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青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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yuuseiーyuusei

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2014.05.30
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カテゴリ:その他
建物内の駐車場に放置された自動車にその購入代金の立替金債権の担保として所有権が留保されていた事案において、建物を賃借して駐車場を運営している者に対し、被担保債権である当該立替金債権を譲り受けることにより当該自動車の所有権を取得した者がその撤去義務及び不法行為責任を負い、当該自動車の登録名義人である旧所有者はその撤去義務及び不法行為責任を負わないとされた事例(東京地裁 平成24年11月28日判決)

「事案の概要」

本件は、大型ショッピングモールを運営する原告が、ショッピングモール建物内の来客用駐車場に放置されている自動車について、本件車両の購入代金を立替払いし、購入者との間の立替払契約において購入者に対する立替金債権の担保のために本件車両の所有権を留保する特約を締結していたAから本件立替金債権の譲渡を受けた被告に対し、本件車両の所有権者は被告であると主張して、建物の賃借権に基づいて又は建物所有者の所有権に基づく返還請求権の代位行使により、本件車両を撤去して駐車区画を明け渡すよう求めるとともに、賃借権侵害の不法行為による損害賠償として賃料相当額の支払いを請求し、吸収分割によりAからその権利義務を承継した参加人に対し、本件車両の所有権者は参加人であると主張して、上記と同様の請求をした事案である。

留保所有権者であったAから被告に対して本件立替金債権が譲渡された際、本件車両の登録名義は変更されず、登録名義人はAのままとなっていた。

「判旨」

本件区画を占有し、本件建物の賃借権又は所有権を妨害しているのは、本件車両の留保所有権を有する者であるが、原告は、平成6年判決の射程が本件にも及ぶとして、本件車両の登録名義人である脱退被告の義務を承継した参加人は、原告に対して留保所有権の喪失を主張して本件車両の撤去義務を免れることはできない旨主張する。

しかし、平成6年判決は、特定の土地を離れて存在しえない建物の登記名義人の土地所有者に対する建物収去土地明渡義務の存否についての事案に関するものであるところ、動産であって、特定の土地を離れて存在することが可能であり、それが常態でもある自動車について、その登録名義人の撤去義務の有無が争点となっている本件とは事案を異にするものである。

平成6年判決は、建物の登記名義人が収去義務を負う理由の一つとして、建物は土地を離れては存立しえず、建物の所有は必然的に土地の占有を伴うものであることを前提として、土地所有者と建物譲渡人の関係は、あたかも建物についての物権変動における対抗関係にも似た関係というべきであることを挙げる。

しかし、本件において撤去義務の有無が争点となっている自動車は、特定の土地を離れて存在することが予定され、それが常態である動産であり、たまたま一時期に自動車がある土地上に駐車されていたことをもって、当該土地所有者と自動車の譲渡人との関係が、当該自動車についての物権変動における対抗関係に似た関係にあるということはできないから、本件は、平成6年判決が建物の登記名義人が収去義務を負うとした理由の前提を欠くものである。

したがって、本件について平成6年判決の射程が及ぶとして本件車両の登録名義人が車両の撤去義務を負うとする原告の主張は採用できない。

また、本件車両の留保所有権を有しない参加人が、単に本件車両の登録名義人であることを理由として本件車両の撤去義務を負うということはできず、他に、参加人の本件車両の撤去義務を認めるに足りる証拠はない。

判例タイムズ1399号120頁





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Last updated  2014.05.30 14:17:15



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