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喧嘩

喧嘩の原因は店舗の改装による打ち合わせで、師匠とマネージャーの意見が合わなかった為…

そんな事は何処の職場でも良く見かける光景だと思っていたが、Tマネージャは翌日から姿を現さなかった。

これもまたパチンコの世界特有のものなのか?しかし困ったのは私。

翌日から店の全ての取り仕切りを任される羽目に。まだ入社して4ヶ月足らずの人間が

パチンコ屋店長の仕事をやらざるを得なくなってしまった。しかし業界経験の浅い私に、

368台の中型店を一人で取り仕切るには荷が重かろうと、師匠が気を利かしてグループ店の一番小さな

150台規模の店に移動するように社内で人事異動の指示を出してくれた。

移動先の店は・・・

スロットが30台と羽根物が50台程で残りはCR機の小さなお店。


タトルリグ

バカボン


床は木貼りで椅子は固定されて居ない。昭和の香りが漂う店内は何処か居心地が良く、

自分が始めてパチンコ屋の扉を開けた店と、錯覚する様な雰囲気さえ持ち合わせた店だった。

そしてその日から店舗責任者としての勉強が始まる。

パチンコに関わる仕事全てが楽しくて仕方ない、本来アルバイト達が嫌がる様な仕事でも

楽しくて楽しくて仕方なかった。

中でもセル板清掃と言う、パチンコ台の盤面や役物を綿棒で汚れを拭き取るセル板清掃と言う作業が有るのですが、

これは時間と手間のかかる作業の為、みんな嫌がっていたが、ガラスを開けて盤面に向かっている姿が、

憧れた釘師の姿を疑似体験出来る。そんな事も有り、誰も居なくなった閉店後の店内で、

師匠が来るまで毎日盤面を綺麗に磨き上げていた。

連日、綺麗になって行く盤面をみて師匠は何も言ってくれなかったが、ただ自分は綺麗な盤面・役物でお客に遊んで貰いたい。

少しでも気持ちがお客に伝われば満足して貰えるのでは無いだろうか?と日々、自分に出来ることを探しては仕事をしていた。

毎日メンテナンスをすると不良箇所やイタズラされた所が瞬時に判る。

店の規模が小さかった事も有るが昼間の客を思い出せば、誰がイタズラをしたのかが判るように成って来た。

そんな有る日『タコヤキ 八ちゃん』の上皿が割れる日が続いた。

たこ焼きはっちゃん


お爺さんやお婆さんが叩いて、此処まで割れる事は考えられない。

そうなると答えは『ドツキ ゴト』少なくとも私が店に居ない時間を狙って悪さをしているに違いない。

大切に扱っている機械に傷をつけやがって、『明日、捕まえてぶっ殺してやる!』

大切な物を傷付けられた怒りは相当な物だった。


そして翌日…

開店から店の陰に大きな体を潜め、事件発生の瞬間を心待ちにしていた。気分は張り込み中の刑事。

ゴト師が来るのを今か今かとひたすら待っていた。そしてついにそれらしき人物が現われる。

一見サラリーマン風の服装に身を包んだ二人組の若者、目線が明らかに店員の動きを追っている。

上皿に手を乗せ、タイミングが合えばヤルのだろう、辺りを頻繁に伺っている。

そして…羽根が開いた瞬間!!一瞬遅れて『ドコッ!』現場を見届けたのでダッシュでゴト師所に詰め寄る、

相手は一瞬怯んだがシラを切り通すが、台を見ると昨日修理した所がもぅ割れていた。

怒りが込み上げこの時二人纏めて店外へ引きずり出し説教をした後、器物破損で警察を呼ぶと言ったら

弁償させて欲しいと謝ったので、仕方なく上皿のお金8000円を請求して帰らせてあげた。

その日の夜、師匠にゴト師が来て捕まえ上皿を弁償させたと言ったら

『それは一般人やゴト師はそんなもんに金なんか払わんぞ♪』

と笑われ叱責された。それでも店を守る気持ちが伝わったのか、それ以上のお咎めは無かった。

そして11月の終わり頃師匠から次なる指令が出た。それはパチンコ店で勤める者、

釘師を志す者にとって絶対に避けては通れない道…

釘調整時に必要になるホールコンピューターのデーターを読む為の知識と利益額に併せた

釘調整を目指す為に、数多く有る数式や公式全てを頭に叩き込む事だった。

勉強嫌いの私でしたが、大好きなパチンコとなれば嫌いな筈の勉強も楽しくて仕方なく、

休日を返上して公式やデーターの読み方を勉強する日々が続き。いよいよパチンコ店の中枢に入って行くことになる。


【続く】

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