『二重生活』 小池真理子
『二重生活』 小池真理子を読みました。文学的意義、哲学的思考という観点から、近所の男性を尾行し始めた珠は、徐々に尾行している対象相手の行動と自分の状態を照らし合わせて考えるようになり少しづつ冷静ではなくなっていきます。しかし、いくら文学的意義、哲学的思考とはいえ全くの隣人を尾行し始めるとは、昨今の状況を考えるとストーカーと間違えられて警察に通報されかねなくなかなか、勇気ある行動だと思います。そして、それがばれて対象の石坂と奇妙な関係になっている所がまたすごい。そして、同棲相手の卓也との関係・人柄を冷静に分析しているシーンがおもしろかったです。あえて、相手の嫌がるところを追及しないで荒波をたてずに生活している所はこういう関係のカップルもいるんだろうなと思いました。最後のシーンでまた尾行を始めるあたり、ちょっと懲りてないまたは尾行にはまってしまった珠の行く末がちょっと心配になる結末でした。小池真理子さんは恋愛小説のイメージが強かったのですが今回は一風変わった主人公の話が多くてこういう作品も面白いなと思いました。