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出来事は記録されても、時代の 「状況」 はなかなか記録されない。
「状況」 は、その当時のひとには当たり前のことだからだ。 近代産業の最先端国のはずのイギリスでは、第1次世界大戦のころまで、町や村によって電気の周波数も電圧もまちまちだった、という驚くべき 「状況」 を知った。 「出来事」 ではないから世界史の本には書かれないが、こういう 「状況」 の話はほんとに面白い。 「工場の動力は電力ではなく蒸気機関に頼ればいい」 既得権を守りたい層がいて、そういう社会思想がイギリスをおおっていたらしい。 『電氣新聞』 (日本電気協会新聞部・刊) 3月5日号1面コラム 「焦点」 で知った。 ≪産業革命発祥の地イギリスで、本格的な電気事業が開始されたのは、第1次大戦後である。 大規模系統電力に支えられたドイツの工業力を目(ま)の当たりにしてからだと聞いた。 それまでは中小規模の電気会社が乱立し、町や村によって電気の周波数も電圧もまちまちだった。 蒸気機関が全盛で大電力化が遅れた。 政治家は競って 「町や村を明るくする」 電気に叢(むら)がったが、動力として利用する考えは少数派だったそうだ。 電気会社の分布図はパッチワーク様(よう)で、電力会社の統合法案がしばしば議会に上程されたが、合意までに長時間を要した。≫ 日本はいまでも西と東で周波数が違うのだが、町や村のレベルで周波数と電圧が まだらになったことはない。 イギリスの例は、いっときの先進国が最新式システムを導入した他国に追い越される典型例だ。 最新式システムを入れた国は右上がりの勢いを得るから自国の実力を過信してしまう。 新興国ドイツには、老大国イギリスのそんな旧態依然を侮(あなど)る気分があって、戦争遂行に強気になれたのかもしれない。 その後 統合が進んだ英国の電力事業の最大手は、British Energy 社。 英国のエネルギー産業の中核なわけだが、それをフランス電力公社 (Electricite` de France, EdF) が買収してしまった。 そんな時代が来ようと、20世紀前半の英国人の誰が予想したろう。
「状況は歴史に記述されにくい」。歴史を学ぶときに忘れてはならない大切な視点ですね。勉強になりました。第一次世界大戦前後の大陸ドイツと島国イギリスの関係が、現代の中国vs日本の関係にならなければよいがと懸念致します。ミケ(Mar 8, 2009 12:18:17 PM)
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