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世の中には、漢字制限にへつらって浄瑠璃を 「浄るり」 と書く向きがあることを知り驚愕した。
文化庁が 「新常用漢字表 (仮称) に関する試案」 への意見を募集している。 締め切りが4月16日なので、4月上旬にはまとめて配信誌でも発表したい。 わたしの基本は、1月26日のブログ: 「新常用漢字表」 は、官公庁用語の 「まぜ書き熟語」 を無くすことを目標に字を選べ に書いたとおりで、「あっ旋」「ひっ迫」「まい進」のような醜い混ぜ書きを世の中から少しでも減らすという観点から字を選ぶべきだというもの。 ことばの美感を脇に置いて漢字制限にへつらって醜い混ぜ書きをするのは、役所、マスコミ、企業の広報部門の文書にほぼ限られる。 少なくとも、文筆家は混ぜ書きを断固拒否するだろう。 だから、数ある混ぜ書きのなかでも、実務文書に使われそうな熟語に注目してゆくべきだと思った。 * 新常用漢字表に、「瑠」 と 「璃」 の字が入っている。 「瑠璃色」 なんて単語を役所が使うことはあるまい。 「瑠」 と 「璃」は、なんなら外してもいいのではないかと思った。 とんでもないことだった。 文化庁の資料では 「瑠」 の字の語例に 「浄瑠璃」 が挙げてある。 あぁ、なるほど。 でも、「浄るり」 なんて表現、誰もしないだろ。 甘かった……! “浄るり”でグーグル検索すると 4,970 例。 トップに鎮座するサイトを開いて仰天した。 大阪府能勢町に 淨るりシアター という信じられない名前の施設があるのだ。 「浄瑠璃」を「淨るり」と書く倒錯。 当用漢字表が発表された昭和21年には 「淨」 の字だった。 昭和24年の当用漢字字体表で 「浄」 の字に整理されたが、その後も一貫して「淨」 の字は子供の名づけに使える字だ。 「淨」の字は人名用漢字なのだ。 「淨るりシアター」 に 「淨瑠璃シアター」 への改名を促すだけでも、新常用漢字表は意義がある。 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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