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仲人のため息 &  わんにゃんパラダイス

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弘子

☆3月1日(木)私は久しぶりに神戸に仕事で出ました。午前11時から12時位で終わり、折角神戸に来たし、少しぶらぶらしよう!っと・・歩いて行くと、1軒のパチンコ屋さんに目が行き「7年ぶり!少しだけやっちゃえ!」(本当はタバコくさいし、面倒なのでしない)最近1000円でしか買えないようで?「しかたないぁ・・まぁいいか!」なんて思いながら、楽しそうな台に座りました。ところが、出るわ!出るわ!大当たり!自分でもこんなに出るのは、初めてで本当にびっくりしていました。
  
 そんな時、小さな可愛い女の子が・・・


3月7日(水)ホームの方から、母が元気がないので来てほしい・・との事
3月8日(木)母は眠っていました。つい先日見た時の顔とは別人みたいに、やつれていました。「お母ちゃん!来たで!」「あー○○か?」「早く手術して、目が見えるようになればいいね。温泉行けるで。」「そうやな。行きたいな」「今日はタンスの中を整理したるわ」
「うん」・・私は、備え付けの洋服ダンスなどの整理をしました。その時に1冊のアルバムが出てきました。パラパラっとめくっていき、思い出などを聞いていきました。ふと、私は1枚の写真に目がいき(4歳くらいの女の子)・・・実は、私は、姉、兄・・・そして私ではなく、私と兄の間にもう一人の姉妹が、いたのでした。私は逢ったことがなく(もちろん生まれていない)その子(名は弘子と言います)の話も今まで、聞いたことがありませんでした。
(どうせ時間があるし、聞いてみよう・・)と思い「お母ちゃん、弘子って子、どんな子やったの?なんで死んだの?」と聞いたのです。すると母は、話始めました。

「弘子は一番貧しい時に生まれた子で、お父さんが仕事で失敗して、家を追い出され、姉ちゃんと兄ちゃんはおばあさんの所に預けてた。弘子だけが、小さいからついてくると言って、お父さんと3人で神戸に移った。お父さんは、苛立ちで、遊んでくるし、お金も本当になかった。パンやさんの奥さんが残ったパンを分けてくれたり、お母ちゃんが内職したお金もみんなお父さんが持っていった。弘子は小さいけど、泣き言を全然言わへん子やった。親戚の家に行っても(豆腐やさん)「おばちゃん、ひろちゃんおでん食べたいねん。こんにゃくとおとうふちょうだい!」って、お金ないのをみんなわかってるから、こんにゃくとお豆腐、後おでんの材料をみんなもたしてくれた。で、ある日「お母ちゃん、お父ちゃんみたいに、パチンコで、お金もらおう」って言いだして、ついていったら、従業員のおじさんに「おっちゃん、ひろちゃん、下に落ちてる玉ひろてもええか?」「なんでや?」「ひろちゃん、いっぱいお金稼いで、お母ちゃんに玉子とじうどん食べさせたるねん」「ええで!でも邪魔したらあかんで!」「うん」弘子が玉をひろてたら、可愛いから、いろんな人が玉をくれる。そんな時な、弘子がそこに来てた女の人に「おねえちゃんの所に落ちてる玉ひろてもええ?」その人は「ひろちゃん言うの?お姉ちゃんもお腹空いたわ。外のうどんやさんで玉子とじうどん食べようか?」「ええの?でも・・お姉ちゃん、お母ちゃんもおるねんけどあかん?」「ええで、じゃ、そこを出た所のうどんやさんで待ってるわ」お母ちゃん、ハラハラしてたら、弘子に連れていかれた。うどんやさんに行ったら、きちんと玉子とじうどんが3つそろってて、すごくおいしかったわ。あの味は忘れへん。

弘子はそんな物怖じひとつしない子やってん。でも、そんなん続けへん。
お母ちゃんも弘子も栄養失調になってな、弘子はそこに風邪をひいて、お母ちゃんもお父さんも病院駆け回ったけど、10万人にひとり・・っていう悪い肺炎にかかって一晩で死んでしまったわ。可哀想な子やった。」

おわかりでしょうか。
母は目が見えない為、私の様子には気がついていません。
私は、涙が止まりませんでした。
あの日、仕事で行った「神戸」
7年ぶりにパチンコをして、浮かれるほどの「大当たり」(千円で2万8千円勝った)昼ご飯抜きで「お腹ぺこぺこ」

私自身、初めてで「やった!」と考えていた所に女の子の声で「おっちゃん、玉ひろてええの?」と聞こえ「ええよ」(まぁ、あんな小さい子を連れてきて・・)と思い見てると近づいてきた「お姉ちゃんの足元にある玉もろてもええ?)「ひろちゃん、言うの?お母ちゃんと来たの?」「うん」なんかすごく可愛くて、弘美(私の姪、姉の子)に似ていて少し貧乏くさくて・・・私もなんか可愛そうな気になって、儲けたし・・さっきなんか食べたいって言ってたなぁ。
「お姉ちゃんもお腹すいたわ。玉子とじうどん食べようか」「ええの?・・・」
店には懐かしいような女性が申し訳なさそうに入ってきました。2人で、ニコニコしながら、おいしいねって言いながら・・・私は、どう切り上げれば良いのかわからなく、お金を支払い「ゆっくり食べてね」と出ていきました。

その日は、我ながら度胸あったなぁ・・と良い気分で帰りました。

いったい、どういうことでしょうか?
あれは、私の母と会わずに死んでしまった「姉」なのでしょうか?

私は、今もその「弘子」の無邪気さ・・にせつない思いがします。
どうか・・天国で安らかに見守っていてください・・・


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