美術館・画廊メモ 37平成27年8月22日~10月28日の美術日誌。日付の新しい順に記録してあります。(画廊展はほぼ2件に1件の割合で、これは! というもののみ記録しました。)各項冒頭の6桁の数字は日付です (例: 220108 = 平成22年1月8日)。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。 このひとつ前の 平成27年7月1日~8月21日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 36 にあります。 このひとつ後の 平成27年10月29日~12月31日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 38 にあります。 271028 永田陽一写真展 福福星 Stars of the Stars (10/20~11/8) @ みうらじろうギャラリー (日本橋大伝馬町) (東京某所のクラブにあつまるひとたちの目も覚める色のポートレート写真。作家の講釈で、レアな6色極精細印刷のみごとさに納得し、写真集を2万円で買った。) 271028 鶴友那 ―結び目の行方― "Knots of Prayers" (10/23~11/7) @ Gallery Suchi (日本橋茅場町二丁目) (鶴友那さんの作品はこれまでもギャラリーもりもとなどで見て注目していたが、すばらしい進化ぶりでぼくは完全に打ちのめされた。いいモデルさんに劇的ストーリーを与えて丹念に描写する。現代の女性を描きながら、しっかり泰西名画になっている。人物のみならず、レースのショールと綿布のキルトのような布地の質感もみごとに描き分ける。草木描写にも手を抜かず、それでいてひたすら人物を引き立てている。黒田清輝もはだしの70万円の大作が残っていて、お金があれば買うところなのだが。) 271028 たんたん個展 「せんてん」 (10/27~11/11) @ Gallery Rin 麟 (京橋二丁目) (超児童画を描いてきたたんたんさんが、本格抽象画へ踏み込んだ。90度回したほうが落ち着く作品が多かった。90度回すことで、残存する作為が消えるからだろう。) 271028 内藤瑶子展 (10/26~31) @ T-BOX (八重洲二丁目) (塩化ビニール板をつかったコラグラフに手彩色。エッチングとは異なる極太の描線の凹版が立ち上がるあたり、スリリングだ。) 271026 キヤノンフォトコレクション展 日本人の原風景 (9/18~10/26) @ キヤノンオープンギャラリー1 (港南二丁目) (芳賀日出男さんの撮った農村習俗、モノクロ。山口勝廣さんの撮った農村神楽、カラー。) 271023 開廊55周年記念企画展 釣谷幸輝+鈴木敦子新作展 “ちいさい秋、あおい秋” (10/23~11/14) @ 不忍画廊 (日本橋三丁目) (幻想活写メゾチントの釣谷さん。薄い色で10版以上の色版を重ね、木目まで生かす木版画の鈴木さん。おふたり各2点ずつの競演版画集は9万円台で、それはお買い得だと思うが、買うなら釣谷作品をまとめて3点ほど買いたいものだ。) 271023 留守 玲 RUSU Aki 鉄の置き物 (10/21~27) @ 日本橋高島屋美術工藝サロン (日本橋二丁目) (鉄なのに、まるで森の奥深くから得た樹木の一部のような、有機物の肌合いだ。昭和51年生まれ、多摩美デザイン 院修了。) 271023 西田俊英展 ―いのちの景色― (10/21~27) @ 日本橋高島屋美術画廊 (日本橋二丁目) (動物や鳥の清新な日本画。さすが重鎮の作である。武蔵美日本画の出身だが、武蔵美でここまで描ける作家はもう出ないのではないか。すっと立った兎を横から描いた絵にとりわけ惹かれた。) 271023 不可視の真実・可視な嘘 高橋恭司×たかはしじゅんいち (10/7~26) @ 日本橋高島屋美術画廊X (日本橋二丁目) (たかはしじゅんいちさんの絵画的な身体写真にひかれた。) 271021 春画展 (前期) (9/19~11/1 後期は 11/3~12/23) @ 永青文庫 (目白台一丁目) (6時45分に着いたら入り口は閑散としていたが、中に入ると客は丁度いい混み具合。日頃は入場も行列ができ、中は大混雑というが、さもありなん。会場は大人数を受け入れるようにはできていないから。|春画は見てきたほうだが、さすがに新鮮な作品が多々あり、蒙を啓かされた。4階・第1展示室の肉筆画名品が圧巻で、7時30分過ぎに再度上がったら貸し切り状態で見られた。美術展は閉館まぎわにカギるね。) 271021 Robin Fry: Gary's Lilies (10/2~11/8) @ hiromart gallery tokyo (関口一丁目) (入口傍の、女神のようにそそりたつ丘の絵にひかれた。