書籍「ベビーサイン」の解説5.食事

「食べる」のよちよち手話

スプーンを持ったグーの形の手を口元に持っていきます。

このサインで「食べる」「マンマ」「ごはん」「お食事」など「食べる 」意味の言葉にはこのサインを使ってください。サインを使うことによって、これらの言葉が同じ意味であることが早くから理解できます。

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「飲む」のよちよち手話

コップを持った形の手を口元に持ってきます。

飲む動作そのもので、「飲む?」と聞く時などに使ってください。
子どもから「お茶ちょうだい」というサインに使いますが、この手の形ではなく、手の手のひら側を口に当てて「お茶」「飲み物」というサインにしている子どももいます。子どもがストローの付いたので飲んでいるときは、ひとさし指を口の当てる子もいます。子どもは仕草をよく見ています。子どもに水分は欠かせません。こんなサインで要求してくれると助かります。

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「おなかがいっぱい」のよちよち手話

おなかに当てたパーの手を前に出します。

この時、大人は自然に胸を張ってお腹を前に出し気味にしますが、この体全体の仕草も忘れずに付けましょう。
手を胸の下あたりから弧を描いてお腹の下につけるサインでもかまいません。(手話では「妊娠、妊婦」の意味にもなります)
大人でも子どもでも豊かな会話は食事を美味しくします。
食べずに遊び出したら「おなかいっぱい?」と理由を聞いてあげることも大切です。

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「おなかがすいた」のよちよち手話

パーの手をへこませたお腹に当てます。

「お腹がいっぱい」と、この表現では体の表現も顔の表情も違います。このイラストのように、お腹をへこませ、胸をすぼめ、顔を「嬉しい」ではなく「エネルギーが無くなって動けないよ、困ったよ」の表情です。このように体全体を使って、このことばの感じを伝えましょう。
こんなボディランゲージも大人が見せてこそ、言葉に合った体の表現ができるようになっていくのです。そして大人の体つき、表情を見て、その意味を理解していきます。「おなかがいっぱい」「おなかがすいた」はコミュニケーション力のアップには、言葉だけでなく、体全体を使うことの大切さを感じてもらいたいサインです。
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「のどがかわいた」のよちよち手話

手をのどに当て、のどが渇いた表情をつけます。

「のどがかわいた?」「はい、お茶」との会話から、このサインは「飲み物頂戴」の意味になるようです。
またのどに手を当てるこのサインを繰り返し使っていて、このサインと「痛い」のサインで「喉が痛い」と伝える子どももいます。

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「少し・小さい」のよちよち手話

両手をグーにして左右に向かい合わせて置き、左右からくっつけます。

質(硬い、やわらかい)や量(少し、いっぱい)を表す言葉は、子どもによく使いますが、こんなサインが付いているほうが、意味を理解しやすいでしょう。その時表情も忘れないでください。また形容詞を沢山使うことで言葉豊富な子どもにしたいものです。「ワンワン」を覚えたら、次は「小さいワンワン」と言葉を増やしていってください。

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「たくさん・いっぱい・大きい」のよちよち手話

パーの両手を胸の前から左右に広げていきます。

「小さい」の反対で胸を広げるように表してください。
「とても大きい」の時は弧を描くようにゆっくり左右に広げます。
この手の動きで大きさの加減を表現します。もちろんこのときの表情(目も大きく開くなど)も忘れないでください。この表情、手の動きがあると、物の名前でない目に見えない言葉の意味の理解も容易になるでしょう。

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「もっと」のよちよち手話

グーの左手の下に 右手を置き、その右手を左手の上にのせます。

(手話の「もっと」は手の形を親指と人差し指を伸ばした形で、動きは同じ右手を左手の上にのせます。日本の手話を手の形をグーにアレンジしています。)
「もっと」を大人が口にすることはとても多いですね。「もっと食べる?」「もっと飲む?」・・・。しかしこの「もっと」の意味を理解するのは1歳くらいではとても難しいのです。今の状態から「更に」ということですから。このサインの意味をきちんと理解して使えるようになるまでは「ちょうだい」を繰り返せばいいことです。「もっと」のサインを強要しないことです。

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「ちょうだい・欲しい」のよちよち手話

パーの右手の甲を左手のひらの上に2回打ちつけます。(右手と左手が入れ違っていてもかまいません。)

自然な身振りでよく使っていますが、これを子どもが使うことができれば、自分が要求していることをきちんと相手に伝えることが出来ます。
講座で自分のおもちゃを、10ヶ月くらいの子がはいはいしてきて持っていってしまい、なかなか返してくれません。この1歳3ヶ月の子はその子の近くまで行って、「ちょうだい」のサインを繰り返すのですが、10ヶ月の子には通じません。でも無理にとることなく、繰り返し「ちょうだい」をしていました。ママが気づいて返してくれました。サインという言葉を使えるようになると、こんな小さな子も、言葉(サイン)で通じさせようとすることを知り、見ていたほかのお母さんたちも感動しました。

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「ミルク」のよちよち手話

グーの親指側を口元に当てます。

母乳とミルクを分けました。
「母乳」はママの胸を(赤ちゃんの胸ではありません)トントン叩くサインですが、これは哺乳瓶を口元に持っていく様子です。

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「おいしい」のよちよち手話

パーの手のひらで頬を軽く2回たたきます。

この「おいしい」の表し方は子どもによってまちまちです。ママはこのイラスト通りに表していても、最初はママの頬をトントンする子。両手で頬ではなく、なぜか頭の後ろをトントンする子(結構多い)など、いろいろあります。
でも大きくなってきたらママと同じように表せるようになりますから、それまではこのパターンを読み取ってあげてください。
また食べる時に使いますので、子どもは「おいしい」=「食べ物」として使い、「<おいしい><ちょうだい>」などと伝えます。
または1歳で好きな食べ物の時だけ<おいしい>を使い、余り好きでない食べ物には使わず、1歳で好き、嫌いをこのサインできちんと伝えている子もいます。いつも子どもの学習能力の素晴らしさに感動します。

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「からい」のよちよち手話

グーの手を口の前で回します

この時大切なのは表情です。お母さんの表情と自分の感じている味を結びつけて覚えていきます。
味に関する言葉「すっぱい」「にがい」などもサインだけでなく表情で伝えることができます。
成長するごとにいろいろな味を体験していきます。
味覚に興味を持たせることは大切です。子どもの自然に出す表情も真似してください。

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「あまい」のよちよち手話

パーの手を口の前で2回くらい回します。

味覚は赤ちゃんも感じているのですから、甘いものを食べた時、「甘いね」と言葉とサインで伝えてください。ある10ヶ月の女の子はバナナが大好き。バナナを食べた時ママが「甘いね」と言っていたら、バナナを欲しい時「甘い」のサインで伝えていました。「甘い」=「バナナ」になってしまったのですが、言葉の数が少ないときはこんな使い方をします。ママに欲しいものが伝わればいいのですから、これで充分です。
もう少し大きくなったら、「バナナ」のサイン(左手でバナナを持って、右手で皮をむく様子)も使ってみましょう。

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