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カテゴリ:弁護士業務
カルロス・ゴーン被告の元弁護人の事務所に捜索差押がなされた件、刑訴法上、押収拒絶権があることを分かっていながら何故こんなことをするのか、完全な嫌がらせとしか言いようがないのに、と憤っていました。捜索差押令状を請求した検察庁も検察庁ですが、裁判所も何故許可したのでしょうか?
日本中いつどこの事務所で起きてもおかしくない事態で、弁護士であれば脊髄反射で怒るべきケースだと私は思います。 また、私は受講していないのですが、日本人留学生数人が刑事訴訟法を受講していることもあり、「これだけ世界的な話題になっているんだから、教授から、日本の刑事司法についての自分の見解を聞かれる可能性が高いけど、聞かれたらなんて答えるべきですかね」なんていう現実的な話題も出ていたのですね(苦笑)。 でも、このタイミングで、東京弁護士会から、超迅速に会長声明が出て、しかも、英語版まであるなんて、素晴らしすぎます!!!迅速な起案、英訳、本当に頭が下がります。 https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-566.html 同日、日本弁護士連合会からも会長談話が出ています。こちらも素晴らしく早くて感動します! https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200131.html 日本の弁護士がこの事態を容認していない、ということを日本中に世界中に分かってもらいたいと、日本の弁護士の一人として願っています。 【東京弁護士会:会長声明】 2020年01月31日 東京弁護士会 会長 篠塚 力 東京地方検察庁の検察官らは、本年1月29日、被告人カルロス・ゴーン氏の元弁護人らの法律事務所に対し、元弁護人らが押収拒絶権を行使して捜索を拒否する意思を明示しているにもかかわらず、法律事務所に立ち入って捜索を強行した。その際、検察官らは施錠中のドアの鍵を解錠して法律事務所に侵入したうえ、事務所内の会議室の鍵を破壊する等の実力を行使したほか、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影し、元弁護人らが繰り返し退去を求めたにもかかわらず、長時間にわたり事務所から立ち退かなかった。 President's statement protesting against the search and seizure at the law office of the former defense lawyersOn January 29, 2020, prosecutors from the Tokyo District Public Prosecutor's office raided and searched the office of Mr. Carlos Ghosn's former defense lawyers, despite the lawyers explicitly exercising their right to refuse seizure. The public prosecutors unlocked a door to enter the office, broke the keys on the door and videotaped the lawyers' office rooms where the case files existed. They stayed in the office for a long period of time even though the lawyers repeatedly requested them to leave. January 31, 2020
法律事務所への捜索に抗議する会長談話 2020年(令和2年)1月29日、東京地方検察庁の検察官らが、刑事被疑事件について、関連事件を担当した弁護士らの法律事務所の捜索を行った。同弁護士らが、刑事訴訟法105条に則り、押収拒絶権を行使したにもかかわらず、検察官らは、無断で裏口から同法律事務所に立ち入った。検察官らは、再三の退去要請を無視して長時間にわたり滞留した上、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影するなどした。なお、検察官らが押収に至った物は、弁護士らが捜索が始まる前に任意に呈示していた書面等1袋のみであった。 弁護士には、秘密を委託される業務及びこの業務を利用する市民等を保護するため、押収拒絶権が保障されている。秘密該当性の判断は、委託を受けた弁護士の専権に属するものとされている。そして、捜索は、押収物の発見を目的とするものであり、押収を拒絶された場合は、押収対象物の捜索もできない。 したがって、今回、押収拒絶権が行使され、立入りを拒まれているにもかかわらず、検察官らが、裏口から法律事務所に侵入し、要請を受けても退去せず、法律事務所内のドアの鍵を破壊し、執務室内をビデオ撮影するなどしたことは、正当化の余地のない違法行為である。 憲法は、被疑者及び被告人の防御権及び弁護人依頼権を保障しており、弁護人は、被疑者及び被告人の権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努めなければならない。対立当事者である検察官が、弁護人に対し、その権利を侵害する違法行為に及ぶことは、我が国の刑事司法の公正さを著しく害するものである。 当連合会は、違法な令状執行に抗議するとともに、同様の行為を二度と繰り返すことのないよう求めるものである。 2020年(令和2年)1月31日 日本弁護士連合会 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.02.04 06:57:45
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