本展のために作家が作った楽曲(→「オーディオ・インスタレーション」というジャンルを形成している!)がゴシック調で、色を塗り重ねた小品の並ぶ本展にぴったり。) 271020 版は異なもの味なもの (10/20~25) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 5 (大京町) (版画11人展。むかし文房堂ギャラリーで「紙嫁」を買った奥平恵理さんの新作・旧作と再会できてうれしかった。) 271020 立澤香織個展 乙女心と秋の空 (10/20~25) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 4 (大京町) (ACT 4 の壁面を埋め尽くす新作群。ひとつ前の個展から間があったので描けましたと。ボディラインが絶品の作品に、かなりひかれた。) 271020 おおうえなおこ個展 寂しさと欲求 (10/20~25) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 3 (大京町) (女の子の青い眼にちからがある。眼ぢから勝負の絵だね。丹伸巨さん企画。) 271020 黒衣のイブ2 (後半) (10/16~22) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目) (女性を描く人物画 11人展。足立佐羽子さんのエッチング+水彩の烏は、体表の質感までみごとだが、惜しむらくは画面構成に失敗し、中央が意味なく空いていながら烏の尾が画面下にはみ出した。ぜったい伸びる実力を持っているので、画面構成を研究してほしい。村山美代子さんは、ちょいと王培さんの絵を連想させる良い腕前だが、さらにパワーが加われば!) 271015 泥絵展 (10/13~31) @ 羽黒洞 (湯島四丁目) (木村東介コレクションから。「泥絵」と言われてもまったくピンと来なかったが、なんと浮世絵版画の風景画に先立って、みやげ絵として人気があったのだと。風呂屋の壁絵のミニ判といったところか。顔料に胡粉を混ぜた泥絵具は、油を使わずに油絵を描くための代用だった。解説小冊子購入。) 271014 2015秋 銀座アート動物園 (10/11~24) @ ゆう画廊 (銀座三丁目) (レベルの高い10人展。塩澤宏信さんの陶の動物型乗り物シリーズは、今回 昆虫にテーマを広げた。花田千絵さんの荒削りな木彫動物もいい。) 271014 菊地武彦展2015 ―線の形象― (10/14~31) @ Reijinsha Gallery (銀座六丁目) (岩絵具にイノチが吹き込まれた絶品の絵なのに、絵のいちばんだいじな中央部分に作家の鉛筆署名が入り、これが極めて不快なノイズとなり、とても眺めていられない。早々に退散した。鉛筆署名で自己主張をするのは、愚かだ。) 271014 小野耕石展 (10/13~24) @ 養清堂画廊 (銀座五丁目) (順調に、いつもの調子で。Hundred Layers of Colors シリーズ。2点くらい、冒険作を入れてほしいな。) 271013 黒衣のイブ2 (前半) (10/9~15) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目) (女性を描く人物画 9人展。早崎雅巳さんのモノクロのクレヨン画がいい。そのうち集めたい。粉川江里子さんは今回「油画初挑戦」と。これまではパステル+水彩だった由、気がつかなかった。) 271013 吉川和江展 (10/5~17) @ ギャラリー現 (銀座一丁目) (ドイツで活躍している作家。前回も拝見して、楽しみにしていた。ドイツで学んだひとに共通する、冷徹な風の吹く人物写実だ。その一方、キャンバスを床に置き薄く溶いたペンキ等で描いた濃紺の抽象画は描線・描点が東洋画なのである。無言で出て行こうとしたら作家が「ものすごくヒマだから、何か喋っていってくださいよ!」。パワー!) 271013 羽多野加与個展 フツウがイチバン (10/6~18) @ space 2*3 (日本橋本町一丁目) (美女と甥っ子さんを描いたドローイング2枚購入。油画は確かな描画の腕前で、ひりひりするようなメッセージをこめて一作一作仕上げている。平成2年生まれ、京都造形藝大卒。Mitsui Art 企画。) 271012 通常展示 @ 中村屋サロン美術館 (新宿三丁目) (中村屋にまつわる人間模様を知れる歴史展示。) 271009 ニキ・ド・サンファル展 Niki de Saint Phalle (9/18~12/14) @ 国立新美術館企画展示室1E (六本木七丁目) (展示品の8割がたは Yoko増田静江コレクションから。