あいさつもしない人に
今回の日本帰省で一番ショックだったこと。それは、つばめが挨拶もしない人になってしまったようだと気付いたことです。それは、健康診断を受けに、近所の病院を訪れた際のこと。玄関を入り、何人かたむろしている老人のそばをすりぬけてスリッパを取り、そそくさと診察券を出しにいこうとしたつばめの背後で、「人のそば横切るのに、あいさつもせんと!」というおばあさんの声が聞こえたのです。そう言われてはじめて、こういう場合、知らない人でもこういう場合、「おはようございます」とにこやかに挨拶するのが日本の常識だったのかと気づかされた次第。中国では知り合いには挨拶しても、知らない人にはポーカーフェイスで完全無視のことが多く、知らず知らずそうした中国の習慣が身体にしみついている自分を感じ、呆然としました。日本に帰省すると、近所の人たちがにこやかに挨拶してくれ、日本人の礼儀正しさを改めて感じてやさしい気持ちになるとともに去り際まで何度もペコペコと会釈するのにはちょっと丁寧すぎてお互い疲れない?という違和感も感じていたつばめ。病院でおばあさんにはっきり指摘され、私はすでに日本の常識的感覚を失いつつあるんだなぁ~としみじみしてしまいました。思えば日本を離れて10年が近くなる頃から、日本に帰省するとそのような妙な違和感を感じることが出てきたような気がします。今後ますます、それがひどくなっていくのでしょうか。日本という空間から離れ、毎日海外の空気を吸って生きているのですから、それも致し方ないことなのかもしれませんが、中国人にもなれず、日本人としても浮いてしまう自分に、なんともいえない哀しさを感じてしまった一件でした。