読みたい放題の一日

山あり谷ありの人生。信じて努力し、チャンスを待ち続けることで目標を達成できる。この作品は多くの人々が旅客機を待ち続けるターミナルを舞台としている。どんな困難にぶち当たろうとも、努力し、待ち続ければ、目標を達成できることが本作品のメッセージだ。そこでは、不況にあえぐ現代人に求められる人間像を描いているといえよう。まじめなヒューマンドラマではなく、笑いあり、感動ありの作品である。

グラコーウジアが政変となり、両国間は出入国禁止になる。主人公はある目的を達成するためにアメリカに滞在したばかりであり、この状況が主人公を法律の狭間に落ち込ませ、空港の中での生活を強いる。しかし、彼は英語を話すことができない。英語を独学で学び、仕事を探し、恋の橋渡しをし、アメリカを知る。当初は空港の勤務者から不信の目で見られていたが、彼の努力と人望は、勤務者からの協力を生み、空港の外へでてアメリカ滞在の目的を達成させる。この目的とは彼が持つピーナッツ缶の中身に関係する。彼の父は音楽家のチケットに本人からサインをもらってコレクションにしていた。あと一つですべてがそろうところだったが、その前に父は他界してしまう。父の夢を実現するためにアメリカに滞在し、音楽家にサインをもらいに行くのである。

映画に出てくる空港はなんとセット。本物の空港ではないというのには驚いてしまう。実は、本物だと勝手に思い込んでいた。もう一つ驚くのは、英語が分からない主人公を演じるトムハンクスの演技力。まじめなヒューマンドラマを演じさせれば一級品だが、ユーモラスあふれる演技でも見るものを魅了している。主人公の努力が仲間をふやし空港中のヒーローとなる姿は、当初からは考えられないことであり、同時に彼の演技力で観客を感動させた。

この作品に恋愛はいらなかったのではないかという意見もある。私もいらなかったのではと思う。ただ山あり谷ありの人生を描いている以上、恋愛がうまくいかなかったことを描くことで、逆に現実性を示しているのではないか。そこがちょっと意見の分かれるところかな。でも、私はトムハンクスが大好きであり、ユーモラスたっぷりの演技は２時間をあっという間にすごさせる。あきさせない。