すっかりファンになってしまった。図録は買わなかったが、タロット・ガーデンの写真集と Jean Tinguely とのアーティスト人生の写真集を購入。) 271009 (財)神山財団藝術支援プログラム 第1回卒業成果展 (10/6~11) @ 銀座アートホール1F展示室 (銀座七丁目) (橋口美佐作品を見に行った。「悪魔の花嫁」。≪様々な価値観(性別・国籍・宗教…)によってひとつの自我がバラバラに分断される葛藤を描きました。≫ ) 271009 松島智里コラージュ個展 天空アリス ―Alice in the Ether― (10/5~10) @ スパンアートギャラリー (銀座二丁目) (丁寧で、今後も残っていくコラージュ作家だ。紙の縁を焦がす技もうまい。) 271006 日本版画協会 第83回版画展 (10/6~18) @ 東京都美術館ロビー階 第1・2・3展示室 (上野公園) (多数の展示の最後に石川真衣さん「牡丹のしつらい」。人物キャラがやや甘いが、花鳥モチーフの描き方に完成度が高く、その技が作品全体を支えている。作田富幸さん “friends - 2015” は 9×4 の新たな妖怪をエッチング。今村由男(よしお)さん「時の詩 Poesie de temps 2013-15」は1画面に6点の幻想画を盛り込んだお洒落なところがいい。平成27年3月18~20日に佐渡市で14校が競った「はんが甲子園」こと第15回全国高等学校版画選手権大会の作品群も力あり。) 271006 大久保智睦個展 (10/1~17) @ 彩鳳堂画廊 (京橋三丁目) (技あり。光の取り込みがうまい。これからの日本画を率いるひとだ。昭和53年生まれ、東京藝大日本画博士号取得、日本美術院院友。) 271002 ディン・Q・レ展 明日への記憶 Dinh Q. Lê: Memory for Tomorrow (7/25~10/12) @ 森美術館 (六本木六丁目) (横浜トリエンナーレでヘリコプター海面落下のビデオ作品を見ていたので、そういうSF的世界を期待していたが、映像ものも現実社会を見つめた構成作品がほとんどだった。フォト・ウィーヴィングに始まり、奇形児人形や奇形幼児服の静かな諷刺、ベトナム戦争期の従軍画家のドローイング群と画家インタビューなど。) 271002 烏丸(からすまる)由個展 Facing Histories (9/18~10/4) @ 六本木ヒルズ A/D ギャラリー (六本木六丁目) (昭和20年前後の有名な歴史写真の数々を色彩デッサン画に変換した。) 271002 追憶の少女 西牟禮あやめ個展 (10/2~8) @ ぎゃらりぃ朋 (銀座一丁目) (丁寧に描かれた美少女と、20世紀の想像上のロボット体内配線を組み合せる。入口付近、少女がロボットへと溶解するイラストふうの小品良し。) 271001 Art Award Next Vol.3 (10/1~4) @ 東京美術倶楽部 東美ミュージアム3・4階 (新橋六丁目) (4階と3階の半分が展覧会仕様の大作(過半数に値段あり)。3階の残り半分が同じ作家たちの販売小品。 大賞の小山久美子「本陣 迎え撃つ」は、ガソリンスタンドを戦の本陣にし、幟には車検ならぬ「馬検」と遊んでみせる。今回は やや文字遊びが過ぎたかな。|審査員賞の伊藤隆之「討伐」は銀箔上に幻想戦国時代を展開しておもしろいが、二刀流の少女の顔を髪で覆っているのが、逃げてるな。|審査員賞の石原七生(ななみ)「新天地 うつぼ舟」は、健康なる横尾忠則ふうに吹っ切れて11人の水着・トップレス姿とUFO・黒戦闘機の空中戦。|岩崎夏子「自然の箱」はメタリックにほの輝く幾何学図形を日本画で。新境地だな。|米満彩子「泡にきす」も新境地。これで現代アート界に残れる。|託摩敦子「導火線の果て」は10代の記憶を焼き払う寓意か。) 270930 アイガ★ショー2015 (9/4~10/17) @ アート★アイガ (八丁堀二丁目) (14人展。それぞれに個性的で感服。武蔵美日本画の伊藤友美子さんのレトロな「わたしのお気に入り」を購入(dudek du mil)。うちの長女をおもわせる顔立ちの丸顔少女。両の掌で支える、王冠をかぶった針鼠もかわいい。丁寧に岩絵具で描かれているところを評価しました。) 270930 十河(そごう)雅典 曾て美しい憲法があった (9/24~10/3) @ Steps Gallery (銀座四丁目) (その政治主張には嘲笑を禁じ得ないが、作品制作のセンスはさすが。大屏風の黒い人物に裏から穴を開けて銃痕に見立てた演出など、よくできている。裏を赤く塗って裏からブスリとやれば、赤がめくれ出て、いい具合なのである。) 