不正競争防止法における営業秘密に該当するか
不正競争防止法の営業秘密における秘密管理性(東京地裁立川支部刑事第3部判決) 「事案の概要」被告人は、通信教育、模擬試験の実施等を業とする甲が乙に業務委託していた甲の情報システムの開発等に従事し、甲及び乙が秘密として管理している営業秘密である甲の顧客情報を、同情報が記録された甲のサーバコンピュータに業務用パソコンからアクセスするためのID及びパスワード等を付与されるなどして、甲等から示されていた。被告人は、顧客情報を名簿業者に売却して利益を得る目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背いて、2回にわたり、業務用パソコンを操作して顧客情報等が記録されたサーバコンピュータにアクセスし、甲の営業秘密である顧客情報をダウンロードして、前記パソコンにUSBケーブルで接続した自己使用のスマートフォンの内蔵メモリ等に複製させる方法により、顧客情報合計約2989万件を領得し、そのうち1回については、1000万件余りの顧客情報を、インターネット上のファイル送信サービスを利用する方法により、名簿業者に顧客情報のデータをダウンロードさせて開示した。 「判旨」本件当時、本件顧客情報を保有していた株式会社等において、本件顧客情報を管理する方法が、アクセスできる者を制限するなど、情報の秘密保持のために必要な合理的管理方法であり、本件顧客情報にアクセスする者がその情報が管理されている秘密情報であると客観的に認識可能であったと認められることから、本件顧客情報について、秘密管理性の要件を充足しており、不正競争防止法における営業秘密に該当する。判例タイムズ1433号231頁