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“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

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2010.04.11
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《超ありえないデカねた》寿司処松の(石川県かほく市)
 「ちょっと面白い寿司屋があるんですよ」金沢の私の友人の寿司屋の店主が超繁盛寿司店の「松の」に連れて行ってくれた。
店の前に立ち、その外観はなかなか雰囲気のよさそうな寿司屋で、ガラリと戸を開けて、中に入ると、「ちょっといい寿司屋に入ったな」という印象。

 しかし、私の目に入った光景はいきつけの高級店とはちょっと違いた。ほとんどが若いお客さんなのだ。私や私の友人はかなり年齢層としては高めだった。

「よおぅ」オヤジさんは同業者で顔なじみの友人とかるく挨拶。導かれるように私たちは席につく。 辺鄙な場所にも関らず、とても賑わっており、驚く私たち。オヤジさんは「ごめん、ちょっと待っててね」と一声。

 「何で、こんな場所でこんなに流行るんだろう」と私は考えていた。
カウンターの上にあるお品書きには2100円、3150円、4200円と松竹梅のメニューが書いてある。「がってん寿司」や「銚子丸」のように値段に段階のある回転寿司チェーンの客単価(ひとりあたりの使う金額)が1800円くらいですから、ちょっと高めだ。

オヤジさんは軽快に何かをつぶやきながら、手を動かしている。そして、となりの三人組のお客様の目の前におもむろにカニの軍艦がおかれた。
「どーん!」
軍艦にのったカニはゆうに6本はあった。

いよいよ私たちの順番になり、「何にします?」とオヤジさんが聞いてきた。友人が上寿司3150円を注文。

まずは真鯛だ。その真鯛は明治の板チョコを半分に割ったような大きさだ。ちょと大げさかもしれないがそんな印象だ。その真鯛は新鮮なので固くて、もごもごする。なかなか噛み切れない。
二つ目に提供された平目も、その次の鰤も同じように大きな切り身だ。
「そうか!あのパターンか」
私は大分の繁盛店「錦寿司」の大将を思い出していた。このやりかたはデカネタというカテゴリーで一時この業界では大流行した。
実は、このデカネタのような、わかりやすいやりかたが、ふつうにやったら飽きられる。
 一時期流行したと書いたのは、ただネタがでかいだけでは、いずれはお客様のこの大きな感動になれ、最終的には自分の好みの店に納まり、来なくなる。多くの店はこのように消滅する。
市場が成長しているならば、次々に新規客が訪れるからそれでもよい。しかし、日本の外食産業は成熟期に入った。それに人口減少も大きい。新規客が来ない。
新規客が主体なら、わかりやすい大きな感動が重要だ。そのために、見た目にわかりやすさはてっとり早い。しかし、大きな感動は劣化する。いずれは興味がなくなる。
あんなに多くの人が通っていた派手なサービスが消えたのは飽きが原因だ。

では、なぜ、この松のはお客様に支持され続けているだろうか?
そこにこれからの時代のヒントがある。

それが深さなのだが、ぱっと見では店のやっていることが見えず、「(何だかわからないが)また行きたい」と思う、いわば小さな感動を指す。この小さな感動が「好きだ」「この店いいな」と感じされる原資になる。それが松のにはあるのだ。
深さは店が与えて行くものではあるが、お客様自身の知識、経験の蓄積も同時に必要になる。つまり、お客様の知識、経験の蓄積がないと、この深さからの小さな感動はおこらない。
店には蓄積した知識、経験、技術、文化などの蓄積がある。それを、お客様の蓄積の度合いを見ながらひとつひとつ手渡さねばならない。タイミングよく、知識、経験、技術、文化を受け取ったときに小さな感動がおこる。

 この松ので待っているときにとなりのカップルに「これ冷めちゃったから」と玉子焼きをサービスしていた。一見するとお客様のお腹の加減をみてやるすし屋でよくあるサービスに見えるのだが、この松のはそうではなかった。私たちの寿司のコースも最後になりかけたころ巨大な玉子焼きの握りが熱々で出てきてそれがわかった。
「こんなに忙しい店なのに、玉子を焼くために一人つけている!」
つまり、サービスで出した玉子焼きは本当に冷えてしまったからだったのだ。
多くの店は忙しいという理由で玉子は焼いた既製品を買うだろう。せいぜい、開店前に焼いておきするくらいだ。しかし、この松のはお客様のために、その都度焼く。
これがわかったときにお客様は小さな感動を覚える。

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もの凄い人気です!

その秘密は・・

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鮃です。

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真鯛

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玉子はアツアツ・・
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塊のような中トロ

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蟹です。8本くらいのっています。

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なのですね。

寿司処松の
石川県かほく市字野気チ90番地
電話 076-283-1826


この店のコラムはこちらです



本日のおすすめ


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