270930 山下耕平展 (9/24~10/3) @ ギャラリー58 (銀座四丁目) (前回、色彩カオスに支配された人物画を見せてくれたが、今回はクリーム色の地に黒い筆の大型ドローイング。) 270930 出射茂(いでい・しげる)作品展 「永遠と一瞬」 (9/29~10/10) @ Niche Gallery (銀座三丁目) (壁画の一部を切り取ったかのように見える謎の技法の絵があった。絵の表面を擦過痕が走っている。どう作ったのか。下塗りの刷毛痕が残る表面にタンポンで軽く絵具を載せていったのだと秘技を明かしてくれた。昭和33年生まれ、東京藝大壁画 院修了。) 270929 月映 つくはえ Tsukuhae (9/19~11/3) @ 東京ステーションギャラリー (丸の内一丁目) (23歳で夭折した田中恭吉は詩人にして、版画作品も3人の中でもっともすぐれる。人物のシルエットがうつくしい。藤森静雄は夜を描き、恩地孝四郎はのちの装幀家としての片鱗を見せる。大正3~4年にこの3人が出版した版画集全7輯は200部刷りだった。今はたいへんなお宝だが、当時はあまり売れず、だから7輯で終わらざるをえなかった。現代版画の黎明を示す。萩原朔太郎が恩地孝四郎を唯一の画家と激賞する書信あり。) 270928 もちづきみき個展 うしろあるき (9/28~10/3) @ Gallery b. Tokyo (京橋三丁目) (絶妙な絵と雑な絵の玉石混淆だが、画面上で混色していく感覚は いいものを持っている。) 270928 Joseph Choi (9/26~10/10) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目) (太い筆致も薄溶き絵具の面も絶妙に組合せて描く、後ろ姿の人物。ドイツで勉強したのかな? と思った。HPを見ると、パリをベースに活動している韓国人だ。) 270928 高橋舞子展 私は思い出した (9/12~30) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目) (五美大展の夜の湖畔の絵以来、注目している作家。女子美の院修了後、東京藝大の院でも学んでいる。彼女の作品は、あまり近づかずに適度な距離を探すと、突然に光と影が現実感をむすぶ。ご両親も画家という。写真を見ると、きれいなひとだ。) 270928 水村喜一郎展 (9/26~10/3) @ ギャラリー川船 (京橋三丁目) (9歳のとき高圧電線を触って両腕を失うも、不屈の気構えで口に筆をくわえた。1個また1個と丹念に煉瓦を積んでいくような静謐な画空間。) 270926 重力4 (9/25~10/10) @ Gallery Suchi (日本橋茅場町二丁目) (7人展。小尾修さんの裸婦はパワーのある筆致が脂っぽい気迫を宿させ、渡抜亮さんの裸婦はしずかな肉感がしっとりと瑞々しい。) 270926 第10回三井不動産商業マネジメント・オフィース・エクスビション (9/26~28/4/22 但し一般人の鑑賞は9/26, 12/4, 2/12 のみ) @ 浜町センタービル12階 (日本橋浜町二丁目) (7名の作家のうち、東京藝大 院修了の高橋豊さんの油画が Gallery MoMo 派ともいうべく、いい味だ。新式メディウムを使って、油絵なのに水墨画やテキスタイルのような味を随所に出して、飽きさせない。三森(みもり)早苗さんは、ウール紙を色鉛筆で塗ってはパルプを塗りまた色鉛筆で塗りという作業を繰り返した独特のマチエールで勝負だ。) 270925 隣の部屋 アーティスト・ファイル2015|日本と韓国の作家たち (7/29~10/12) @ 国立新美術館企画展示室2E (六本木七丁目) (昭和58年 ソウル生まれ、Ki Seulki さんの写真が、いいセンスだ。森の中でうごめかす白い大きな布を長い露光で撮り、写真だからできる謎かけをする。昭和57年 ソウル生まれ、Yang Junguk さんは、機織(はたお)り機が生きものとして増殖をはじめたかのようなインスタレーションを。昭和63年東京生まれ、百瀬文さんの「定点観測」は170の質問への答えをバーカウンターの男性に読み上げさせるビデオ。質問票がおもしろい。) 270922 蔡國強展: 帰去来 Cai Guo-Qiang: There and Back Again (7/11~10/18) @ 横浜美術館 (みなとみらい三丁目) (圧巻の平成18年作品「壁撞き Head On」は99体の狼から成る。ガラスの壁へ挑戦の跳躍と挫折を繰り返す、とぎれなき群れ。高さ4m、長さ32mの空間を要する展示で、横浜美術館も天井がギリギリ。今回、ロビー階で大作「夜桜」(8m × 24m)および「人生四季」の春画4連作が火薬を使って制作される光景がビデオ上映されていたが、美術館がここまで思い切った協力をしたからこそ出来たプロジェクトだった。