しつこく『恋空』
昨日付けの日記、『恋空』と『さよならの向う側』の続きです。↑の日記では、「内外タイムス」の記事からどのような類似点があるのかを引用しました。「盗作」騒動の様子とネット上の反応を取材しているのが、J-CASTニュースの記事です。↓<ガッキーもびっくり? 「恋空」原作に盗作さわぎ>J-CASTニュース 2007年12月14日 以下、一部引用します。------------------(前略) 著作権に関わるケースだが、トラブルは本当なのか。J-CASTニュースがベストセラーズ社に聞くと、総務の担当者はその事実を認めた。「以前にそういう(著作権がらみの)話が出て、うちの編集者が向こう側の編集者と会ったことはあります」文春の記事では、弁護士を通じて、「恋空」を発売したスターツ出版などに著作権侵害を訴える内容証明を送ったとある。ただ、ベストセラーズの総務担当者は、詳しい経緯については、「担当編集者が退職してしまっているので、よくわからない」としている。とはいえ、その後、トラブルはいったん収まったようだ。映画「恋空」の制作関係者は、J-CASTニュースの取材に対し、「権利関係はきちんと処理されて、映画化された」と明かす。文春は、スターツ出版が井上さんのほかの著書を発売することで取引が成立した、との関係者の証言を伝えている。こうした著作権や取引のことについて、スターツ出版の編集部では、J-CASTニュースに対し、「(盗作とは)認識していません。『恋空』は、(作者の美嘉さんの)実話ですので、たまたまストーリーが似ていたと考えています。(井上さん側との)取引があったという事実は、認識していません」と話している。(後略)------------------ 「担当編集者が退職してしまっているので、よくわからない」(KKベストセラーズ)とか、 「(盗作とは)認識していません。『恋空』は、(作者の美嘉さんの)実話ですので、たまたまストーリーが似ていたと考えています。(井上さん側との)取引があったという事実は、認識していません」(スターツ出版) と、実際のところは「わからない」のですが、この微妙な書き方・・・「『わからない』ってことにしておきましょうよ。そのほうがいいんです。」というニュアンスに読めます。 当事者の片方である井上香織さんの方が、名前もプロフィールも明らかにしている(本業文筆家の方のようですし、ネット上で顔写真も出して「恋愛相談」もしていらっしゃる方なので、当然といえば当然ですが)のに対して、『恋空』側は、原作者の美嘉さんではなくて、ケータイ小説サイトの『魔法のiランド』が対応しているようです。 「週刊文春」の記事では、この経過から美嘉さんの実在を疑っているような記事になっているらしいんですけどね・・・ 私は、もっと怖い考えを思いついてしまいました。 作者の美嘉さんが、小説『恋空』に書いてあるような経験を持った20代前半の女性として、実在していなくても、「魔法のiランド」に携帯小説『恋空』を投稿した人は実在するわけです。「事実を基にした小説」ということになっていますし、それを信じているファンは大勢いるので、美嘉さんが『恋空』の田原美嘉さんと同じようなプロフィールでないとまずいわけですが、ネット上では誰でも「なりたい人になりすまして文章を書くことができてしまう」のですから、性別や年齢を偽っているということもありうると思うんですよね。 だいたい、「事実にもとづいた」ということだって、小説全部が事実である必要もないし、詭弁を弄すれば、「架空の人物が架空の世界で体験した事実」ということだってアリだと思います。スターツ出版は、J-CASTの取材に、「『恋空』は(作者の美嘉さんの)実話ですので」なんて言っていますけど、その当の美嘉さんが姿を現さないのですから。 ここから先は、完全によたよたあひるの想像妄想になりますので、 ご注意ください。 ホラ、私は、『恋空』を「女の子の妄想ファンタジー」として見ていますよね。 一応、著者の美嘉さんを女性、として認識しているわけです。 これまで、まあ年齢は小説に書かれているプロフィールとそんなに違わない人なのかな、なんて考えてきました・・・ 大学受験の受験勉強とか、試験のできばえの記述とかが・・あんまりひどいので・・大学受験はしていない人なんだろうな、あんまり勉強というものにはなじみがない人なんだろうな、くらいに考えていたし、家計に負担をかけないために、デザイナーズマンションを借りて一人暮らしをする、歯科医院の受付のアルバイトをして生活費をかせぐ・・という記述からは、まぁ、一人暮らしの経験はないんだろうな、とか、思っていたのですが、 著者の美嘉さん、実は中学生とか小学生ってこともあるんじゃないかしらん・・・ 小中学生のブログやそこに書かれている小説を読むと、『恋空』程度の文章を書ける子はいると思うんですよね。 もともとの年齢が幼い人なら、登場人物の幼さはある程度了解できます。 大人に当たる人が「親」とか「先生」という役割名しかでてこないことも、 昔の写真を見ることで仲直りしてしまう両親の喧嘩を「離婚寸前」と悩んでいることも。 大学入試の英語の問題が中学1年生レベルのものだったりするのも。 思い出のセックスの場所が公共施設だったり、屋外だったりするのも。 もしも、もしもですよ、 プロットを『さよならの向う側』からインスパイアされて、 そこに多少の自分の経験を加味して書いているのだとしたら・・・ (つまり、妊娠と、その妊娠した子を産めなかったことと、孕ませた男との別離ですが)、 その体験で感じた「気持ち」のリアリティが読み手に共有されているのだとしたら・・・ 思いついたときはかなり怖かったです。 まぁ、「妄想ファンタジー」なら、すべてがフィクションでも、気持ちのリアリティは出るでしょうし、これ以上は私の妄想も止めておこうと思います。「盗作さわぎ」も詳細は公表されることなくおさまっているようですから。 私の妄想は、実際の『恋空』作者とは関係なく、私の妄想として成り立っておりますので、くれぐれもご承知おきください。作者や関係者を誹謗中傷するつもりは毛頭ありません。でも、『恋空』くらいの文章をかけてしまう小学生は充分いると思いました。また、ファンの掲示板などで、小学校高学年の女の子達らしい書き込みをたくさんみました。かなりの子たちが「実話」として受け止めているような書き方でした。 以前、性教育についての学習会にでたときに、 「愛がなかったら妊娠しない」と信じていて避妊なしのセックスをし、 結果、妊娠してしまった10代女子の話を聞いたことがあります。 『恋空』の美嘉さんは、ヒロではない複数の男性に性暴力を受けたときには妊娠せず、 ヒロと「愛し合った」時に妊娠するんです。 まさに「愛」と「セックス」と「赤ちゃん」の三位一体ですが、 このファンタジーをそのまま女の子たちがお手本にしたら絶対に危険です。 女の子だって、思春期になれば性的妄想ファンタジーをもっても不思議じゃないし、 それ自体がいけないとはまったく思いませんし、 妄想ファンタジーを読んだり書いたりするのも、 妄想ファンタジーとして認識して、実際の生活と異なるものとして理解できていれば かまわないと本気で思っています。 でも、「恋」=セックス、「愛しているからセックスする」という行動にでる前に、 わかっておいてほしいことはたくさんあります。 実際に体験するその手前で、自分の身体について、避妊について、セーフティセックスについて、 しっかり理解していてほしいです。