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青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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空クレジット契約の保証人の責任

空クレジット契約の保証人の責任

会社社長が資金繰りのため、販売会社と結託して印刷機を買ったように装い、会社社長は

クレジット会社と立替払契約を締結。

印刷機の売買契約を締結して、クレジット会社が代金を販売店に立替払。

販売店はその金を会社の社長に交付。

このクレジット契約の保証人は会社の社員 空クレジットであることを知らない。

会社の社長 クレジット契約の分割払いを遅滞 クレジット会社 保証人に請求

保証人 保証契約の意思表示に錯誤があると主張して争った

1審 2審ともに クレジット契約は金融の性質を有するものであるから、空クレジット

かどうかはさほど重要な意味を持たないので錯誤の要件たる要素の錯誤ではないとして

保証人の抗弁をしりぞけた。

最高裁平成14年7月11日判決 判例タイムズ 1109号 129頁

保証契約は特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは

保証契約の重要な内容である。

経済的な実質は金融上の便宜を供与するにあるということは原判決の指摘するとおりである。

しかし、主たる債務が実態のある正規のクレジット契約でよるものである場合と、

空クレジットを利用することによって不正常な形で金融の便益を得るものである場合とで、

主債務の信用に実際上差があることは否定できず、保証人にとって、主債務がどちらの

態様のものであるかにより、その負うべきリスクが異なってくる筈であり、看過し得ない

重要な相違があるといわざるを得ない。


本判決は空クレジット契約に関しての初めての最高裁判例

原判決は意思表示の動機の錯誤としたのに対し(動機の錯誤であれば、その動機が表示

されなければならない)ストレートに要素の錯誤としたものである。

今後の主要な争点は 保証人の重過失の有無に移ると思われる。

従来、主債務に物的担保がある。或いは他に保証人がいると保証人が誤認していた場合は

動機の錯誤に過ぎない(最高裁昭和32年12月19日判決)とされている。

保証人の負うリスクという点では類似するといえるが、主たる債務の内容となるか否か

という点から見ると、主たる債務の内容をなす場合は要素の錯誤、主たる債務の内容を

なさない場合は動機の錯誤というふうに区別することができる。

判例タイムズ1154号 24頁  伊東譲二 裁判官の解説



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