常設展は「Paul Jacoulet と新版画」のコーナーがよかった。| 怪獣幼児を連れた母2人を注意した。母として、一定の公共施設訪問を諦めるべき時期があっても仕方がないのでは。) 270916 新生絵画賞展2015 (9/9~18) @ 新生堂 (南青山五丁目) (大賞の小山久美子「子落とし」は、注連縄を巻いた信号機の燈上、狛獅子のつがいが5匹の子獅子を路上へ振り落とす図。信号機下、犬の散歩の少女には見えないが、柴犬には見えるらしく、しきりに上を向く。みごとな実在感を丁寧に描き上げていて、この作がなければ新生絵画賞は凡庸な賞になっていたところだ。賞を救った名作。青木香保里さんが闇に燃え立つような彼岸花を描いていた。) 270916 瞽女/Goze 斎藤真一と野田雄一 Glass Works 展 (9/4~19) @ 不忍画廊 (日本橋三丁目) (真っ赤な夕陽に向かって歩く3人の瞽女さんの姿を描いた本画数点と、瞽女日記の原本ページを数点。画集を2冊購入。大島渚監督による映像記録も10分ほど見せていただいた。) 270916 ―追想の景(かげ)― 松尾勇祐展 (9/9~22) @ 日本橋高島屋美術画廊 美術彫刻コーナー (日本橋ニ丁目) (木の板に囲われながら すっくとたたずむ「道化」は、ぼくに珍しくも、欲しくなった木彫作品。) 270916 90回記念国展キャンペーン 島田章三展 (9/16~22) @ 日本橋高島屋美術画廊 (日本橋二丁目) (土色と、それに彩度を合わせた群青色。簡素化され、しずかにたたずむ女性。しみじみいい。) 270915 山本容子のアーティスト図鑑 (8/24~10/30) @ ノエビア銀座本社ビルギャラリー (銀座七丁目) (17年にわたる191枚の銅版蔵書票から日本人作家を描いたもの40作ほど。ひとりひとりの作家寸評がまたいい。) 270916 田中 武 展 (9/16~10/5) @ 日本橋高島屋美術画廊X (日本橋二丁目) (「十六痴漢図」は、描いた女性の貌とポーズによって 、好みの作と辟易作があるね。田中武さん流の部分モザイク掛けは、ぼくにとっては邪魔なノイズにすぎないんだけどな。現代アートのなかで、古典作品からの引用もうまく利用しながら、しっかりと自分の世界を築いた作家だ。) 270915 絵画を抱きしめて Part 2: 「絵画に包まれて」 (8/28~9/20) @ Shiseido Gallery (銀座八丁目) (佐藤翠(みどり)作品がすてき。鏡面でできた棚板の棚に小作品を並べたインスタレーションもいいし、鏡面に描いたクローゼットと棚の連作は、感受性のスイッチの切り替えをいざなう。流麻二果(ながれ・まにか)さんは変形キャンバスに描いた色の帯の上を、靴下になった来訪者に歩かせる演出。記憶に残る小旅行だ。) 270915 Condensed Vanilla 2015 ヴァニラ画廊セレクション (9/14~10/3) @ ヴァニラ画廊 (銀座八丁目) (35人展。冷墨清志さんの作品、よく描き込んであって、横尾忠則越えだよね。サディスティックサーカスのポスター原画を平26・27と買うのもいいなと思った。) 270914 大竹彩奈展 (9/14~19) @ ぎゃらりぃ朋 (銀座一丁目) (赤いおべべの遊女の絵を中心に。着衣の隅々まで柔らかく見えるのは、角度によって布の柄が歪み、陰をおびるところを、じつに自然に写実しているからだ。これができるのは大竹さんならでは。) 270913 こども+おとな工芸館 ピカ☆ボコ オノマトペで読みとく工芸の魅力 (5/26~9/13) @ 東京国立近代美術館工藝館 (北の丸公園) (企画名の心は、観覧する子供に作品の触感をキーワードにして作品鑑賞メモを書いてもらおうというもの。辻清明「信楽鼈(しがらきすっぽん)」(平4)が素朴ながら味あり。福本潮子「藍染畳縫紋生紬着尺(たたみぬいもんきつむぎきじゃく)」も気に入った。) 270913 MOMAT コレクション (5/26~9/13) @ 東京国立近代美術館 (北の丸公園) (前回、2階の特集「事物|1970年代の日本の写真と美術を考えるキーワード」を見る時間がなく、再訪した。古沢岩美「餓鬼」(昭27)、何度見てもいい。山下菊二「あけぼの村物語」(昭28)もインパクトあり。舟越保武「原の城(じょう)」(昭46)。厳培明 "A Sudanese Boy" (平10)。森村泰昌ビデオ「烈火の季節/なにものかへのレクイエム」(平18)は原美術館でも観たが、改めて観て遅ればせながら森村由紀夫が語る内容がアート界批判にすり替えられていることに気づく。) 