お月さまは見ている

「さとやの遠かった」
夕飯の味見をした母がポツリ。
私も初めて聞く長崎の方言だった。

長崎は鎖国の時代、日本唯一の海外との玄関口だった。出島には様々なものがオランダからもたらされた。その中のひとつが「砂糖」。
長崎では他の都市よりも砂糖を手に入れやすかった。
それで長崎の味付けは甘いのだろう。
卵焼きも、煮物も何でも甘め。
「長崎てんぷら」はころもが甘い。
普段から砂糖の摂取量が多い長崎人は糖尿病になる率も高いというのも聞いたことがある。

そこで
「さとやの遠か」
という方言も生まれたのではないだろうか。
さとや…砂糖屋が遠い、つまり甘味が足りないということ。
私の好きな長崎の方言である。

ちなみに出島を造るのに出資した長崎の豪商は私の祖先である。歴史的遺産は残してくれたものの、子孫に遺産を何も残してくれなかったのは本当に残念としかいいようがない(笑)