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鉄火

店にやってきたアルゼの営業マンは一枚の紙切れを握り締め、こう呟いた。

『ついに此処まで来ちゃいました♪もぅ~コレを超えることは絶対出来ませんよ!』

『ハッキリ言って狂ってます!昨日モニター店では50000枚出ちゃたんですよ』

『そして更に凄いのは…5万枚出ても赤字じゃ無かったんです!』

その言葉に驚いた…

5万枚と言えば等価交換なら100万円。それだけの差玉が出ても店が儲かるなんて事は絶対有りえない

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営業マンに問いただすが本当だと言い張る。そこまで言うならと営業マンを車に乗せモニター店へ直行した。

そこにはスロットの島とは思えない異様な光景が待っていた。誰もドラムを見ていない。

みな黙々と液晶画面だけを見つめながら打ち込み、時折聞こえる『パキ~ン♪』と言うかん高いテンパイ音が

鳴り響く度に、隣通しが横目で液晶画面を覗き見る。

大当たりと同時に流れ出すサウンドが、これまた悪そうなイメージで射幸心を煽りまくっていた。

そして数万円に一度訪れる悪魔の出目…左7

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液晶画面に、その数字が止まった瞬間に訪れる身悶える瞬間。あまりの興奮に手が震える者、

液晶画面を隠す者、様々な人間模様が見れる瞬間。そぅその昔、私が鉄火場でよく見た

あの懐かしく麗しい光景がそこでは繰り広げられていた。


もぅ買うしかない!!モニター店で見たプレイヤーの目つきを見た瞬間に意思は固まった。

帰り際に師匠に電話する…『アレ買います32台ワンボックス行きますわ!!』しかし師匠が思いがけない言葉を発する。

『半分にしとけ…今十分稼動してるやろ』

『ワンボックス無茶して客飛ばしたら修正出来へんぞ!!』

店に帰り師匠からお言葉を頂く…

『そもそも売上が計画数値を大幅に上回り客への還元率が上がって来ている大切な時期に

更に1000万以上の投資は客への還元率を低下させ、入れ替えが失敗に終わった時は収拾が付かなくなる

釘師は常に様々な事態を想定し最善の方法を取らなくてはイケナイと強く指導された』

何か釈然としないまま納得してしまい結局16台を注文し新台入れ替えの日を迎えた

開店日の前夜にピカピカの新台が店に納品されアルゼの営業マンと明日の設定について話し合う

営業マン曰く…

営業『一日では絶対に設定でコントロール出来ませんので予め判っておいて下さいね』

営業『設定6は相当ヤヴァイと思いますよ…だってココ見て下さいよ』

アルゼの営業マンが指差した場所…

それは機械内部に貼られている各設定ごとの出率表

設定1 89.00%
設定2 ・・・・・
設定3 ・・・・・
設定4 ・・・・・
設定5 ・・・・・
設定6 ???エッ

営業『設定6は流石に使えませんよね・・・ハッハッハッ』

なんと設定6の出率の所だけ???%と記入されていた…

営業『っで明日の設定どうします?』

オラ『明日は全6で行こう…』

営業『エッ!全6ですか…その半分位保険かけても良いんじゃ?』

オラ『大丈夫だよ…明日は6時開店だし』

オラ『それにウチは8枚交換でっせ…ダイジブダイジブ』

営業『知りませんよ…どうなっても』

そして翌日の新装開店で想定しなかった出来事が起こり焦ってしまう。

【続く】

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