った。 ふと、横を見ると「ペットを捨てるな」という看板が。 この看板、木の板をネコの形にかたどったもので、猫の体の部分に 「すてないで あなたのかわいい その犬猫鳥を」 と書いてあるのだ。 なんとなく五・七・五調になっているのだが、最後の部分が物凄い字余りである。 せめて「その」をとれば良いと思うのだが。 そして、「すてないで」と「犬猫」、鳥をの「を」が赤い文字で書かれている。 ・・なぜ「鳥」の部分だけ黒字なのか。 そもそも、鳥を捨てるなんてことがあるのか。 むしろ、「鳥」をなくせば五・七・五にピッタリと収まるのだけれど・・・。 しかし、懐かしい。 もう20年近く、この看板は立っているのではないだろうか。 ・・懐かしい。 ・・懐か・・・こわい! 携帯でご覧の方はお見せすることが出来なくて残念であるが、逆に見ない方が良いかもしれない。 辺りが暗くなっているということもあるのだろうが、はっきりいってこれは「呪い」の一種である。 明らかに何らかの怨念が宿っている。 主に、黒字でかかれた鳥の恨みであろう。 因みに画像では分かりにくいが、猫の耳の部分は二つとも取れてしまっている。 とまあ、一歩入っただけでこの有様。 この先何が待ち受けているのやら・・・。 暫くテクテクと公園内を歩いた。 所々、見慣れないものがあったりもするが、概ね昔の記憶と変わっていない。 家族連れや、犬の散歩、おじいちゃんの散歩、ランニングをする人など結構な人で賑わっていた。 今も変わらずここは憩いの場なのだ。 そういえば、「この池に飛び込まないでください」という立て看板があり、 「え?ここ沼じゃないの?池?どういうこと?」と地元民を悩ませていたのだが、 その看板は撤去されてしまったようだ。 ベンチなども、新しい木のベンチなどに変わって・・・・。 まさか。 無くなってしまったんじゃないだろうな。 「いつもの場所」が。 私は足を速め、目的の場所へと向かった。 途中、ギターを弾いて熱唱する人がいた。 普段ならばちょっと立ち止まって一曲聴いていくところだが、今はそれどころではない。 彼の歌に後ろ髪を引かれつつ、目的の場所へ。 そして、そこにはちゃんとあった。 多少風景は変わってしまったが、 「いつもの場所」 いつものベンチと、灰皿である。 「ほんじゃ、いつもの場所で」 そう言って、小学校、中学校の仲間たちと集まっては 夢だの、恋だの、くだらない話だの。 夜遅くまで話し合っていた。 高校時代から浪人中も、何かあるたびにここに来て、 それぞれ違う煙草を吸って、近くの自動販売機で買った缶コーヒー片手に、 暑い夜も寒い夜も、馬鹿みたいに盛り上がっていた。 懐かしいものだ。 あの頃の仲間は、今はもう殆ど連絡も取らなくなってしまい、 どこでどうしているのやら。 まあ、それぞれが元気なのだと思う。 あまり出世は出来そうもない奴らばかりだけれども。 ふと見ると、缶コーヒーの空き缶が落っこちていた。 もう、別の誰かの「いつもの場所」なのだな。 空き缶を捨てようと思ったが、ゴミ箱が見つからなかったので そのままにして帰った。 辺りはもう真っ暗。 最近、夜になるのが早い。 冬なんだなぁ。 記:出世出来そうもない野間 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|