270910 Four witches ~四つの魔性IV~ (9/8~13) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT 1 (大京町) (丹伸巨(たん・のぶお)さんが Fad Fair と ACT 1 と両方に出展して大車輪。Four witches は、みそら さんの丁寧な彩色ペン画にひかれた。萌木ひろみさんの絵に光が差し入り、メカニックな要素も加わった。) 270910 Fad Fair: Freeborder Art Directors Fair 2015 (9/10~13) @ The Artcomplex Center of Tokyo, B1F (大京町) (報美社・竹山貴さん出展の忽那真依(くつな・まい)さん「この先の幻影」を購入。「向きを変えてもいろいろ楽しめるんです」という竹山さんのプレゼンにひかれて作家ファイルを見たら、ぼくの故郷・松山出身(愛媛県立松山南高校定時制卒)・松山在住、デザインフェスタなどでたたきあげた作家だったので、一気にハードルを下げて買うことにした(dudek ses mil)。 関一彦さんの「The 女子会 in Fad Fair 関一彦マイコレクション(ことし4回目)」コーナーに、大作をごんごんと並べていたのでビックリ。銀座の画廊に持ち込みにくい大物を思い切って搬入なさったのだね。 ほかは、二宮真理子さん出展の森天飛(あまひ)作品・内田太郎作品が別格の良さ。Jinen Gallery 出展の本山智香子作品はランジェリー素材の戦国武士兜の絵がおもしろかった。) 270909 イチケンテン 東京藝術大学日本画第一研究室発表展 (8/30~9/13) @ 東京藝術大学陳列館 (上野公園) (千葉大二郎さんの波板に描くピンクの眼の群れの屏風はおもしろいイリュージョン。西洋の街風景の光を胡粉であらわす伊東春香さんも需要をとらえている。招待作家として三瀬夏之介さんが佛像を描き切り縫いした大作を出展。) 270909 うらめしや~、冥途のみやげ展 全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に (7/22~9/13) @ 東京藝術大学大学美術館地下2階展示室 (上野公園) (圓朝の幽霊画の掛軸のなかでは、幽霊そのものを描かず、揺らぐ柳の葉のみ描いた中島光村「月に柳図」に注目した。嶋村成観「子抱き幽女図」がせつない。曾我蕭白「柳下鬼女図屏風」は特異な異形。本展のポスターに使われた上村松園「焔」は9/1~13のみの展示で、ちょうど拝見できた。8/16までの前期展も見るべきだった。) 270909 フジタあきひこ展 (9/9~20) @ Shonandai MY Gallery (六本木七丁目) (漫画猫による、たのしい浮世絵パロディー。) 270909 田端麻子展 (9/9~20) @ Shonandai MY Gallery (六本木七丁目) (閏年366日の1日ごと366枚分の木版+手描きの茫洋女を木箱に収めたセットが50万円弱。その価値ありと思った。ファイルを見たら、ぼくが所有の「尿する小僧」は平成17年作。) 270909 グラフジャーナリズムの開拓者 マーガレット・バーク=ホワイト作品展 (8/1~11/2) @ フジフイルム スクエア (赤坂九丁目) (ライフ誌などで活躍した Margaret Bourke-White の報道写真展。有名な、昭和21年のガンディーと糸繰車の写真も。) 270908 白鳥純司個展 密林 (9/4~14) @ みんなのギャラリー (平河町一丁目) (長い髪の女性の唇から脱ぎかけホットパンツまでのセミヌードの墨絵作品、すごくいい。さらにデッサンを積み重ねて曲線技を極めれば大成する作家。) 270907 夏目麻麦(あさぎ)展 (9/5~19) @ ギャラリー椿 (京橋三丁目) (むかし新橋に臨時開設していた東京ステーションギャラリーで、ダークなホテル室内の人物画を見て強烈な印象に残っている。その作家が、明るい色も取り込みながら、丁寧に丹念に薄い色彩層を塗り重ねていく。丁寧な仕事をするムンク、みたいだね。) 270907 写真家 六田知弘(むだ・ともひろ)展 「地・空の貌」 (9/5~20) @ 加島美術 (京橋三丁目) (風化とそれに抗う力とそれを包み込むものをシャープにとらえる。冥界もあかるいなぁ。) 270907 緑川俊一回顧展 Part 2 (9/7~19) @ ギャラリー川船 (京橋三丁目) (黒~褐色のごつごつとした男の顔を木炭+水彩やセメダイン版で描き描く。これは佛だ、羅漢さんだ。昭和22年生まれ、沖縄~小笠原~小樽~NY と琺瑯し、船橋市在住。) 