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暴挙

ぱちんこ初体験の日から約3ヶ月。

勝ったり負けたりを繰り返してぱちんこ屋にも馴染んできた頃…有る人物の存在が気になり始める。

ビッグシューター


その人は連日の様に何処かで必ず玉を出してる事に初めて気付く。

当時、お金の無かった私は、自宅に有る親の読み終わった小説を古本屋に売り捌いては、

日々の軍資金に充てていたのだが、かなりの量を売り捌いてしまい、親にバレてしまう。

軍資金の糧を寸断されてしまった私は、金も持たずにパチ屋に通い遠くから皆が楽しそうに

ぱちんこを打つ姿を眺めては、打ちたい気持ちを抑えていた。

そんな、ある日の事、常勝し続けるオヤジの存在に気づく。

お金も無く打つ事も出来なかった私は、その日からオヤジの行動だけを観察する様になった。

まずオヤジは必ず朝一番に店に並ぶ事に気づき、私も丁度冬休みだった事も手伝って、朝から金も持たずに一緒に並ぶ。

そして開店…

まずオヤジは前日に自分が打っていた台にライターを置くと、次は片側から順番に台の観察をして行く、

やがてその観察が終わると更に入念に数台の観察を始める。その日は一番最初にライターを置いた台に着座したと思う。

そして打ち始める…

出玉はドンドン増えて行き、昼を過ぎた頃には大きな箱を下に置いてる状態。

順調に出玉を増やし、やがて打ち止め終了の合図と共にそのオヤジはホールから姿を消して行った。

カッコ良い!!と本当に思えた一瞬だった。

オヤジが帰った後、次に何処に行くかは判っていたが、その日は後を追わずに自宅に帰る事にした。

自宅に帰った私は今日のオヤジの行動を振り返り、有る事に気づく…

そうだ!!『奴は釘を見て台の良し悪しが判るんだ!』

よっし!!明日はあのオヤジより先に並んで台を取ってやると意気込むが、先立つものが無くては打てないのがパチンコ。

悩んだ挙句…友達にお金を借りに行くことにした。

しかしお金持ちの悪友のT君に5000円の借金の申し込みをするが使い道を聞かれ、

とっさに”飯代”と答えてしまい嘘だとバレて借り入れをお断りされてしまう。

しかし天は私を見捨てなかった(笑)冬休みというチャンスが到来。それは新年と共に訪れる幼き特権『お年玉』

お年玉がこれほど嬉しかったのは過去に遡っても無い!!その喜んだ記憶は20年経った今も未だに忘れない。

動機は不純だがパチンコ打てる幸せを最高に感じた新年だった。

ようやく軍資金を手にした私は、初詣・おせち料理には目もくれず一目散にホールへ直行。

しかしオヤジの姿はそこには無かった何軒も見回ったが何処にも…。

今、考えれば当然だが、正月からパチンコをするプロが居ないのは常識だったかと。

その日は久し振りと言うことも有って、少しパチンコを楽しんだ後帰宅。

家に帰ってからは、次にいつ打ちに行くか?そんなことばかりをただ考えていた。

ルールやプロの掟も知らない当時17歳の私が取った行動とは?

プロの台を横取りする!!と言う暴挙な大作戦。

その愚行をいつ実行するのか作戦決行日を虎視眈々と狙っていた。

当時印象に残ってる3台

ビックシューター・弁慶・スパンキー



【続く】

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