突然のギフト
毎週、部活のように通っているジャムセッションがある。そのライブハウスに集まるベテランミュージシャンたちの中でも特に厳しいことで知られるギタリストさんと、実直で寡黙だけど県内ではトップクラスの腕利きベーシストさんがホストの日。たまたまベーシストさんとは得意ジャンルが共通しててフィーリングが合うのだが、次々にゲストさんたちを回していくホストに徹しておられ、数年お世話になってても、そうそう個人的におしゃべりすることはない。演奏の中で仲間同士は気持ちが通じ合っていたり感じ合えているから、その必要もないのがジャズ仲間とも言える。以前にも滅多に参加者の演奏やボーカルの歌い方を褒めないミュージャンの方に、私のボサノバの歌い方が「その歌い方は、なかなかない」と高評価をいただいたことがあったのだが、先日ボーカルの参加者が私以外にいないシチュエーションもあってか、たまに厳しい指摘はしても褒めることのないホストさんが、「ボーカルいいね」とさりげなく溢された。それも難しい"Desafinado"で。全体の空気感やフィールが良い感じで流石のアドリブも冴えておられ、気持ちがいつも以上に乗っておられたのかもしれないが、私にとってはこの上ない賞賛で、天にも登る気持ちの昂りを抑えるのにエネルギーが要った。難しいことをするよりもシンプルに自分の持ち味を最大限に活かすことへの自信を再確認できた日だった。この日を境に人生観・幸福感が変わってしまうぐらいの衝撃的な出来事だった。