テーマ:お葬式あれこれ(41)
カテゴリ:お葬式
連日温かく春らしい陽気に包まれたもので、今年の桜はなんと命の短きことよ・・・
【画:mac玉】 関東ではもうピークを過ぎつつあり・・・ 浮かれ気分で花見を満喫されたいお方は、このままお引取りを・・・ 心を寄せて下さる方だけに、そっと語りまする 誰が聞こうが聞くまいが、クロスケの、とはず語りをぽっつらと・・・ 1-------------------------------------------------------------------------- 陽○ちゃん、平成17年3月17日20時25分 3190gの元気な産声を上げました。 M家にとっては、初の、そして待望の男子誕生にパパさん・ママさん・ジジ・ババまで 天にも昇る喜びで、毎日を陽○ちゃん中心に暮らしておりました。 その日も陽○ちゃんはいつもと変わりなく・・・ ところがどうしてどうなったのやら・・・ 4月5日13時36分 陽○ちゃんの息はなく・・・ 小さな命の篝火は、静かに消されて逝かれました。 今生では僅か18日と17時間11分のご生涯。行年1歳。 2-------------------------------------------------------------------------- 未熟な吾にとっては、初めてのことやった。 生を受けた年と、逝去された年が一緒のお式なんて・・・ 司会発注は通常、逝去日後1~2日経ってから入る。 そう大体、告別式の早くてほぼ前々日。当日なんてこともある。 だから心の準備が出来ぬまま、突然のせつないお式に立ち会うこととなり・・・ さらに、故人について、葬家について、発注段階では詳しくは教えて頂けない。 事前情報は、逝去日と年齢。宗派(仏式においては) そしてお式の場所と日時の最低必要事項だけ。 今回は、逝去の翌日、告別式の前日に連絡が入った。 突然死だけに解剖がなされ、遺族の悲しみは酷すぎて通夜は出来ぬ状態。 告別式のみと相成り、遺族・親族のみで静かに温かく送りたいというのが葬家の望み。 それだけの情報を手掛かりに、ビビリまくりの吾やったが 葬家の【静かに温かく】という思いになんとか答えたくて・・・ ともすれば、おなかの中で我が子を亡くした経験のある吾は 自分が泣いてしまいそうな気持ちをぐっとこらえて 出来うる限りの心を捧げさせて頂きました。 遺族にとっては何の慰めにもならんことは承知や。 けれども今生での最後のお別れ【悔いなきように】との祈りを捧げ 粛々と、そうしてご家族の思いが自然と充ち溢れるようにと心がけ 陽○ちゃんを魂の帰る故郷へとお送りいたしました。 3-------------------------------------------------------------------------- パパさん、ママさん。目を開くことのない我が子を胸に抱き セレモニーホールまでの道のりは、桜並木を選んで回り道して来たそうな。 3人家族、陽○ちゃんと一緒の、最初で最後のお花見や。 到着するなり、すぐにお棺に納められる・・・小さなお棺。 ブルー系のお花の柄が施されたビロード張りのお棺。 衣装箱程度のサイズが悲しみを誘う。 僅か18日と17時間11分の凝縮されたご生涯には、数々の写真も残され・・・ 大切なかけがえのない記録、確かに生きていたという証として大事に飾られた。 けれど吾、その写真、無事送り出すまで見ることが出来なかった。 遠巻きで眺めただけで、ご家族の慈しみぶりが一目で分るようなものばかり・・・ 辛すぎる。今見たら、泣き出してしまう。 出棺後、ほっとした心持で対峙。 パパさんにそっくりやった。うりふたつ。 一気にこみ上げてきた。涙止まらんかった。 命名の日に、そのお名前の前で、しっかりとパパさんの腕にだかれた陽○ちゃん。 その名前に、ご家族の深い愛情が感じ取れる。 ジジもババも一緒の写真。みんなの目尻が下がって、至福の写真。 何故こんな悲しみが突然襲ってくるのか・・・ 写真と向き合いながら、遺族の悲しみは、愛する人が生き返ってくれること意外 救われるものではないだろう・・・と、改めて認識する。 そいでも生きていかねばのう・・・悲しみにくれる期間が少しでも短縮できたらと・・・ 悲しみを生きる力にかえて欲しいと、あかの他人は祈ることしかできん。 その祈りが少しでも届くようにと、悲しみに慣れきってしまうことなく 心を尽くしていけたらと・・・ そうやな、遺族の気持ちを逆なでするようなことがなきように・・・ それには最大の気遣いをしたつもりや・・・ むずかしいことだ。人と人との、もっともデリケートな部分が触れ合う。 遺族と司会の感性がぴったり嵌ればええが・・・ この日、吾は喪主であるパパさんとは弔電等事務的な確認のみ触れただけ。 ママさんとは一切接触を持たず、ただただ、そっと心の中で 【悔いなきように】と語りかけた。 内情はまったくわからん。こんなになんもお話を聞かずに進行したのも初めてのこと。 知ったところで意味ないもんな。 式中ずっと哺乳瓶を抱えたままの虚ろなママさんを見ただけで 吾には充分すぎるくらい、その痛みが響いてしまう。 事情は何もわからないが、その悲しみは、陽○ちゃんには何の慰めにもならない。 そっと、ママさんへと捧げました。 散ったお花のたましいは、み仏さまの花ぞのに 一つ残らず生まれるの だってお花のたましいは、おてんとさまが呼ぶときに ぱっとひらいてほほえんで、蝶々に甘いみつをやり 人にゃ匂いをみなくれて 風がおいでと呼ぶときは、やはり素直についてゆき なきがらさえも ままごとの ごはんになってくれるから・・・ ≪詩:金子みすず≫ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 陽○ちゃんは確かにご家族の愛情に包まれて 幸せな時を紡がれたのです。 今は只、両の手を合わせることしか出来ないけれど ご法名【釈慈陽 南無阿弥陀仏】と唱えれば いつの日にか陽○ちゃんを、より身近に感じられる日が訪れると願いつつ・・・ 姿はなくとも陽○ちゃんは、これからもご家族の心の中に いつまでも生きつづけてゆかれるのだから・・・ 陽○ちゃんのお名前にあるお日様は この日もまたいつもと変わらず顔をみせ 全てのものに生きる力を与えています。 夏日にまで上昇したこの日。桜も一気に咲きほころび・・・ ふりそそぐ陽射しの中、その桜のひとひらに きらめく天使になった陽○ちゃんを 見つけたような気がしました。 桜の季節に光の天使になった陽○ちゃんに 謹んで哀悼の意を捧げます。合掌。 【使用したBGM】 *桜(森山なおたろう・オルゴールバージョン) *涙そうそう(オルゴールバージョン) *Jupitor(オルゴールバージョン) *瞳を閉じて(オルゴールバージョン) *大空と大地の中で(松山千春・二弧バージョン) *シューベルトの子守唄(献奏曲:フルートの生演奏) 完:4月9日時刻13時40分 音声ブログ【弥々*語りBar】では、語り日記公開中! 別館gooブログ編【とばす語り】は弥々家の日記公開中! どんぞお気軽に、お立ち寄り下せーまし お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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