現実という桎梏を解き放つために必要なこと
岩国市長選…残念な結果に終わりました。教育という特殊な業界にいると「偏ってはいけない…」とか「中立の立場で…」と言われることも多いのですが,私はどんな考えであれその思想的立脚点がある以上偏っていない考え方というのはないと思います。そして,その場合大事なことは自分の思想的立場をどこに置くのか…私の場合,何度も記事で明らかにしていますように子ども達や市民の立場,社会的弱者の立場の視点でいたい…その立場で言うとやはり,今回の選挙は残念な結果だと言わざるを得ません。 岩国市長選:基地隣接地「反対だけでは変わらない」 米軍岩国基地に隣接し、激しい爆音に悩む岩国市川下地区では、 福田さんの勝利で「経済が活性化する」と期待の声が上がる一方、 「なし崩しで基地機能が広がるのでは」と不安を訴える人もいる。 三たびの「選択」を迫られた住民の思いは複雑だ。 「どちらを選んでも同じ。国がごり押しすれば(移転を) 受け入れざるを得ない」。 過去2回の選挙で井原さんに投じたという男性(80)は 今回、福田さんに票を投じた。 「『反対』を言うだけでは何も変わらない。どうせ来るなら、 より良い条件を主張してもらいたい」と言う。 「このままでは国から見捨てられてしまうのではないかと心配だった。 補助金はカットされ、経済が落ち込めば岩国は立ち直れなくなる」。 やはり福田さんに投票した60代の自営業の男性は、 衆院議員から転身した福田さんに「国との強力なパイプ役」を期待する。 「国に逆らって何か、いいことありますか?」と現実的な選択の声を代弁した。 一方、井原さんに投じた70代の主婦は 「もし艦載機が移転することになったら、 長年住み慣れたこの町を離れることも考えたい。 安全はお金には代えられないはずなのに……」と悔しさをにじませた。 中学生と高校生の娘を持つ会社員の女性(47)も 「治安の悪化がもっとも気がかり」と井原さんを選んだ。 「一度容認すれば後戻りできない。全国の仲間と(移転)反対運動を続けたい」と話した。 【2008年2月10日 毎日新聞】この岩国市長選の結果についてですが,単純に基地を容認する声が大きいとか日本における民主主義や民意の成熟度などについて論評する人がいますが,私は少し違うと思います。まず,今回の選挙結果ですが… 当日有権者数 投票者数 棄権者数 投票率 男 56,985人 42,799人 14,186人 75.11% 女 64,732人 50,027人 14,705人 77.28% 計 121,717人 92,826人 28,891人 76.26% 党派名 候補者名 得票数 無所属 ふくだ良彦 47,081 無所属 井原 勝介 45,299 計 92,380 無効票・その他 446 投票者数 92,826まず,この投票率の高さは選挙に関する市民意識の高さを示しています。たとえ,企業ぐるみとか組織票などと指摘されることがあってもこの投票率の高さをそれだけを原因とするのは不自然です。論理の飛躍と言われるかも知れませんが,民主主義の基本が民意を示すのであれば今回の結果だけで,民主主義の未成熟を指摘するのは的はずれだと思います。しかし,それでも私は今回の選挙について純粋に民意を示しているか否かについては疑問を持っています。現実的選択と言えば聞こえはいいですが今回のように国がアメとムチをちらつかせる中で正しい民意が反映されたかというと疑問に感じます。そして,このことは日本の政治の多くが未だに利益誘導型を引きずっていることを象徴的に示していると思います。岩国では基地でした…他の自治体ではそれが新幹線・高速道路・原発など国・県・市町村の利害が対立する場合上部機関が補助金などをアメとしてごり押しする可能性や実際に行われている自治体もあります。今回の岩国でも民意を問うたのは今回で3度目ですから基地移転に関する多くの情報を知った上での意思の表明…というか,苦渋の選択を強いられたこれが日本の政治の現実…ではどうすべきか?少なくともしがらみなく声を上げられるような政治システム例えばその前提として経済的桎梏をはずすためには補助金とかではなく,各自治体に人口比や客観的諸条件により機械的に予算を配分する…こんなことが必要かもしれません…(^^)v←励みになりますのでクリックをお願いします