きぬ川の鬼退治
また穀倉地帯で水害を受けている。6月24日秋田県では、梅雨の大雨(24時間雨量234mm)により由利本荘市の子吉川の堤防が決壊して、田畑など1,085ヘクタールが冠水した。仙台・福島に続き、今年の米収穫量が気になる。 利根運河入流部(千葉県柏市)の利根川に、左岸から流れ込む川がある。子吉川と同程度の流域を持つ鬼怒川(1,760km2)である。鬼怒川は、人の少ない江戸時代以前には「絹川」や「衣川」との表記されていた。「利根川東遷」後は、川が氾濫・暴れることが多くなり、「鬼が怒るほどの暴れ川」と呼ばれるようになった。いまのところ、この「暴れる鬼」を押さえていのは、鬼怒川上流の三つのダム群(川俣、五十里、川治)である。3つのダムの中では、川治ダムが大きな洪水調節能力を有し、比較的若い。昭和58年に完成。堤高140m、総貯水量8,300万トンのアーチ式コンクリートダム。3ダム併せて、毎秒3,400トンの洪水流量を調節できる。しかし、宇都宮市付近における計画高水流量の毎秒8,800トンの4割程度であり、昨今の異常気象を思えば安心できない。 更に、3/11の大地震により利根川の中・下流の堤防や護岸の計245箇所に段差や亀裂が見かっている。本格的な修理は、増水期の過ぎた秋以降の工事となる見込み。警戒水位を引き下げ、監視を強化して今期を乗り切ろうとしている。ひとつの安心材料もある。鬼退治する4つ目の湯西川ダムの完成が近い。 写真-1 満水の川治ダム(八汐湖) [撮影 利根川かくべえ] 写真-2 ダム下流への観光放水[撮影 利根川かくべえ]