第四章霜月の夜に。-Final- 第四章とりあえず、家の近くの児童公園のベンチに座った。 「んでさぁ。」 「ん、なぁに?」 「何で、今ココに居るわけ?」 そうだ。 彼女は2ヶ月ほど前、死んでいる。 彼女に兄弟も居らす、“よく似た妹”というのも有り得ない。 「うーん・・なんて説明したらいいか・・・」 「墓から出てきたとか?」 「いや・・蘇ったんだけど・・・その。。。」 「じゃあゾンビか?」 もう自分の言っていることすら意味不明。 現実には有り得ない、フィクションのようなものだと思い込んだ。 だが、今目の前でそのフィクションが現実世界で起こっている。 「月から来たの。」 「月?・・あのお月様か?」 「・・・宇宙からってわけじゃないんだけどね。。。」 あぁ・・・ますます意味が分からない。 そして話を聞くこと数分。。。 やっと理解できるようになってきた。 死んだのは事実らしい。 そして、月の力とやらで蘇ってきたらしい。 「でもさ、2ヶ月だぞ?・・・早くないか?」 「だって・・日本無くなっちゃうし。。。」 ―――日本壊滅。 信じてはいたけど、心の奥のほうでは受け入れていなかった事実。 やはり確定的なのだろうか? 「とりあえず、意味も分かったし。。。帰るか。」 「あ・・・家・・」 いきなり蘇ってきているのだ。 しかも、家族もその事実を知らない。 「お前、どうすんだ?」 「家でしょ?・・・あてはないけど。。。」 彼女が俯き加減になった。 「あ・・・家来るか?」 「え?今なんて言った?」 「家に来るかって聞いてんの。」 「行く行く!」 ・・・8時過ぎに人を連れ込んでも大丈夫だろうか? 少し不安に思ったが、後にこの不安も必要なくなる。 帰宅途中、何台かの車とすれ違った。 多分海外へ逃げる人たちだろう。 街頭が少ないこの道。 ただでさえ暗いのに、家の明かりが点いていないともっと暗い。 ゴールのない一直線の道を、ただひたすらに歩いているような感覚だ。 そんで、家の前に着いたが、明かりが点いていない。 さらに、車もない。 ――――両親が消えた・・? 幸い、家の鍵は持っていたから家には入れたものの、人は居ない。 真っ暗な玄関。 パチンッ・・ 明かりをつけると、一枚の置手紙が見つかった。 「先に行きます・・ってか・・・?」 見放されたことに対する怒りよりも、悲しみのほうが先だった。 なぜだろう。 悲しみと、やり場のない怒りがふつふつと湧き上がる。 「カズ・・どうしたの?」 「あ・・いや、なんでもない。」 この先、絶望的だ。 この日本から逃れられない。 このまま・・死んでしまうのだろうか? 日本列島と共に。 「とりあえず、中入れよ。」 「あ、うん。・・・おじゃましまーす・・。」 とにかく、食べ物だ。 それがないと生きていけない。 冷蔵庫の中に入ってた残り物とご飯で夕飯。 「いただきまーす。」 合掌し、箸を持ち、食べ始める。 彼女はあまり箸が進んでいないようだ。 「なんだ、食わねぇのか?」 「いや・・なんか悪いなぁ・・・って。」 「遠慮すんなや。食え食え。。」 そして、数十分後。完食。 「ごちそうさまでした。」 軽くお辞儀し、流し台に食器を運ぶ。 食器洗い機に皿を突っ込み、洗浄を開始する。 動き出したのを確認し、自分の部屋へ上がる。 彼女もついて来た。 部屋に入り、椅子に座る。 彼女はベットに腰掛けた。 「さてと、何するかね。。。」 時刻は9時。 大して何もすることがない。 する気もない。 「あたし、眠い。。。」 そういって、ベットに横になった。 「早くないか?・・・しかも俺の寝る場所ないし。。。」 ・・・・。 返答なし。 顔を覗き込むと、もう寝ていた。 「早っ・・」 俺は再び椅子に座り、この暇な時間をどうするか考えた。 結果・・・ パチッ・・・キュイイィィィン・・ パソコンのスイッチをつけた。 メッセンジャーでもすることにした。 もしかしたら“FREEDOM”が居るかもしれない。 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|