NO40. 卒業する娘の手紙

卒業の季節です。
我が家の娘も無事中学を卒業しました。
対面式の卒業式で、証書を受け取った後、卒業生が親に花と手紙を渡すという、新しい形でした。 
娘は終始晴れ晴れとした顔をしていて、親の私もしみじみと泣くという様な心境ではなく、ニコニコと帰ってきました。
  
家に帰って娘のくれた手紙を読みました。 
「おとうさん、おかあさん、これまでありがとう。高校に行ってもがんばるね」みたいな手紙をイメージしていたのですが、予想を裏切って娘が自分のことばで、自分の思いを書いてくれた、いい手紙でした。 

誰かに自慢したいと思っているところに、VOICEの発行日が来ました。
本人の許可なく、全文を載せますので、娘を知っている方はどうぞ内密に。






お父さん・お母さんへ


今までの15年間と2ヶ月間、すっごく楽しい人生をありがとう。

特に、大変なはずの受験生活では、本当に感謝しています。

こんなに楽天的な私が困ってしまうほど、二人とも受験を意識していなくて、お父さんは私が勉強するために朝早く起きても、
    「今日は何かあるのか?」
    「今日、どっか行くのか?」
とか言ってたし、お母さんは「受験ごっこ」と言って、紅茶とケーキを持って、奥様言葉使ったりして、楽しんでやってたよね。
 でも、そのおかげでこんな生活ができたんだと思います。


これからの人生の中で、どんなに辛い事があっても、二人からもらった「自分」を自分で傷つけることだけはぜーったいにしないよ。

それと、二人より先に死なないようにするよ。

二年後には弟君が受験をすると思うけど、そのときにもぜひ、私みたいに楽しい生活を作ってあげてください。


PS. ゆかいな犬の仲間達と弟君
    犬軍団にはたいへんな時期にお生まれいただいて、ありがたく思っております。 弟君には受験のことをおしえてあげよう。

みんなありがとうございました。(これからも・・・)






受験生の親っぽくしない事は、それは私のポリシー、私の美学であって、娘は本当はもっと特別扱いしてほしかったんじゃないだろうか。 
時々よぎったそんな思いが拭い去られました。 
何より、あらためて口に出して言ってきたわけではないのに、私が一番願っている「自分を傷つけない」ということを書いてくれた事、それだけで本当に嬉しかった。 
これまでに娘にしてきた、数々の悔やまれる事が、帳消しにできた気がしました。
  
私の友人は次男が卒業を迎えたのですが、式に参加して長男の卒業式を思い出した、と言っていました。
今は高校生のご長男は、中学時代にはなかなかの不良だったそう。
式の当日、子どもが書いた親への手紙をみんな受付でもらっているのに、自分の子だけ書いてなくてもらえなかった。
私は子どもに感謝の手紙も書いてもらえないのか・・・って悲しかったって。 
お兄ちゃんにそれを話したら、「そうだったっけ。 わりい、わりい。」と言って笑っていたとか。
  
節目のイベントは、とても感動的なこともあるけれど、とても悲しい事もあります。 
でも、いつか懐かしい思い出にしていけたらいいですね。



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