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一期一会(ぼくの読書日記)

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2010年07月29日
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1992年6月、浦和の高校教師とその妻が、家庭内暴力の長男を刺殺した。
長男はなぜ高校・大学を中退し、家庭内暴力をふるうようになったのか。父、母はなぜ息子を殺さねばならなかったのか。
立派な教師、理想的な親という幻想にふり回され、共感と自信を喪失した現代の家庭の悲劇を克明にたどる著者・横川和夫氏による追跡ルポです。

この事件は1992年6月、埼玉県浦和市(現さいたま市浦和区)で起きました。
県立高校の国語の教師である父親が妻と共に、深夜勤務のバイトから帰宅して睡眠中の長男を包丁で惨殺したのです。

この教師夫婦による息子殺人事件は、人々に大きなショックを与えました。
そのうえ、浦和地裁が出した懲役3年、執行猶予5年という温情判決に、いっそう事件の波紋は広がったと言われています。

表面的には何一つ問題の無い、まさに理想的な家庭(家)という仮面の下に、何が隠されていたのでしょうか。

殺された長男は、集中力があり、高校を中退しても浪人せずに一流私大に合格でき、勉強だけでなくスキーでは1級の資格を難なく取り、音楽、そして絵画の腕も抜群だったそうです。
そんな優秀な彼でも、その後の人生を大きく変えるような最大の悩みを抱えていました。

彼の悩みの大元でもあるサラリーマンロボットと主婦ロボットは、自分の子供が想定外の行動を起こしたことにより混乱してしまい、その子を異物として切り捨てようとします。
そうなんです。
異常だったのは長男ではなく、両親だったのです。

毎晩両親は「自分達の家庭の展望を切り開くには、親の責任で長男の命を絶つ以外に方法はない」という意見でまとまり、ではどうやって殺すか、やっぱり出刃包丁か。
と夫婦揃って真面目に考える。
普通の精神状態ではなかったのでしょうが、自分の子供をいつどうやって殺すのかを夫婦揃って夜な夜な相談していたということも、かなり異様ですよね・・・

役割や規範にとらわれすぎた家族が陥った絵に描いたような悲劇であり、健全と見える家族の中に潜む異常性が垣間見られるようです。

93年度新聞協会賞受賞作品。

【参考】
子供は、自分の自我を自ら形成していき、その人間の同一性を確立していきますが、親の思い入れが強いと親の価値観に自我が圧倒されて、子供自身の自我の同一性が拡散してしまい、その結果、不安感などを生み神経症ないし人格障害を引き起こす危険性があるそうですよ。

オススメ度:★★★★☆(少しオススメ)ウィンク

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最終更新日  2010年07月29日 11時24分45秒
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