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ワインの酒 石 と は


酒 石 と は

酒石とはワイン中の酒石酸にカリウムまたはカルシウムが
結合した(えん)の一種です。

代表的な塩に酒石酸水素カルシウムがあります。

果醪(かもろみ)の発酵開始当初、酒石は液中に溶解していますが、
発酵が進みアルコールが上昇するに従い結晶化して
タンク(桶)の底に沈降します。

酒石酸水素カルシウムは15℃の水100mlに0.423g溶解しますが
純粋なアルコール(エタノール)には溶解しません。

ワインのアルコールは10~14%なので
水ほどではないのですが、酒席はワインに溶解しているのです。

ワイン中に溶解している酒石は
貯蔵・熟成期間の経過とともに
タンク、小樽、木桶、瓶の底に沈降します。

特に冬になってワインの品温が低下すると
酒石の溶解率が低下するため、溶解していた
酒石が結晶化して沈殿を生じるのです。

白ワインの酒石では酒石酸水素カリウムを80%以上含む
事例が多いのでその場合、酒石は無色の柱状結晶となります。
綺麗な結晶である為
ワインのダイヤモンド
とたとえられることもあるのです。

赤ワインにおいては酒石が沈降する際にワイン中の
赤色色素やポリフェノール化合物を吸着して
沈殿する為、小さな木の葉状のものであったり
柱状のものがあったりとその形状は一定ではありません。

色調も青みを帯びたものや赤色のものや赤紫色、赤黒色
あるいは褐色を帯びた物などさまざまです。







酒質の安定化

1960年ごろまでは多くのワイナリーは冬季の低温下、
ワインを貯蔵熟成させることによって酒席を自然に沈降させ
オリ引きを繰り返した後上澄み部分のワインを瓶詰めしていました。

今風に言えば無濾過ワインですね。

そのため瓶詰め後の製品において瓶底に酒石を認めても
当然のこととして許容されていました。

酒石の沈降部分として設けられた瓶底中央部分の盛り上がりが大きく
初心者にはよく、『ワイン瓶は底上げをしている』
と言われていたそうです・・・

70年代に入るとワイン市場がアメリカや日本などの
『ワイン消費新興国』に拡大するにつれ
『見た目を気にする購買層』を意識して新技術が
開発されました。

すなわち酒石そのものは人体には影響はありませんが
瓶詰めに先立って人為的にマイナス4~5℃で
1~2週間貯蔵し酒石を沈殿、分解すると言う方法です。

この方法は現在酒石安定化処理法として
一般に広く採用されています。

このほか、メタ酒石酸添加法、電気透析法、酒石母晶接触法
など色々な方法がある。

酒石の除去、たんぱく質の除去、微生物の除去など
処理を人的に行い瓶詰め製品の市場性を向上させる
操作を酒質安定化と言います。

酒質安定化には濾過操作を伴いますが、
濾過操作によってボディ感が減少する
危険性があります。

そのため
『ボディ感のあるワインでは瓶内に沈殿を生じる事は当然』

とし、近年、瓶詰めに先立ち、濾過を行わないとか、
あるいは行っても極めて軽い濾過で済ますワイナリーも出現しています。



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