270904 藤田美術館の至宝 国宝曜変天目茶碗と日本の美 (8/5~9/27) @ サントリー美術館 (赤坂九丁目) (廃佛毀釈と国外流出の危機のなか、快慶「地蔵菩薩立像」をはじめ日本の美を慈しんだ藤田傳三郎の生涯に感銘をうけた。空襲で屋敷は焼けたが蔵は焼けず、貴重な美術品が守られた。) 270904 菱川勢一ディレクション 動きのカガク展 (6/19~9/27) @ 21_21 Design Sight (赤坂九丁目) (ストロボのなかでくるくる回すと映画になる傘がすてき。) 270904 山本冬彦推薦作家によるカレンダー展 (9/3~10) @ ギャラリー枝香庵 (銀座三丁目) (12人展。DMで外田千賀作品と錯覚した作家は青山幸代(さちよ)さんだった。) 270903 ロリータ ~ Fairy 展 (9/1~6) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目) (19人展。石川真衣さんは昨年見たシルクスクリーン作品6点。山本冬彦さんが発掘した工藤大輔さんが銀座の常連になってきました。) 270902 True Faith (8/29~9/12) @ Gallery Suchi (日本橋茅場町二丁目) (6人展。板木綾花(いたき・あやか)さんの線描+写真の合成作品2点を購入(dek sep mil)。線描の一部が写真との合成によって怪獣の一部に見えてくる面白さを買った。江畑芳(えばた・かおり)さんの人物画、緊張感のある写実で、良し。津々木祈子(つづき・れいこ)さんも枝史織さんのように育つといいね。) 270902 井田大介 Viewpoint of God (9/1~16) @ Fuma Contemporary Tokyo (入船一丁目) (互いに拳銃を向け合うキリストとダーウィン両像にしびれた。昭和62年生まれ、東京藝大彫刻 院修了。) 270901 生誕110年 映画俳優 志村 喬 (8/18~12/23) @ 東京国立近代美術館フィルムセンター展示室 (京橋三丁目) (尊敬する志村さんが「七人の侍」で使った台本もあった。) 270901 横尾忠則 "Swimming Girls" (8/26~9/19) @ 南天子画廊 (京橋三丁目) ("Swimming Girls" に、こんなにヴァリエーションがあったとはね。絵に書いてある数字の意味は何だろう。) 270831 吉敷麻里亜展 ~美女と花鳥と少し猫~ 日本画と鉛筆スケッチ (8/31~9/5) @ 画廊るたん (銀座六丁目) (きりりとした口元の女性を描くさわやかな「新緑」を購入(kvindek kvar mil)。浜辺で THANK YOU の人文字を築く11人の体操美人ちゃんの大作も完成度高し。日本橋高島屋!って感じの小鳥の写実画もいい。) 270830 第266回企画展 内間安星(うちま・あんせい。「星」は{王星})展 (8/25~9/5) @ ときの忘れもの (南青山三丁目) (和のテイスト、洋のテイスト、シャープな抽象と、3つの世界。大正10年、米国生まれの沖縄移民。平成12年死去。) 270830 アイ・ラブ・アート13 ワタリウム美術館コレクション 古今東西100人展 (5/30~9/13) @ ワタリウム美術館 (神宮前三丁目) (ワタリウム美術館、初めて来た。四つ辻の逆方向、ときの忘れものにはよく来てたのにね。115人、250点。映像やインスタレーション、ドローイングが目立つ。駒井哲郎さんの水彩画があった。大竹伸朗さんのドローイングがよかった。) 270829 玉利美里個展 ―透明― (8/25~30) @ Jinen Gallery (日本橋小伝馬町) (ナイフで厚塗りの油絵具から生まれる女性たち。味あり。) 270829 高見基秀個展 ―都合のいい風景たち― (8/25~30) @ Jinen Gallery (日本橋小伝馬町) (Niche Gallery でも見た作家。できごとの空間を作り上げるパワーを持っている。) 270827 山田純嗣(じゅんじ)展 (8/19~31) @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目) (不忍画廊でモネの睡蓮の連作を見た作家だ。換骨奪胎の大作が見られてよかった。) 270828 第9回三井不動産商業マネジメント・オフィース・エクスビション (4/18~9/25) @ 浜町センタービル12階 (日本橋浜町二丁目) (7人の競演。鳥越義弘、北川香乃花(かのか)、長久保華子、青木香保里の4名のトークあり。鳥越さんは、長い経歴を経て筑波大博士後期課程修了、黒々とした陰に繁茂する厚塗りの草花の存在感が際立つ。長久保さんの、ひんまがった角の羊の木彫。) 