Pastime Paradise

　若者が変わろうとしている時、見下げて説教しても　―何も効果はない。
自分たちの変化はちゃんと分かっているから…。 （David Bowie）

　やんちゃな次男は今日が終了式。持って帰った成績表は日頃の不真面目さが如実に反映された惨憺たるもので、息子の将来を本気で心配して説教するも、彼は耳を貸そうともしない。まったく難しい年頃だよなあ
　“懐かし青春映画、たったの３連発”２日目の今回は、80年代を代表する青春映画の傑作「ブレックファスト・クラブ（THE BREAKFAST CLUB）」について。

　この作品は85年に公開されてから既に25年近く経つ現在でも米国での人気は高く、06年にはEntertainment Weeklyが選んだ“50 Best High School Movies”で見事、栄えある１位に輝いたほど。
　監督＆脚本は青春映画の巨匠ジョン・ヒューズ（John Hughes）。出演者は当時“ブラット・パック（Brat Pack）”、日本ではＹＡスターなどと呼ばれていた若手スター達。

　それは84年3月24日（おおッ！奇しくも25年前の昨日だ！）土曜日。イリノイ州シャーマー・ハイスクールでは、休日の早朝だというのに様々な理由から登校させられた５人の生徒達が、図書館で『自分とは何か』というレポートを書くよう、教師に言いつけられる。
　集められた５人―成績優秀のガリ勉・ブライアンに、レスリング部員のスポーツ馬鹿・アンドリュー、変わり者の不思議ちゃん・アリソンに、美人且つ人気者で金持ちのお姫様・クレア、そして学校のはみ出し者・チンピラのジョン―は、顔は知っていても何一つ共通するものを持たなかった。
　しかし他愛も無い雑談から、やがてそれぞれが自分の置かれた悩みや本音を語り出し、家庭環境も性格も異なる５人は互いに理解し合っていく…というストーリー。

　アンドリューを演じているのは、当時の若手イケメン俳優総出演映画「アウトサイダー（THE OUTSIDERS）」（83）や、ブラット・パック映画の代表ともいえる「セント・エルモス・ファイアー（ST. ELMO'S FIRE）」（85）等、80年代の青春映画に欠かせないエミリオ・エステヴェス（Emilio Estevez）。アリソン役のアリー・シーディー（Ally Sheedy）と、ジョン役のジャド・ネルソン（Judd Nelson）も「セント・エルモス・ファイアー」で御馴染みだ。
　クレア役のモリー・リングウォルド（Molly Ringwald）はといえば、ジョン・ヒューズが初監督した「すてきな片想い（SIXTEEN CANDLES）」（84）や、これまたヒューズが製作総指揮＆脚本を担当した「プリティ・イン・ピンク　恋人たちの街角（PRETTY IN PINK）」（86）等に主演して当時はなぜか絶大な人気を誇っていたし、ブライアン役のアンソニー・マイケル・ホール（Anthony Michael Hall）も「すてきな片想い」に出てたっけ。
　また、シンプル・マインズ（SIMPLE MINDS）の主題歌“Don't You (Forget About Me)”も全米１位に輝き、話題になった

　教師と用務員のおじさんがちょろっと登場するものの、あとは延々５人が図書館で喋ったり踊ったりマリファナでトリップしたりするだけというシンプルな映画ながら、最後まで飽きずに楽しめるのは流石。但し、ラストでいきなり２組のカップルが誕生するのはちょっと強引すぎる気が…（＾＾ゞ
　５人の中ではチンピラ・ジョンと不思議ちゃん・アリソンの二人が印象的だったが、個人的には軽い気持ちで選択した技工で象のランプが作れず、成績が落ちることを何より恐れていた優等生のブライアンを演じたアンソニーが一押し。教師から言いつけられた課題『自分とは何か』というレポートも、結局はブライアンが一人で書くことに。

　“バーノン先生へ
『自分とは何か』というレポートを書けとは馬鹿げています。先生は御自分の都合で僕らが何者であるかを決め付けています。今日、僕らは発見しました。僕らはガリ勉に…スポーツ馬鹿と不思議ちゃん、お姫様に―チンピラです。こんな答でいいですか？
ブレックファスト・クラブより”

　この映画が公開された頃は彼等と同年代だった私も、今ではすっかり彼等を縛り付けていた親と同じ年代になってしまった。当時は彼等に共感していたはずが、いつの間にか親側の心境に…。
　嗚呼、今日、頭ごなしに息子に説教したことをちょいと反省―　

　　本日のひまつぶし

　・「THE BREAKFAST CLUB」 Trailer →こちら
　・大ヒットした主題歌、SIMPLE MINDSの“Don't You (Forget About Me)”→こちら