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yuuseiーyuusei

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2011.08.16
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カテゴリ:民事訴訟法
給付の訴えにおける原告適格  最判平成23年2月15日

「事案の概要」

マンションの管理組合であるXが,本件マンション1階にある専有部分の区分所有者Y1,前区分所有者Y2及び賃借人Y3が規約の定めに反してXの承諾を得ることなく本件マンションの共用部分に改造工事を行い,また,Y1がXとの間で締結した看板等の設置に係る共用部分の使用契約の終了後も権原なくその使用を継続していると主張して,Yらに対し,規約所定の違約金又は不法行為に基づく損害賠償を求めるとともに,Y1に対し規約で定められた原状回復義務に基づく工作物の撤去等を求めた。

「判旨」

給付の訴えにおいては,自らがその給付を請求する権利を有すると主張する者に原告適格があるというべきであり,本件各請求は,XがYらに対し,X自らが本件各請求に係る工作物の撤去又は金員の支払を求めるものであるから,Xが本件各請求に係る訴えについて原告適格を有することは明らかである。

 

給付の訴えにおいては,自らが訴訟物である給付請求権を有すると主張する者に原告適格が,原告がその給付義務者であると主張する者に被告適格があり,真に原告が被告に対しその給付請求権を有するか否かは,請求の当否の問題であって,訴えの適否の問題ではない。
本件では,Xは自らが訴訟物である給付請求権を有すると主張して,Yらに対しその給付を求めるものであることは明らかであり,本判決がXは本件各請求に係る訴えにつき原告適格を有するとしたのは当然の帰結といえる。

権利能力のない社団であるマンション管理組合の理事長は,管理組合の代表者兼管理者(管理者は区分所有法26条4項により任意的訴訟担当が認められている。)という二重の地位を有することが多いことに起因してか,マンションの管理をめぐる訴訟においては,原告として訴訟を提起したのが管理組合なのか,管理者である理事長個人なのか,そして,原告は誰に帰属する権利をいかなる根拠に基づき行使しているのか(管理組合に帰属する請求権を管理組合が自ら行使するものであるのか,区分所有者らに帰属する請求権をその者らのために訴訟担当者として行使するものであるのか)について,混乱が見られやすい。本件でも,Xのいかなる権利が侵害され,Xにどのような損害が発生したのか具体的に明らかでなく,原告として訴訟提起したのが管理組合なのか理事長個人なのかについても混乱がみられた。
原審は,Xの各請求はいずれも共用部分の侵害を理由とする請求であると解した上,各請求権は区分所有者に属し,Xが区分所有者のために本件訴訟を追行することは許されないとして訴えを却下したが,Xは区分所有者らが有する請求権をその者らのために行使するとは主張しておらず,自らが訴訟物である給付請求権を有するとしてYらに給付を求めていることはその主張内容からみて明らかである。

「原告は誰が給付請求権を有すると主張しているか」ではなく「給付請求権を有する者はだれか」を問題として当事者適格の有無を判断した点で,原審の判断には誤りがある。

 判例タイムズ1345号129頁






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Last updated  2011.08.16 13:56:52



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