270827 綿引明浩展 夏の夜の夢 (8/25~9/1) @ Bunkamura Box Gallery (道玄坂二丁目) (昨年は泰西名画からの引用が露骨すぎて、みやげ物屋みたいだったが、今回はオリジナルな感じで、いい。) 270827 文ちゃん(伊藤文學)のアンティーク・コレクション蚤の市 (8/22~30) @ ポスターハリスギャラリー (道玄坂二丁目) (初代『薔薇族』編集長の大コレクションから、雑貨、紙モノを。米国の果物運送シールがいいな。) 270827 50の顔 (8/22~9/4) @ Reijinsha Gallery (銀座六丁目) (50人が1点ずつ。いい現代作家に声をかけていて、さすが。1人2点ずつ、25人ずつの前期・後期企画にしてもよかったね。川邊りえさん、羽多野加与さんの作品、買おうかどうか迷う。売れていたが濱川芽依さん、望月宗生さんの緻密な写実の色香は絶品。平野実穂さん、三鑰彩音さんにも声がかかっていて、よかった。) 270827 ソレイユ 多摩美術大学日本画卒業選抜展 (8/24~29) @ 銀座スルガ台画廊 (銀座六丁目) (三鑰彩音さんら7人展。飯田健二さんの、ぶら下がり蝙蝠4匹の「連列」は構図よし。) 270826 篠原 愛|夏の庭 (8/22~9/19) @ Gallery MoMo Ryogoku (亀沢一丁目) (朝顔や百合の色彩が鮮烈。描かれる女性たちは浴衣が似合う雰囲気だ。裸の小人を食べてしまう兎のモチーフもおもしろい。本画とデッサンを取り混ぜ、完売間近。作品制作のペースが上がってきたようす。) 270826 金親 敦(かねおや・あつし)「アミシルス」 (8/21~30) @ Makii Masaru Fine Arts (浅草橋一丁目) (丹念な編み物で自身の皮袋(背中が割れているのは羽化の象徴であろう)を作った卒業制作をはじめ、樹脂で固めた編み耳、編み靴オブジェなど。メタリックな雲のように見えたのはビニル紐を編んだもの。平成元年生まれ、横浜美大クラフトデザイン卒。) 270826 夏の終わりの版画展 (8/25~30) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目) (石川真衣さんの写実的な新作 "Toy" を購入(dek ses mil)。「Toy はいつも白黒だったけど今回はカラーも一版重ねてて、私も気に入ってます!」と真衣さんのコメント。真衣さんは今回、遊び描きふうのものとか、いろいろ試してますね。東京藝大修士1年の色川美江さんの見立てものがおもしろい。"tripe" は兎穴が巨大な地中の胃につながっている。"cell" は細胞組織を宇宙空間に浮遊する城塞に見立てた。木村遥名さんの "Nachtmusik" はハヤカワSF文庫のすてきな口絵になりそう。) 270822 MOT コレクション 戦後美術クローズアップ (7/18~10/12) @ 東京都現代美術館 (三好四丁目) (中原實のマグリットを彷彿とさせる油彩画に驚く。戦前期の作を歴史教科書に載せたいものだ。工藤哲巳の昭和43年作品「若い世代への参加 ― 繭は開く」が昭和44年に新宿駅前広場に置かれた光景の記録写真にしびれた。大岩オスカールさん平成13年作品「戦争と平和」2連作は、いちど見ているが、今回あらためてゾクゾクした。遠藤利克(としかつ)さん平成3年作品「泉」は黒焦げの巨大丸太を19.26メートルまでつなげたオブジェ。荒木高子さん昭和54年作品「砂の聖書」「燃えつきた聖書」「黄金の聖書」は陶藝の窮極点だ。) 270822 おとなもこどもも考える ここはだれの場所? (7/18~10/12) @ 東京都現代美術館 (三好四丁目) (撤去が騒がれた会田誠さんの安倍首相パロディービデオと文科省批判檄文は(たぶんそのままの形で?)展示されていた。撤去が云々されたときは「子供も対象にした展示の企画を会田誠さんに頼むなんて、アブナイことをする美術館側がバカだよな」と思ったものだが、抗議してきた約1名にも「ここはだれの場所?」と改めて問いたいね。Jurgen Lehl(ヨーガン・レール)さんが浜辺のゴミで美しい色彩照明空間を作ったのには脱帽。) 270822 Oscar Niemeyer オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男 (7/18~10/12) @ 東京都現代美術館 (三好四丁目) (ル・コルビュジエとともにニューヨークの国連本部ビルを設計し、40代にはブラジリアの建物設計に携わった。展示は、観覧者が寝そべることもできるジオラマをホールに作るなど工夫もあるが、いまひとつ面白くなかった。) ジャンル別一覧
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