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テーマ:メディアって何だ!?(204)
カテゴリ:メディア
▼知りすぎた男
私は転勤や留学など行く先々でテニスクラブに入ってきた。富山では富山市郊外にある武内ローンテニスクラブの会員になった。武内プレス工業が経営するクレーコート7面ほど(当時)のクラブだ。健康を維持するためにテニスをするのだが、もちろん目的はそれだけではない。情報収集も兼ねている。 あるとき、そこの会員から面白い話を聞いた。便宜上Mさんとしておこう。Mさんは某大学のスキー部で学生日本代表のスキー選手として活躍。卒業後、ロッキード事件で悪名を馳せた会社に就職した。就いた仕事は社長のかばん持ち。たいした仕事はしないのだが、当時の大卒の給料の二倍以上に相当する1000万円以上の年収があった。 あるときMさんは、会社で東北地方のある場所の詳細な地図を手渡された。社長からの指示は、「この地図に記されている土地を買いまくれ」であった。意味もわからず、言われたとおりに指定された土地をカネに糸目をつけずに買いあさった。後日わかったのは、その地図で指定された場所が東北新幹線の予定地であったことだ。新聞発表のはるか前に、その会社は予定地の図面を手に入れていたわけだ。 そしてばれないように、関連不動産会社間で書類上の土地売買を繰り返して価格を吊り上げていく。国がその土地を買い上げるときには、かなりのマージンが手に入る仕組みだ。政治家と企業が組めば、このようにいくらでも儲けることができる。当然政治家にはキックバックがいく。共存共栄の闇のメカニズム。濡れ手で粟の錬金術といえよう。 Mさんはもう一つ、面白い仕事をしたという。社長から突然、フランスまでこのブリーフケースを届けてくれと言われ、その日のうちに日本を出国、南仏に向かったというのだ。自分のものはほとんど何ももたず、何が入っているかわからないブリーフケースを携えてMさんは南仏の別荘に到着、指示された関係者にそのブリーフケースを渡した。 その別荘は改築中か新築中で、見学したMさんは地下室に外からではわからないようになった二重構造の隠し部屋があるのを目撃したのだという。Mさんはブリーフケースには多額の資金や重要書類がはいっており、地下室の秘密の部屋に保管されたようであったと述べている。 海外の別荘の秘密部屋に隠された謎のブリーフケース。資産隠しの古典的な手口ではあるのだろう。 やがてロッキード事件が発覚、その会社は非難の矢面に立たされる。「知りすぎた男」であるMさんは、取材が及ばない地方に飛ばされた。四国の山奥である。身の危険すら感じる危ない仕事が待っていた。Mさんはその会社を辞め、故郷の富山に戻ったのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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