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 「国家による雇用創出」 と 「国家による雇用」 を履き違えて生まれる社会主義待望 政治について(36928)」
[ 日本の政治 ]    

1月6日の日経夕刊コラム 「十字路」 に中前 忠 さんが、目下の緊急事態に対処するための雇用創出の処方箋を書いている。
(↑ 全文を読めるよう、PDFファイル へリンクしました。)

発想はおもしろく、一読の価値あり。

これまで政府による雇用創出の典型は、土木工事に予算をつけて民間業者の仕事を創出することで雇用を増やす間接方式だった。

しかし、経済危機がここに至れば国家みずからが余剰労働力を「雇用」して
(1)集団的規律の教育と職業訓練の実施→労働力の質を高めて将来成長産業に吸収させる
(2)やるべきだが出来なかった地域経済再生活動、たとえば治山・治水・海岸線清掃、休耕田再生といったことに携わらせる
のが有効だ、と言っている。

そのための機動的な雇用組織を創設する。
たとえば200万人を雇用して1人あたり年間200万円の給与を支払うとすると、4兆円の財政支出だ、と算盤をはじいている。

従来型のケインズ的な財政支出は多くの場合けっきょく成熟産業の延命に使われているから、こういうふうに別の切り口で国営事業を行うのが有効だ、という論である。

中前さん自身は対米投資重視の自由主義経済論者でいらっしゃるようだし、わたしも勉強不足なので、以下は中前さん批判ではないが、論じられている 「国家による余剰労働力雇用組織」 創出にわたしは大反対なのである。

中前さんはイメージを分かりやすくするために 「第2自衛隊」 という言い方をしている。
しかし、わたしはむしろ 「国鉄事業団」 と呼びたい。

戦後、外地から戻った膨大な余剰労働力を吸収させた国営事業組織といえば 「国鉄」、日本国有鉄道である。
その国鉄が、事業多角化で海岸のゴミ拾いまで手がけるようになるというイメージ。

「国鉄事業団」創設当初は、すべてのひとが経緯を覚えているから、雇用される労働者も年収200万円で我慢するだろう。

しかし、人間は急速に忘却する動物だ。
5年目にもなれば、国鉄事業団の労働者たちは他の国家公務員並みの待遇を要求しはじめる。
(もちろん、プロの運動家が暗躍することは間違いない。)

そのくせ、組織創設目的が雇用確保だから、雇用した労働者が全員転職できるまで国鉄事業団は解散できない、てなことになる。

ぜんぜん機動的でない。国家財政の重荷として君臨するだろう。

従来型の雇用創出であれば、海岸の掃除に予算をつけて民間業者にやらせる。

民間業者が労働者を雇用して管理し、そのベースでコストをはじくから、管理費用がはっきり目に見える。

そして、経済危機が去れば、政府は予算をつけるのを止めるだけでよい。
民間業者は労働者を解雇し、ストーリーは終わる。

国鉄事業団の欠点は、暫定的組織のはずのものが永続化し、しかも管理費用等の間接費用が目に見えないことだ。

大反対である。


最終更新日  Jan 8, 2009 08:01:26 AM
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