『下流の宴』 林真理子
『下流の宴』 林真理子を読みました。今回は、そこそこの家庭の母親が子育て本を読み実践し、いいといわれる私立中学まで入れたのにも関わらず、子供は全く覇気なく育ち中学を退学しフリーターになってしまった家庭の話でした。タイトルが「下流の宴」とは林真理子さんらしい潔いタイトルです。今の母親世代?というか団塊の世代は努力・頑張った先には成功というか努力してもっといい服・いい車・いい家に住もうという気概というものがあったという設定で、母親とその母親(祖母)が描かれています。しかし、一方その息子は努力しなくてもそこそこでよくて、年収300万円でも一生フリーターでもかまわないっていうことを心の底から思っているタイプです。母親からしてみれば、息子の気持ちはさっぱり分からず息子からしてみれば、母親とは分かり合うことはないと思っています。話の中盤から、その息子翔の彼女として、珠緒という女性が登場し彼女は努力の塊のように猛勉強して変わっていきます。そこで翔は変わるのか?と読んでいてどうなるのかと思ったのですが結果変わりませんでした。なんと最後翔は「努力する人は重苦しい。一緒にいるとつらくなる」と言い放ち、自分からその場所に行くことはなく行かなくていい場所で過ごしたいと彼女に別れを告げます。ドラマや映画じゃないから実際変わっていく展開になったら相当分かりやす過ぎる展開ですがこの小説の翔は変わらず、こんな人もいるんだろうなってリアリティは増したのですが、実際こんな子供が実の子だったら本当に親はショックだと思いました。そして、この翔と同時に娘の可奈という女の子が登場していて、自分が努力して上にいくよりいいだんなさんを捕まえて上にいこうという典型的なタイプの女の子です。なまじ、容姿がよく頭が悪くないとこういう発想になってこれで成功すればいいですが、今回物語の中では最後破綻したので、これは怖いな~と思いました。林真理子さんの本は、女性向けでいつもだんなには薦めないのですがこの本はちょっと男性にも読んでみてもらいたいなんて思った面白い本でした。